チャンピオン代表作品 
  あんなにも遠い、目も眩む数字男へ向けて今晩私は電波を飛ばすのだ
   

      
第1回 詩人部門チャンピオン of チャンピオン参加作品 ―2

メリ、メリィクリスマス

佐藤yuupopic

       
 

    街中カレンダー残り一枚分ムード
    世間はシャララン、鈴の音
    楽しむ気すらすっとばして
    走ってる
    走ってる

    俺の代わりなんていくらだっているさ、
    でも仕事があるだけまし
    かき合わせた襟、しのび入る冷たさ
    〆切、納品、終電、〆切、納品、終電 の呪文
    マフラー ぐるぐる巻きで乗り切れ

    煙草のフィルター貼りつく、がさがさ、
    唇 ついでに瞼
    リップバーム 駅の便所で塗りたくる
    鏡の中、色のない頬 、これは俺じゃない
    俺、じゃないだろう

    新しい靴が欲しい、
    映画館に行きたい、
    新譜が出たのはいつだ
    とにかく髪を切りたい、
    上着を買いたい、暖かくて格好いいやつ
    唇切れてまた、血が出た
    手袋の片方落とした、見つからない 
    それより
    立ったままで構わない、いますぐ、ここで
    眠りたい
    眠りたい

    水分が欲しくて、
    また今晩も酒を飲んだ
    余計乾いてしまって、喉だけじゃなくて
    吐いてから、ちょっと泣いた
    ああ、もう 朝が、また来る

    ねえ、やあ メリ、メリィクリスマス
    粉雪
    ビル風、舞い散って 吹雪
    俺の上にも
    タワーの上にも

    ねえ、やあ メリ、メリィクリスマス
    ろうそく ふっ と吹いて
    世界中に休戦を
    きらきらしたものを
    ふんわりしたものを
    うっとりするようなものを

    ねえ、やあ メリ、メリィクリスマス
    俺にはちっとも関係ないけど
    せめてチキンでも買って
    誰かの愛を
    失した手袋の片方を
    メリ、
    メリィ
    メリィ

    メリィクリスマス



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