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永遠の黄金週間アレシア・モードさん
感想:魔法陣 ★★*
魔法陣のことは詳しくないし、「悪魔くん」といえば親が面白がって子どもにつけた名前が命名権問題として争われたことを想起する世代である。「悪魔」という名前を巡っては妻が猛反対したにもかかわらず夫に押し切られる形で渋々了承したと言われている。渋々という言葉の使い方は合っているのだろうか。こんな非常識な名前を渋々承諾してしまえば、妻はどんな理不尽な要求に対しても渋々承諾してしまうのであり、渋々はたんに反抗のおしるしのようなやってる感に過ぎない。
本作の主人公がニセ悪魔に抱いた違和感もじつはそうした「やってる感」に起因している。たぬきだって悪魔の振りなんかしたいわけではなく、堂々とたぬきとしての生を全うしたいはずである。二階俊博氏の失脚によって影武者としての地位を失ったたぬきは今ではしがない風俗店の客引きである。魔法陣プレイで幼女を拐かし嬢としての育成契約を交わして僅かながらマージンを得るほかプレイ時間を延長させて15分400円の延長料金を成功報酬として得るくらいしか収入を確保する手段がなくなった現代たぬきの生きづらさがいきいきとした筆致で描かれている。
焼肉屋 ★★**
巧みな構成に舌を巻いた。
自分の意志で暖簾をくぐっておきながら、その店の運営方針にぐだぐだと絡みつき、自説を曲げない爺が多数実在する。暇なのである。暇を持て余して家庭やら地域社会やらでは相手にされない。自説を曲げないで些細なことに絡みつくからである。金を払う相手しか取り合ってくれないから焼肉屋の店員に管を巻く。
余計なお世話かもしれないがトングクラッシュ等の対応をするから付け上がるのである。ここは焼肉屋だけに煙に巻くというのがスマートな対応だろう。
最終盤、それまでの語りが劇中劇であったことが明かされる。
「タン塩でご」以降が「四谷」の語った虚構であるという。つまり1000字のうちの大部分が虚構であったということだ。いくら小説とはいえこんなことが許されていいのだろうか。話の大部分を過ぎてからそもそも虚構である小説の話者が虚構でしたと虚構の中で語ってしまうのでは虚構の中の秩序はどうなってしまうのだろうか。やりたい放題を見ているしかないのか。読者だってやりたいし焼きたい。作中で語られる「胸先三寸」というのはつまりそういうことで、語りの主導権を渡したくないが責任は取りたくない、焼きたいけど食中毒は嫌だという、いわゆる「タン塩のパラドクス」に陥りがちだという警句である。蒲田で呑むなら「One More奥様 蒲田店」で遊んでみるのもいいかもしれない。
永遠の黄金週間 ★★***
今回の大会には「悪魔」というお題が出ていたのだろうか。悪魔かぶりである。
盛大な跳躍と逸脱の虚構の中に主人公アレシアのリアルと願望が垣間見える。
まず第一にアレシアは黄金週間をテーマにしなければならないほど実直な勤め人である。
連休最後の日である。午後も三時を過ぎる頃、私――アレシアは、ベッドに転がりながら無為な時間を費やしていた。明日から仕事かよと思うたび、低迷した精神はなお一段とポテンシャルを沈めた。
「ああ、連休が永遠に続けばいいのに」
と思わねばならぬほど真面目に仕事に打ち込んでいる。こういう人物に限って休みが続くと落ち着きがなくなり職場の周りをふらつき、我慢できなくなって誰もいないオフィスでファイルの整理などを始めたりする。
私は悲しい。悲しいぞアレシア。
自分は仕事が好きだとどうして認めようとしないのか。
私は仕事の奴隷で仕事がなくなると気が狂いそうになるとどうして素直に告白しないのか。
否、アレシアは告白しているのである。
マリというのが仕事のメタファーだと考えればわかりやすいだろう。
アレシアはマリに好かれたくて仕方がないのだ。マリのことが好きで好きで仕方ないのに戯言を言い妄言を吐き困らせようとする。
アレシアはこじれた仕事が好物だからである。
アレシアよ、せいぜいストゼロで神経を麻痺させたつもりになってパリ五輪ピックの夢でも見るがいい。マリという名の仕事はアレシアを正気の世界に縛り付けたまま残酷に笑い続けるだろう。
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感想:「長編小説(途中まで)」
もう尻に字を書いている時点でエロい。感動した。当方も女尻に字を書いていきたいと思った(めいわく)。
カントン包茎は話には聞くが見たことはない。セックスのときにも不便だと思うが、直さないということはそれなりの理由があるのか、痛みを抱えるというところになんらかの歓びをおぼえているのだろうということは想像に難くない。
なんにせよ尻だ。尻に「しり」と書こう。田村信かっ!
「魔法陣」
もうちょっと「だったら今の世の中よりも地獄の方がずっと健全ぢゃあないか」という話にしようとも思いましたが、実際はそうでもなかったので止しました。
どこまで続くぬかるみぞ。
「焼肉屋」
焼肉屋の店員というかAIチャットと喋っているみたいだなぁと思ったら、最後で思考実験であるというエクスキューズがつく。
それでいいのかという問いは「四谷だから仕方ない」という言説によってクリアとなる便利仕様。しかし、焼肉屋も客の良識(を、担保する腹ペコ)に支えられているんだなぁ。
「永遠の黄金週間」
病院オチがなんでもないのにうまくハマっていて「あっ」って思っちゃた。投票。"っ"の多い文章!
経済がこうなると出かけることで経済を回すタイプの連休はあかんくなりますが、家で寝ていてもどもならんのよなぁ……
「苦しい時の散歩」
「あんな旨味しいビフテキ」と云ってるということは、奥さんは「美味しい」と思ってンのよね。ステーキソースの代わりに醤油でもかけているのかもしれない。
わりあいに古い夫婦漫才でこのテンポを聴いたことがあるが、コンビ名までは思い出せない。
「嵐の日」
「待て待て俺も苦しいわい」で、なんとなくバランスを取ろうという感覚が働いてしまっているんだなあと思った。
山の言い分。嵐の言い分。
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