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第9回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry1

「小さい人劇場 松〜鶴」


 私の名前は君路加奈子(きみじかなこ)名前のとおり気が短い。クラスメイトの町木連子(まちきれんこ)と碇舜二(いかりしゅんじ)と週末に遊園地に行く約束をしたが待ち合わせの駅で切符を買う以前にけんか別れになってしまった』ここまで書いて腹がへったのでコンビニにおにぎりを買いに出た私は帰って玄関を開けたとたんに上がりかまちにむこうずねをしたたか打ち付けて「ひぃ」とうめいて板の間にひっくり返った、コンビニまで行って帰った20分の間にたたきが消えてドアからわずか10センチの所まで上がりかまちがせりだしていたのだ、すねをさすりさすり転がっていた私の周りを小さい人達が取り囲みどうやら書きかけの原稿に対し抗議らしい「こんな書き出しはつまらん」「どういうけんかだったのか描写不足だ」「誰が悪かったのかはっきりしろ」「町木連子をもっとだせ」「季節感のない駄文だ」「君路加奈子に恋をさせろお前の話には色気がない」「木村揺子も出してやれ」いちいちごもっともなご進言誠に痛み入るところではございますがおおせのとおりいたしますには字数に限りもあることですので、と、ここまで書いてのどが渇いたのでお茶でもいれに行こうかな?と鉛筆を置こうとした時、竹箒で消しゴムかすを集めていた庭野宗治と目があった。席を外すとまた厄介な事が起りそうだったのでのどの渇きは我慢して書き進めることにした。痛い思いはもうごめんだ』ここまで書いてトイレに立った、机からトイレまで長い廊下を行って帰る足元の板張りが畳敷きになっている「ええっ?」と思うが否定してはいけないそのまま受け入れて歩む足先の靴下が白足袋になっている「うっそぉ」とあせるがあわてては危険だ、そのまま受け止めてずっ、ずっ、と歩く。ずっ、ずっ、である。らくらくストレッチ部屋着がピカピカの長袴になっている背後から茶坊主A、B、Cが走り寄ってきた、こうなったら仕方がない脇差を振りかざし「おのれキラコウヅケノスケっ!」A「浅野殿!なにをなさいます殿中でござるっ!」B「殿中でござる」C「殿中でござるぅ〜〜」切腹の日までさる大名家へ預かりの身となった私は今、正座でこの文をしたためている「決してあけてはなりませぬ」と言われているふすまのむこうの機場から白装束を仕立てる布を織る機音が聞こえてくるギィパタン、ギィパタン・・小さい人達どうやらご機嫌な様子である。それならばそれでよいではないか。


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