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第74回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1しじまクロオ122
2湧水氷雨水樹131
3どうも450
4ハチミツとクローバー大覚アキラ189
5蜜で溶けた形状トノモトショウ298
6微動荘静候※データ無
7サクラメント葉月みか270
8ある田舎町での出来事ヨケマキル519
9黒の仔kikki262
10オレンジとむOK214
11サヨナラ サヨナラ サヨナラ空人259
12北京島にてぶるぶる☆どっぐちゃん495




 


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エントリ1  しじま    クロオ


公園で
校庭で
あの小屋で
森の中で

たくさんの言葉遊び

オレンジ
起源
静かな
化学

たった一つを除いて

君の庭で僕は
船を作る
君のパパと作る

桜の花びらを集めて
船を作る
君の猫と作る

そしていつか
二人をのせて
あの湖を漂う

君と僕
全てをのせて
あの夜を漂う

たった

一つを除いて





エントリ2  湧水    氷雨水樹


何百年も濾過され続けた雨水は
何かに突き動かされて
太陽に向かって 再び
地上へと舞い戻る

多くの感情を身に纏い
涙色した海に戻り
そしてゆっくりと
太陽に向かっていく

たくさん汚れて
たくさん傷ついて
そしてまた空の雫になって
土に染みて
ゆっくり ゆっくり
記憶を地層に
置いていくのだ

作者付記:すんません。大スランプ突入中です。





エントリ3  どうも    葱


木の葉踏みつけ歩いてた 悲しいことなど何もなくても

昼間眠くて仕方なかった 夢なら腐るほど見てたのに

同じ時、同じ時間をあなたはどう過ごしてた

想像できなかった 当たり前だけど

川を眺めて歩いてた 綺麗な花など咲いていなくて

はしゃぐ皆が眩しかった 自分も同じはずなのに

外人監督じゃないけれど 今この時が信じられない

話せなかったよ ちょっと前なら

昨日の僕なら言うかもしれない

ずっと他人と過ごすのは無理だよ

今の僕なら切り返す

嬉しいもんだよ。本当に

たまたま晴れ渡った空、たまたま大きく鳴り響いた鐘の音、偶然頭にのっかった花弁

たまたま出会った友達、何となく積もった思い出、偶然電話をくれた昔

たまたまじゃなく生まれた僕、たまたまじゃなく生まれたあなた、偶然ここで一緒にいる

嬉しいもんだよ。本当に

この気持ちを八十年ローンで返していくつもり

木の葉踏みつけ歩いてた 川を眺めて歩いてた

木の葉踏みつけ歩いてなかった 川を眺めて歩かなかった

色んな時の、僕に あなたに 見守ってくれた人に

どうも どうも どうも





エントリ4  ハチミツとクローバー
    大覚アキラ


ポエムみたいな花畑で
ちいさな子どもたちが
でたらめな歌を歌いながら
シロツメクサで花輪を編んでいる


リアルとは血が流れることに非ず


地雷の敷き詰められた地面に
ハチミツのような金色の雨が降る
日を浴びて輝きながら
子どもたちの上に降り注ぐ


誰も死なないし誰も傷つかない


シロツメクサが咲く地雷原で
四つ葉のクローバーを見つけて
子どもたちがはしゃぐ
ずぶぬれのハチミツまみれで


そんなポエムみたいなリアル





エントリ5  蜜で溶けた形状    トノモトショウ


形而上のS 肩に貼り付いた夏に
空耳     抵抗なき五重の線
ド  あたし   アレグレットで
  また同じ夢を   繰り返し
   見ていたのだ   虚言の
       あたし  夜
抱いて欲しい   と
  劈く声       炎天下のX
  に            遠雷
   共鳴           シ
       いつしか
    捧ぐガガと魚眼のあなたへ
     溶けてゆく
      増えてゆく
       悠久の日の
        終焉から
          また
           熱が
            始
            ○
            ○
           ○





エントリ6  微動    荘静候


深夜2時
タバコをふかすその様を想像して

立ち止まる

やけにニヤついたクマのぬいぐるみの手にあるのは
チープキャンディ
文字通り安っぽくて
小さくて
少しだけピンクのマーブルで
舐めると
思ったとおり

甘ったるくて

ウサギは寂しくなると
たった一人
死んでしまうんだって
遠い記憶にある誰かの話
笑って聞いてた


後ろ振り返ると
涙目の少女
前を歩いていたのは
笑顔の貴女
振り子のように

ゆらゆらと
ゆらゆらと
ゆらゆらと
ゆらゆらと

ゆれる
のは



チープキャンディとクマの傍らに
ウサギはいない
むなしく光るのは
ダスティーミラー

あなたを支えるという
崩壊した言葉

立ち止まることもできず
ただ
タバコの煙を見送る

深夜2時

私は眠れそうもない





エントリ7  サクラメント    葉月みか


いつもより早く桜が咲いた春
雨上がりの日曜日
冬に見た夢は淡雪だったことが判る
花見の予定は、特に、ない

窓から差し込む台形の光
目の前には
カリカリに焼いたベーコンと
半熟の目玉焼き


神様、はじめまして。


高校も大学もミッション系の学校だったけど
聖書の講義は寝るかサボるか
朝の礼拝は結局一度も出席しなかった
だから、祈りの言葉なんてひとつも覚えてない
でも、別にそんなのなくていい
祈るものが失くなった時
はじめて祈りが訪れるんだって
いま、判ったから


