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第5回チャンピオンofチャンピオン詩人バトル Entry2

いしだくん



最近めっきり冷え込みますね、
昨日から本年のお勤めがはじまりました
今日は七草のお粥を頂く日だと云うことです。
いしだくん、
お元気ですか。


そう。

なずなだのはこべだのと
子供の時分川原の土手で
つんだように思う

本当の春にはまだ遠い川辺で
小さなわたしと
七種の草花をつんだ
クラスで一等、足の速かった
やせっぽちのいしだくん

転校をうちあけた時
耳を真っ赤にして黙りこくってしまった
いしだくんの
にじんだ
目、
見られなくなって
わたし、
半ズボン、
膝こぞうのすり傷、
ばっかり
見てて
そのうち
わたしの目
も、にじんで
何にも見えなく、
なった

電車が
町から遠ざかるにつれ
わたし、
世の中には
自分の欲したままに手に入るものと
どんなに願っても決して思う通りにゆかないものの、
二種類
あること。
知った

その後もたくさんたくさん
学校を変わって
クラスメートも
暮らす土地も
住まいも
変わって
引っ越しの荷の隙間に
まぎれて
すっかり
今の今まで
微塵も
思い出しも、

(人間の脳みそにはそこかしこいたる処にスイッチが埋め込まれていて
 何かの拍子に
 ”オン”
 途切れていた
 線
 一時的に
 結ばって
 電気散らし
 記憶
 甦らせる
 回路
 不明
 の不思議。

 しまっていた箱の置き場所を。
 違う、
 箱があること自体、
 かなり長いしばらくの間
 忘れていただけだよ

 そう、
 失ったものを取り戻した
 訳じゃなしに、)
 
しなかった、
のに、


新春、なんて
暦の上ばっかし、
ちっとも暖かくなんてなりやしない
グレーめいた
午後に。
自転車走らせて
お得意先へ
川原の土手を、

ああ、
今日は七草のお粥を頂く日だと云うことです。
なんて、思ったら、
脳みそン中
フラッシュバック
瞬時
結線、

いしだくん、
もう
誰かのお父さんになってるやも知れない
いしだくん、
たぶん
二度と会うこともないだろう、けど、
お元気ですか。
なんて、
どうか
元気でいてください。
なんて、
わたし、

あなたのこと、
思い出した。


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