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第7回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry2
特大トマトのスライスから、緑色、カエルの卵のような種が落ちる。肉厚のハンバーグ三枚重ね。パンは黒ごま入り。小エビ、山菜まで入っている。チーズはない。永野さん、いっつもそれだなあ、という谷口の言葉に、冴えないダウンジャケットが曖昧に笑った。谷口も苦笑して、ジャンクフードの散らばるちゃぶ台の上、束ねられたコピー原稿に再び目を落とす。店の隅から、電子音が鳴っている。『ゴミの花』 字コンテ 黒バックからフェードイン。ゴミ捨て場に大量に捨てられた花束。カラスイン。出来れば二羽ぐらい。その前を通り過ぎる主人公、小川あかり(21)。 タイトルイン。『ゴミの花』 ディゾルブで、どんよりとした空。車のブレーキ音の効果音イン。 倒れて血を流している、小川あかり。車から降りてくる白衣の男。 どこかの病院のベットで気がつく、あかりのアップ。 神経質そうな男の声でセリフ。「ひき逃げだよ」 白衣を着た中年男のバストアップ。病院の個室の風景の引き。 …… これで終わり? 神経質な真中分けが聞いた。どう? とはにかんで問い返す永野に、谷口は、どうもくそもないでしょう? と吐きすてた。永野が笑って唇を曲げ、おっちゃんコーラください、とカウンターの奥に語りかけた。「だいたいね、そんな頭の悪そうな食べ物ばっかり食ってるから、こんなのしか書けないんですよ。思わせぶりだけど、意味がないでしょ、これ。ベタを避けてるだけで、何もないですよ。面白くない。二回生のときに、才能枯れたんじゃないですか? だいたいどうやって撮るんですか」 後輩の言葉に、永野は眉ねを寄せて、手を舐める。「病院借りるんですか? 学生にそんなの貸してくれるの? それに中年の男。誰に頼むんですか。で、カラスインって。どうやってつれてくるのカラスなんて。だいたい無くても、なんか不都合ありますか?」 頭にちょこんと申し訳ばかりのファーストフードっぽさを演出した中年男が、ジョッキに入ったコーラを運んでくる。「絶対、俺の脚本のがアリですよ」 永野がふざけて、カウンターに帰っていく男を指差す。俺か? と満面の笑みでオヤジ。「頼むから真面目にして」 すぐさま反論して、谷口は軽くため息をついた。 ゲームを楽しむ小学生が、はしゃいで歓声をあげた。「だから、バーガータウンで打ち合わせは嫌だったんですよ」 永野は壊れた冷蔵庫の中から、マンガ雑誌を取り出してくる。