■Entry3
欠損蛮人Sさん
感想:「菠薐」
タイトルはかっこいい。あとはいつもの。
「ロシアンルーレット」
うーむ。
大掛かりな仕掛けである。こういうシチュエーションを(主として作者が)やってみたかったんだ、と云われるともう「左様であるか」という他ないのだが、「こういう大掛かりな仕掛けができる財力と(もしかすると)人員動員力」「飲み会の途中で拉致っても大丈夫な人間関係とは」あたりからキャラクターが掘り下げられなかったろうか。
小説なんぞアナーキーでなんでもありだとは思うけれど、面白くするためにゃあキャラクター造形への想像が要るんであろーと思うのです。で、想像力としては並の域を出ていない。シチュエーションに負けないくらい、キャラクターの方も広げられればなぁ。
「欠損」
やぁ、いいなぁ。
「ロシアンルーレット」と逆に仕掛けのようなものは特にないのだが、カメラの扱いで見せている。
仕掛けは何かと言うと、本作中の三人、それぞれ喋るのだが同調しない。会話だけでなくて、奥さんと煙草を吸おうとして結局吸わなかったり、娘の古い携帯を妻に持たせて、娘に新しい携帯を買うくだりも、当の娘はどう思うか、なんていうことは書いていない。あえて会話を避けているようにも見える。
本作の描写のキモはこのへんかしら、と思って読みました。
「現代的日本語」
いいですねえブル的。いいですねえサッパー。ママカリのことぢゃあないよ。
これはこれでちゃんと会話のリズムがあるからいいような気がしてきた。ふしぎ!
投票者: このバトルへの参加作者
感想:一時間かけて通っていた隣町の床屋が突然閉店してしまい、店主は都心部の高層マンションに引っ越してしまいました。話し相手がいなくなって寂しいです。時代の移り変わりを見事に切り取った秀作でした。
投票者: その他のQBOOKS参加作者