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第2回チャンピオンofチャンピオン詩人バトル Entry1

おやすみ、リリー


終電なんて、なければいい。
このままどこにも帰らずに
くたくたになるまで街を彷って、
新都心の深い谷底に抱かれて眠りたい。

細いヒール、
華奢なサンダル、
おぼつかない足元。
その危なっかしさが、いいの。
気まぐれに、端金で売り払った夜も
東京は変わらずに綺麗で、私は満足だった。

ハルシオンだけが御守りで――。

朝露を含んだ、粒子の粗い空気。
非常ベルの傍に、蝉の抜け殻。
煙草の匂いが染み込んだTシャツと
薄汚れたスニーカーに恋をした
始発を待つ乳白色のホーム。
次の土曜には消えた恋。
藍色の朝顔が開くのを、初めて見た。

ここは、どんな哲学的な問い掛けだって
無効化してくれるサンクチュアリ。
私がどうなっても、何も変わらない。
どんなにダメになっても、居させてくれる。

赤く、淡く、光る
あの東京タワーを胸に抱いて
ただ静かに眠りたい。

東京を、私に下さい。
他には何にもいらないから
世界で一番やさしい街を、私に下さい。


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