第12回詩人バトル Entry41
花は言わない
どこに行くのですかとは
もう言わない
車に乗った時点で覚悟はできているのだ
その代わり
大丈夫ですよね
借金返したら戻れますよね
と
肩がまだ震えている
大丈夫だよ
すぐに戻れるから頑張ってね
と
無責任に答えるが
この花は
「沈める」という意味がまだわかっていない
わかろうとしていない
助手席で握りしめられた拳は
汗で滲んでいるけれど
裏口につけて連絡を取る 「着きました。はい。…はい。」
単なる手続き 滞りなく
助手席のドアは開けるけれど
事務所のドアは開けさせる
開けさせたほうが逃げない
もちろん逃げられないが
よろしくお願いしますと
早々に立ち去る
助けを求めるように視線を向けられるが
もちろん無視して
その瞬間
値踏みをする別の視線に
花は気づいていない