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第11回チャンピオンofチャンピオンバトル詩人部門 Entry2

13と1/2の女たち(リプライズ)


電脳の箱庭で少女が歌っていた
僕はその美しさと幼さにとりとめのない夢を見ていたんだ


【1】

あなたの寂しさが私を寂しくさせるの
黒いマニキュアと細長いタバコ
太腿には小さな蟻のタトゥー
外は雨降り止まず夜
得意の冗談と翳る部屋の冷たさ
彼女に植え付けた寂しさの正体は
僕の歪な指の跡
私に子供ができたら「ショウ」と名付けるわ

【2】

あなたと別れるくらいなら死んだ方がマシよ
歩道橋の手すりの上に落ちる
泣き濡れた顔に重なる銀色のサーチライト
空気の振動は素早さを増す
耳鳴りのような僕の鼓動が響き渡る
ガードレールに置かれた名もない花と祈り
明日も何処かで誰かがひっそり消えていく
でも結婚するとしたらあなた以外の人でしょうね

【3】

私があなたを救ってあげる
首筋に添えた爪がぐいぐいと食い込む
強い香水のにおい
使い古された体には幾重もの皺
息を止めた虫達の蠕動
天井の電球もちらちらと揺れる
救われたいと願うのは誰なのだろう
もし夫と別れたら私と暮らしてくれる?

【4】

あなたのことが好きか嫌いかってことじゃないの
車のシートにうずくまる欺瞞の闇
唇が乾いて一筋の血が滲む
立ち並ぶマンションから漏れる光
ただ静かな叫びが聞こえる
愛の形は不確かだが醜いものだ
フロントガラスに映る僕の顔も同じ
やっぱりあなたって最低ね

【5】

あなたは幸福ではないけれど決して不幸ではないわ
手首に刻まれた無数の曲線
彼岸に咲く赤黒い動物の頭部のようで
開け放した窓から夕方の温い風が舞う
冷めたピザがゆっくりと溶けていく
古いアニメの映像(よくあるパターン)
カッターナイフでは上手く切れない
これでまた傷が増えちゃったね

【6】

あなたと一緒にいると私の輪郭が消えそうになるのよ
僕の上でひたすら腰を振って
遠い街並の風景を追う
真白な壁紙とコーラの空き瓶
マスカラの似合わない整い過ぎた顔と形の悪い乳房
向いのホームで手を振りながら
最終電車を乗り過ごす決意をする
あなたって嘘をつくことしか能がないのね

【7】

あなたがどんな姿になっても愛し続けると思うわ
柔らかな幻想と誤解の渦の中
電話越しに好きな映画の主人公を真似る
ピストルの音と犬の腐臭
アパートの階段で交わした最後のキス
重いギターを抱えて路地の隙間を歩く
街頭テレビで外国の子供が笑う
もうあなたとは会わないと誓います

【8】

あなただけは違うと思っていたんだけど
給水塔の下で振り返った日々の
美しさはただひたすら消えていく
ファミレスの苦いコーヒー
繋いだ手は本当は繋がれていない
ひっそりと死んだ僕の心と
子猫の腫れた瞼に貼り付いた罪
あなただけは絶対に違うと思ってたのよ

【9】

あなたは運命ってやつを信じちゃう?
空港のベンチで擦れ違う人々の懺悔
背中を抱いて歌ったポップ過ぎる音楽
まさに一瞬の出来事で
長い髪をずっと隠してばかりいた
チーズの香りが鼻孔に膜を張る
飛び散った精液を掬ってばかりだった
誰かの子供が出来たみたいなの

【10】

愛してるなんて言葉に意味がある?
下手糞なデッサンで僕を追跡するように
いつも後ろのドアに寄り掛かって友人の噂をする
オレンジのパーカーに不釣り合いのシューズ
ぶら下げた一眼レフのシャッターが固い
初めての夜に触れた肌の白さ
僕の哲学の無意味さを知る
本当に本当に愛してるんだけどダメみたい

【11】

あの子にバレたら殺されるんじゃない?
身障者用トイレを閉め切って
荒い息を吐くつもりで
チェーンで巻かれた鉄柱の生命線
歯を二度も当てた偽りのリズム&ベース
別々の呼び名で重なる度に
翻って少しだけ霞んでいくのがわかる
それはそれで楽しいけれどね

【12】

こんなにも気持ちいいセックスは初めてかも知れない
僕の詩を切実に受け止めてしまったけれど
やっていることは自転車置き場での背徳
腹の肉の感触が不快で
金属のカチカチする接触は快感で
薄いジントニックに浮かぶ柑橘の粒
絶望と成長の齟齬
決して忘れないし愛してると思うわ

【13】

あなたをずっと待っていたの
公園のブランコで眠る鳩
ゴミ箱に捨てたビニールの粘着
二人で描いた想像上の宇宙人の足首に
滴るのは僕ではない男だろう
キーボードを叩けば夢ばかりが映る
母親の幻影が見つかるはずもないのに
なぜ何も言ってくれないの?


僕が愛した13と1/2の女たちへ捧ぐ
そして全ての愛をここに放棄することを許して欲しい



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