いつもより早く桜が咲いた春
久し振りに目覚めた日曜日の朝
目の前には
銀色に輝くベーコンと
金色の目玉焼き


ああ、おはよう。





エントリ8  ある田舎町での出来事    ヨケマキル


半年前から小さな田舎町のボロアパートで暮らし始めた
辺鄙な所ではあるが気楽で気に入っていた

4か月ほど前から
家庭教師をしているという赤いセーターの女と付き合い始めた
女とは昼間に自分のアパートで会っていた

女と付き合い始めたちょうどその頃
近所の神社の取り壊し計画が持ち上がった
後にはコンビニが建つ事になった
小さな田舎町が賛成派と反対派で真っ二つに分かれた
ボクはよそ者であったのであまり深入りはしなかったが
コンビニが出来れば便利なので一応賛成派に入った
女は父親の仕事の関係でやはり賛成派であった

女が黒人の男と付き合っているらしいという話を耳にした
その男は公民館の管理人をしていて たまに道ですれ違った
「黒人はデカイからな」
などという噂話に激しく嫉妬し激しく欲情した
女は段々とうちに来なくなった




ある日
取り壊しになる神社で
賛成派が企画した「最後の餅つき大会」が催された
行ってみるとあの黒人が餅をついていた
5分ほどすると反対派の青年3人がやって来て
黒人につかみかかりもみ合いとなり
一人が臼に小便をかけたりして大騒ぎになった
黒人は青年の一人に石を握った拳で何度も殴られていた
ざまあみろと思った


この町を出る事にした
新聞代も3ヶ月ためているので踏み倒そうと思った





エントリ9  黒の仔    kikki


中央分離帯にちりぢり咲く秋桜が
かじかんだ心に吹かれて
りりりり
と泣くように揺れる
傍を
親猫を探して泣きじゃくる
黒の仔が通り過ぎる

心の視界が ぶれる

いつまでも夢の中に閉じこもり
抜け出せないのは 決して何かの所為じゃなかった

知ってる

黒の仔と私は影でつながり
連れ去られる
小さな歩幅で うろうろ
道路に飛び出して 茂みに隠れて 人の匂いに恐れて
おなかがすいて
いつか車に撥ねられて死んでしまう
未来が見えても
ぬくもりに恋せずにはいられなくて

愚かな私
愚かな黒の仔
りりりり
と泣く秋桜の傍で
おかあさんの姿がふいに現われて
消えた
そんな夢を 見たんだ






エントリ10  オレンジ    とむOK


汽水の街の缶詰工場は
毎日毎日たくさんの缶に
きのうのけむりを閉じ込める

きのうのけむりは街中で売られ
手にした人の肺に囁く
碧い記憶のうす氷

終わったものは優しい
終わったものに包まれることは
優しい

少女は錆びたバールを
思い切り振り下ろす
肺に穴の開く音がして、缶が潰れる

肺の穴から血が噴き出して
虚ろに凝った生を壊す
滓に沈んだ死を解き放つ

少年は瞼の裏で
その音を聞き
血の味を思い出す

彼女の血
生まれる瑕
熱くなる
冷たくなる

よせては
かえす
オレンジの香り

作者付記:テーマ「汽水域」第三章





エントリ11  サヨナラ サヨナラ サヨナラ    空人


サヨナラ サヨナラ サヨナラ
この1年に サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
あの 初めてに サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
何もかもが違って見えた朝に サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
あの傾けた想いに サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
あの冷たいぬくもりに サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
電話越しに呟いた言葉に サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
このサヨナラの呪文から サヨウナラ

サヨナラ サヨナラ サヨナラ
忘れるとか 忘れないとか そういうことじゃなくて
ただ サヨウナラ

もう サヨウナラ






エントリ12  北京島にて    ぶるぶる☆どっぐちゃん


地球儀を引き裂いて地図を作る
しかし中国の大きさには驚くねえ
洗濯物を干す
母(バイタ)の黒い下着
エッフェル塔の写真
爆弾の配線図
洗濯物を干して20円貰う
「ニイハオ」
そう言ってマージャンパイを毎日届けてくれるあの女は誰か
同じ柄の4枚のうちの3枚がガラスであってだから透けていて
とても綺麗だ

パティ・スミスの息子にインタビューをしに行く
美しい少年だった
黒い下着
「穢れ、とは何か」
「性差、とは」
無能な上司にインタビューとは相手を怒らせることだなんて叩き込まれたから今もそのようにしか仕事が出来ない

「わたしはかみなりにうたれたんですよ」
美しく燃える手をかざして少年に言う
もっと芝居がかれもっと芝居がかれもっと芝居がかれ
灰が花に花が灰に灰が花に
虹に
虹色のハンマー
そういうえばマネキンが持っていたな
おしゃれブティックで
マネキンが持っていたな
少年は流行りのチャイナな服を着ていて
ガラスパイをかちゃかちゃと弄んでいた
エッフェル塔がおしゃれブティック街の向こうで急速に伸びていく
もっと芝居がかれ
ガラス灰
エッフェル塔の前で二人並んで記念写真を撮る

エ、エ、エ、エ
エフェックション!

少年がくしゃみをする
春がそこまで来ている