■Entry2
輪廻ごんぱちさん
感想:「四五人に月落ちかかるをどりかな」
変な句だなぁ、と思った新鮮な気持ちをそのまま展開いたしました。産地直送! とれとれぴちぴち!
「輪廻」
令和の星新一的な。急に「令和の」とか云われても困惑するが。
「ざわざわ森のがんこちゃん」的なアレでいけば「本人がどんだけ疲労困憊していてもゲームがやめられない呪いをかける魔女」みたいなのがいるわけですが(いるんだよ)あれはなんのための子どもにゲームをさせ続ける呪いなのか。なんとなくふわっと「人の苦しみが魔界のエネルギーとなるのだ」とかいう理屈をつければなんとなく収まりがつくものの、でも、釈然としない。
地獄もよくわからなくて、一連の責め苦は亡者に反省を促すのか、次に生まれ変わるまでのペナルティなのか、だとすると「終わらないスクロール」は、ぬるい。ぬるいとすると、やはり人の苦しみが、いや、苦しみってほどでもねぇなぁ、不快感が、いやな気持ちが地獄のエネルギーとなるのだ!……とすると、地獄もなんかスケールが小さいよなぁ。一つの国が浅草花やしきくらいにまで縮んだ感がある(笑)
「灯台守」
人が死ぬのを占えちゃうのは死刑台のスイッチを押す3人と同じで、もしかすると自分が手を下すことで相手が死んでしまったのかもしれない、という気持ちの澱が溜まっていく仕事かもしれない。でもそんなこと云っちゃうと自動車教習所の教官も「自分はまた自動車事故の確率を上げてしまったのではないか」と思ったり、小説家が「おれの小説を読んで自爆テロへの覚悟が着いたりせんだろうか」などと思ったりするかもしれないのであんまりそこは考えても仕方ないのかとも思った。
だが「占わなければこの男は死ななかった」という発想から抜け出せないからこその「妹御神は今晩泊まって行け~以下」なので、やはりその、難儀であるなぁ。
「サフラン酒」
描写がうまいぶん、静謐さと怒気のコントラストが云々、と思いかけて、いや、これはおやじが自分で(それなりの金をかけて作った)サフランをみんなサフラン酒にしようと云い出したのか。「なぁに梅酒と変わらんよ」ぐらいのノリで急に始めたので、見ている周りはたまったもんじゃあない。
だが、自社製品としてのサフランだったとするともっと手間隙かかっているはずで、このおやじもさすがにそういう商売抜きなことはしないであろう。となると、梨園のついでに端で育てていたサフランが思いのほか良く出来ちゃったもんだから、あとは好きに使う、くらいの気持ちだったんだろうか。
とまれ「そんだけよく出来たんだったら売れば生活の足しになるのに」という奥方の嘆きはまっとうなものとして、「なんでも生活にしやがる」というおやじの気持ちにも若干肩入れしたくなるのもまた、事実。
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感想:シンプルな素材で小気味よくまとめられた、ごんぱちさんらしい作。地獄といえば私も地獄のスタッフのメンタルケアについて以前に書いたことがある、地獄で働く以上当然職場は地獄でありどうやって人員を維持しているのか、ずっと不思議だったのだが、今回すこしわかった気がした。地獄とは地獄な奴らが地獄をわかち合う互助システムだったのだ。もちろん無限スクロール地獄の獄卒もまた自らの罪を償うべく、何地獄かしらないが別の地獄に出頭するのだろう。仕事とオフの区別が判らず興味は尽きない。
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