インスタントラーメンを強化するちょい足しナイン
アレシア・モード
>>醤油、味噌
しょうゆ味には醤油を、みそ味には味噌を、それぞれちょい足しする事によって味が本物っぽくなる。なぜなら本物だからである。では、しょうゆ味に味噌、みそ味に醤油を入れた場合はどうなるか。これはまだ試していない。いま思いついたから。塩分が増強される。
>>刻み唐辛子
辛くなる。ふにゃけた味、さらにはふにゃけた麺にまで、エッジとコントラストを立てる。迂闊にすすり込むと気管の方に唐辛子が飛びこんで酷い目に遇う。そのダメージは刻みの大きさによって異なる。落ち着いて食べる。
>>おろし生ニンニク
絶対無敵の大魔神、どんなにとっちらかったゲームでも完全に抑えてくれる。投入すればするほど力を発揮する。しかし魔神は後先のことなど全く関知しないという点には留意しておきたい。カロリーと塩分が増強される。
>>牛乳
白くなる。
>>ダシダ
韓国リーグからの謎の助っ人。向こうでは大物らしいが使いどころが結構難しく、いまだ用法が落ち着かない感じ。その正体はスナック菓子のいわゆるバーベキュー味の粉としか思えない。塩分が増強される。
>>チーズ
塩味、みそ味に合う。しかし、実は蕎麦にも合うのである。これは静岡県で人気のトッピングらしい(要出典)。だったら、しょうゆ味にも合いそうなものだ。
>>ゴマ油
ゴマの香りをつける油で、ゴマから作られる油。スープがゴマと油っぽくなる。ゴマの香りを忘れかけたころに登板させるのがコツである。カロリーが増強される。
>>チリペッパー
メキシコの赤い陽射しの香り。唐辛子の湿っぽさが何だか合わないと思われたときのピンチヒッター。ただ、そういうシーンはあまりない。
>>小麦粉
スープにとろみ、というよりはどろみをつける。味の濃さや脂っこさが物足りなくても何となく濃厚にしてフォローできる……ような気がする……カロリーが増強される……と……
「はあ」
嘆息して、ボスはノートの画面から顔を上げた。
「なんなのぉ、これ」
「いやあ! なぜこんなものを書いたか、私にも分からんのです! 思うにこれは、妖怪のしわざではないでしょうか」
私――アレシアは、深山で旅人を急激にひもじうさせ行き倒れにする妖怪などについて熱弁した。どう関係あるか分からないけど。
「はい、アラッタ、アラッタ……」
ボスは投げやりに手を打った。
「これで行くわ、アレシアちゃん。先月号の誰かさんよりはマシ」
「……本気で言ってるよ」