第10回乱取バトル詩人部門

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04   男だって
太郎丸

彼女が作ってくれた料理はこの間行ったレストランの味
真似して作った試作品
何か足りない何かしら
ううん
とっても美味しいよ
一度食べると材料や調理法が浮かんでくるの
料理好きって凄い
もちろんセンスも大事よ
彼女は笑う
何でも美味しそうに食べるから好き
彼女は言った
何を食べても美味しさが判らないのね
彼女は去った

小さい頃に味覚は決定されるという
小さい頃に美味しいものを食べるチャンスはあったかな

母の手料理
煮物は嫌いだった
型押しのおにぎりかコンビニ弁当を詰め替え遠足へ
おやつは買うかチンしてた
それが当たり前だった
そういう暮らしだった

画一化された味
適度に美味しい出来合いの食べ物
着色料に着香料 調味料に保存料
組合せによっては身体に悪い添加物があるなんて知らなかった

彼女に教えられながら手伝って作ったクリームコロッケ
生きていたら母は作れただろうか

最近始めた料理は結構面白い
嫌いだった乳製品も頑張って食べる
量が多くなければなんとかなる
でも白い牛乳だけは未だに少しでも飲むと気持ちが悪い
茹でると栄養価が減る野菜は蒸し料理
ほくほくの野菜は美味しい
煮物も頑張ってる
母の味とは違うけど少しは自慢出来る味

男子厨房に入るべからず
そう言ったのは昔の事
出された食事に文句を言うなという事らしい
男だって料理はすべきだ
女に任せるのは勿体無い
料理を作るのに性別なんか関係ない
料理を食べるのに性別なんか関係ない
男が家の外で頑張る分
女は家の中で頑張った
女が家の外で頑張る時代なら
男が家の中で頑張ったって構わない

温めるだけの料理
チンするだけの料理
炒めるだけの料理
それは料理なのか

包丁はなかなか巧くならなくとも
便利な調理器具は沢山ある

手早く料理するのは手間を省くことじゃない

彼女は言っていた
料理はやっぱり愛情
思いやり
手間はいくらかけてもいいんだよ

彼女はまだいないけど
子供には美味しいものを沢山食べさせたい

ピラフが炊き上がった