第12回詩人バトル Entry40
1.立春
寒空を透く雨だれが落ちて
白梅あわく路地に映る
小走りでおうちへ帰ろう
白梅が咲いたこと
とうさんに話してあげるんだ
今日気づいたんだよ
一雨ごとに春めいてくるって
とうさんの嫌いな作り話
なんかじゃない
2.節分
「トオサンハ、オニデアル」
豆を投げる
「もう、家出してやる」
だからストライク!!
腹がへっても
とうさんの車の陰でへこんでいる
換気扇の窓から
うさぎのスープを煮込む匂いが
ただよってくる
遠い日の
夕餉近くのガレージ
あの、かくれんぼには
今になって
おもいあたるふしがある
小さなわたしの反抗に
とうさんは笑っていたような気がする
3.少し前のお話
それはひっそりと
道ばたに置かれていたから
それはできれば
したくなかったけれど
拾い上げると
野鳩は手の中であったかい
地面の暗やみにおりたから
けっして飛び立つことはない
やすらかな眠りについたから
もしももっと飛びたいのなら
いつかまた生まれておいで
こんな出会いもあろうかと
ひとときかいなで抱きしめて
集めた枯葉の上にそっと置いた