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第6回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry4
【既に来ている】 宇宙人が宇宙船でやって来る 夢を描いて手をとって 無数の手足に握られた 光線銃が火を放つ おかしな歌が流行るもんだ。庭をお願いしている植木屋さんのところの若い衆が鋏の音に合わせて歌っている。「鼻歌なんぞ歌ってねえで、集中しておくれでないかい。言いたかないが、高いおアシを払ってお願いしてんだから」 と注意するのも大人気無い気がして、じっと眼を閉じ茶を啜る。到来物の宇治手摘み玉露だが、こうして飲むとことさら不味い。「お言葉ですが旦那、植木職は芸術ですぜ。黙々と集中してりゃあ上手く刈れるってもんじゃない。イメージが大切なんでさあ。イマジネーションが」 耳元で急に若い衆の声がする。眼を閉じたまま言い返す。「イマジネーションだかマジネエだか知らねえが、そんなご託を並べてる暇、手のほうがお留守になっちゃいねえかい」「はははは、お留守ってのは、どの手のこって」 確かに鋏の音はする。鋏の音は……ひとつじゃねえ。眼を開くと、蛸入道の化け物が……。【いっぱい来ている】 デイトをしていたカップルも 会社帰りの父さんも 言葉を無くして驚いて 一目散に逃げていく「なんとかスキー型っちゅうの、円盤。ピカピカ光って(庭に)降りて来んだ。最初の頃は、畑のほうに来て、ミステリーサークルなんかも描いていたんだが、わしがもう(畑に)出れんようになってからは、直接庭に来て『こんばんは』ってなもんだあ」 父は嘘つきです。「ああいう輩は、駄法螺吹きっちゅうんじゃよ」 と御隠居も腐していました。 一人暮らしとなった父をときどき訪ねますが、毎回嘘ばっかりで、「心配してんだよ。宇宙の仲間として、環境とか戦争とか、傍目から見ると理解に苦しむって。だから、わしんとこで『飾らない真実』を聞き出したいらしいんだ」 でも、それが……。【ともに生きている】 故郷恋しや宇宙人 平和を願う宇宙人 何もわからぬ宇宙人 脅して殺して殺された 粘土を捻り腕を作る。いつも両腕から作り始める。手の平を仕上げてから、顔にとりかかる。大人のバランス、暗い眼差し、キリリと結んだ口元。ケプター星の戦士ケプトン二十八号の完成だ。 ヘラを使って武器を作る。光線銃とレーザーブレード、そして盾。机に仲間たちと共に並べる。 階下より食事を知らせる母の声。仕方なく、総員を机上に待機させ、階段を下りる。 いよいよだ。 宇宙人が宇宙船でやって来る