Entry1
長編小説(途中まで)
おんど
クレームというわけではないのだが、前回の短歌バトルに投稿したつもりが、掲載されていなかった。短歌を詠むひとのなかには丹念に自作をパソコンに入力し、何年何月のどこの媒体に投稿したかを記録している人間も多いと聞く。私の場合は投稿フォームに直入力して送信ボタンを押し、そのまま放置して忘れるというスタイルだから、まったく記録もないし証拠もないので、こちらのサイトの運営にクレームをつけるつもりもないし資格もないし年収は低いし年金の加入期間も怪しいという有様である。
将来を案じた父親が杜の都の名門中高一貫性教育校として名高い仙台即詠高校へと勝手に入学手続きを始めようとしていたのが、私が小学六年生になったばかりのまだ肌寒い晩のことであった。両親が夜遅くまで私の将来を案じ、当時はようやく白黒テレビがカラーになったばかりの頃であったが、父親は仕手筋との関わりがありテクノロジーの進化については一家言あり、電卓の出現によって事務作業が効率化されることによりホワイトカラーの労働者はやがて仕事を失い(中略)AIの出現とその進化、ヒトのAI開発能力を超えてAIがAI自身の進化を促すようになれば、もはや人間は働く意味を失い、芸術家としてしか生きていくことができない、といったことが途切れ途切れに私の耳に届くともはや眠っているとこなどできず、不安になった時に多くの男子がそうするように、まだ発達途上のやわらかいおちんちんを握りしめ、しめやかなお通夜のような両親の会話が一刻も早く終わってくれることをただただ願って寝返りを繰り返した。
「どうした。眠れないのか」
隣で寝ていた姉が低く笑った。
東京生まれ東京育ちのちゃきちゃきが白河越えて暮らせるのだろうか。しかも即詠なんかやったことはないし芸術家として生きていくというのは、なんだか辛そうだった。私は父親のように手に職をつけてボイラー技士として生きていくつもりだった。
「心配するな」
姉の足が布団に入ってきた。恐ろしく冷たい指だった。
「なんだお前、熱でもあるのか」
28歳年上の姉はそう言って、そろそろと足の指を伸ばし、私の手をちょんとはねのけ、熱源を探り当てた。
「わたしは、自分が女なのか男なのか分からなくなるときがあるんだ」
姉の足の、冷たい親指と人差し指がぬるりと私のおちんちんを挟み込んだ。一瞬萎えて、それからむくむくと大きくなった。緩やかに皮が剥け、先っちょから薄い液が