第12回詩人バトル Entry56
また冬が来て
唇が荒れて
自然と滲んでくる血の
その優しく鈍い味は
あなたを思い出させて泣ける
今でも唇に残るあなたのキスは
あなたの噛むようなキスは
とても甘くて
とても強くて
その痺れるような恍惚の中で
あたしはあたしで在り
あなたはあなたで在ることが解ってしまって
あたしはあなたでは無く
あなたはあたしでは無いことが
強く
とても強く理解できてしまって
それがとても悲しくて
なんだか死にたくなってしまって
でもそれが出来ないから代わりに
あなたを強く抱きしめて
必ず離れることが解っているあなたの胸に顔を埋めて
大きな声で泣いた
人は半分で産まれる
人はもう半分を求める
人はもう半分に出会い
確かに得て
そして永遠に失い
気が付けばさっきから降り続いていた弱々しい雪に、街路は白く染まっている
あたしは、朝になればきっと消えてしまうその雪の上を
まるであたしとあなたが共に見た夢の続きのような、その不確かさの上を
足早に
少し振り返りながら
歩いている