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第12回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry4

エコドライブ


 流線型のコンパクトな自動車が、ショールームの照明を反射してピカピカ光っている。
「――プラグイン電気自動車?」
 ディーラーに四谷京作は聞き返した。
「はい、今回発売の電気自動車『ゼウス』は、ご家庭の電源から充電が出来るタイプです。四時間の充電で百キロの走行が出来ます」
 揉み手をしながら、ディーラーは車の傍らに置かれたカタログを開いて見せる。
「ふーん、百キロか……長いような短いような」
「長距離走るならともかく、毎日の通勤程度なら電池切れなんて事は絶対ありませんよ。しかも電気自動車は大変エコなのです」
 ショールーム内には、電気自動車の他に、ハイブリッド車も並んでいる。
「そういう話は聞くけど、別に電気を作るのにもエネルギーは使うんじゃないか? 昔、理科でエネルギー保存の法則というのをやった記憶があるぞ?」
「勿論、それは仰るとおりですが」
 ディーラーはにこにこしながら答える。
「エネルギー源の問題ですよ。ガソリン車はガソリン以外は使えません。けれど電気なら、火力、原子力だけでなく、水力、風力、太陽光と、あらゆるクリーンエネルギーが使えるのですよ。今後の事を考えますと、やはり電気のクリーンさは一歩抽んでていると言えますね。更に、エンジンはエンジンそのものと燃料を運ばなければなりませんが、電池は電池だけですし」
「なるほど……いや、でもその電池だよ。電池の寿命は? すぐに買い換えじゃ、環境にも悪いし金もかかるだろう」
「こちらは、リチウムイオン電池なので、以前の鉛電池よりもずっと長持ちします。無論寿命はありますが、電池より前にボディーの方が古びてしまうでしょうから、必要十分ではないでしょうか」
 ディーラーは、電卓のキーを叩いて見せる。
「いかがです? 今なら、県の環境補助もございまして、これぐらいのお値段になります」
「ふむ……そう、だな」

 昼休み、四谷は同僚の蒲田と社員食堂で食事をする。
「四谷、車買ったんだったよな?」
「……ああ」
 浮かない顔で、四谷はうどんに七味唐辛子をかける。
「電気自動車だって?」
「……いや、あれは売って別の買った」
 四谷はもそもそとうどんをすする。
「え? まだ一ヶ月経ってないじゃねーか」
 豚ショウガ焼き定食の付け合わせのキャベツを蒲田は食べる。
「なんか不具合でもあったのか?」
「……不具合は、ねえよ」
「じゃあ、なんで」
「……駐車場の近くにコンセントって、普通なくね?」




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