第12回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry3
ものみなトマトがとろとろの黄金色なる昼下がり、姉の読む赤頭巾ちゃん(グリム童話)を退屈だなぁと聞きながらいつものようにトリップした。
見渡す限りのお花畑をスキップしながら行くのだけど、お花を摘んだらはしたないかしら? 誰も見てない? ちょっとしゃがんじゃおうっと、かがみこんだ目の先の真っ赤に熟れたプチトマト。お花畑になんでトマト? と思ったとたんに落ちた先の屋根裏でオオカミに丸呑みされるおばあさんを見守った。届けるために持って来たけど、もういらないわねサンドイッチ。それではひとついただいちゃおう調度お腹も空いている。ママの手作りトマトサンド青いトマトに赤いトマトが挟まった正真正銘トマトサンド、几帳面なママらしくきちんと三角に切ってある。ママご自慢の一品だけど誰からも好かれてないのを気づいているかしら。今日も不味くてやっぱりとても飲み込めない、ママのお手製トマトサンド。おばあさんはオオカミに丸呑みされてトマトサンドが食べられなくて運が良かったともいえるのね。縮んだ。
ママに批判的な気持ちになると身体が縮むって因果な性分なのだけど悲しんでみてもはじまらない。とはいうものの不便でならない。だからと言ってママを肯定してばかりもいられない私は思春期。縮んだ。このままでは胡椒粒より小さくなって公爵夫人に吸い込まれくしゃみと共に噴出され、そんな結末考えただけでも悲しい。ウサギも芋虫も女王もいないこんなアリスじゃ悪い夢でも見ているみたい。「おまえって何にもわかってないのね」ママの声まで聞こえた気がするママに否定されるたびにまだまだ小さくなれるのよ私って富士見。あら間違えたフジミってどんな字だったかしら? 脳まで縮んで来たのだわメイベルと同じになっちゃったのね私はメイベル。どうしてかしら? なんだか最悪。だけど私が私でないと為った時メイベルは誰に為る? まさかママ? まさかおばあさん? まさかオオカミ? まさか私? まさかアリス? まさかまさかと溢れ出たまさかの海にまさか真っ逆さまに落ちたなんてまさかママだって想像しないに違いないちょっといい気味。ママより有利な気分になるたび、あらま、いやよどうしてかしら? まさか? いやだぁ、大きくなった。海と思ったけどここは何処? 目覚めたところで居場所が無い、できるなら永遠に眠っていたい、逃げ道があるなら逃げ続けたい。目覚めは今日も最悪な気分。