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第7回チャンピオンofチャンピオンバトル詩人部門 Entry4
特技、俺の特技……。訳あって仕事を変えることに、決めて何年かぶりに履歴書を、書いた。温暖な気候の海臨む町で生まれ移り住みここに在る取るに足らん史実そんなんどうでもいいよけど、伝えないといけない勤めたいからね世の中は便利になったもので西暦と和暦での早見表がついていて七十年代の終盤成田に空港が出来て日本と中国が平和友好条約に調印した年に生まれた俺が何年にどの学校に入り卒業したか即座に把握可能になっている以前はこんな便利な表はついてなかったよ昭和が終わって平成の世になって計算が込み入って面倒だったのに、おまけに証明写真を貼付するための写真サイズに合わせた両面シールまで入っている至れり尽くせり加減今の子どもは至れり尽くせりの中に身を置いているのだと、あらためて知る。学歴・職歴・資格欄、あるがままに記入した後、困る、特技書ける程のモノなんて、特技、俺の特技、……。俺と日々を共にした女のヒト達はのきなみ俺の詩がキライだったいやキライになった詩を成している最中の俺をことさらキライになった言葉に身体を奪い尽くされ乗っ取られそこにいながらいない俺を気味悪がった声をかけても触れてもそこにいない俺をわたしを愛してないのね、て叱りつけたはじめはあなたの詩が、大好き、て会いにきたのに俺の本当を知るまではうんと好き、て云ったのに不気味。最悪。わたしのこと描いたら絶対承知しない。て、去って往った。安心してくれていいよ俺の内にはおまえ達のことを表すための言葉はないからもちろん大切に思っていたれけどおまえ達に俺の日々全部をあげても構わないとすら思っていたけど自分でもどうしてかわからないけどおまえ達のことを表すための言葉ははじめからわずかもなかったからこの先も決してないから安心してくれて構わない、俺の言葉は俺だけのモノじゃない俺に降りてくる訪れてくる俺じゃない誰かと俺とで分かち合っているモノだ。俺の特技。(”おまえ”を見つけること)さあ往け愛しい”おまえ ”ステージの暗がりで惑い震える俺の未来を分単位で照らせ姿形ない眼に見えないけど在る絶対在る触れる熱く激しくうねる驚愕の量感俺、焼き尽くす、熱量、光量、轟音の真逆、無音、俺は”おまえ”に乗る振り落とされぬよう手綱などないハンドルすら、からとっかかりを見つけたい見つけたい見つけたいのだ!必至、必死、手探り手のひらの指の腹の脳の表面の薄い薄い全感覚、発動、怖いけど、”おまえ”なし、では俺の日々はない、都市と生活を往く内に移動中の地下鉄の窓辺に社用車の座席に職場のモニターの中に打合せ中のクライアントの肩先に眼鏡の端に台所でみそ汁の出汁を取る指先に眠りに落ちる瞬秒間際の枕元にいつだって 不意に 訪れ 俺を 浸食する さあ、”おまえ” 思う存分 このちっぽけな身体を 脳みそを 俺という全てを存分に存分に存分に奪い尽くすが好い俺の特技。(”おまえ”に乗ること)安っぽいことしか云えないでごめん、でもこれだけは云う云わせろよ”おまえ”、”おまえ”、俺の言葉、”おまえ”、を気、狂う、程、愛してるそうか。わかった。やっぱりごめん、俺、”おまえ”を愛す程はおまえ達のこと愛してなかった俺の特技。(大切なモノを簡単に見失うこと)今わかったごめんだから俺のことキライになったんだねごめんごめん、なさい。俺の特技。(大切なモノを簡単に失うこと)特技、俺に特技、なんて、書ける程のモノなんて、ない。