第13回詩人バトル全作品・結果一覧

#題名作者
1手を伸ばす清水 岬
2ゴシともみ
3君のことかも3104
4慰めの言葉猫館みや
5読書感想文沙汰
6君を探して森 まゆみ
7言葉爆睡王子
8Art&Heartマッドビースト
9罪人三浦あい
10清く正しい週末ビオラ
11『大好きな時間』橘内 潤
12詩人の死大覚アキラ
13ずっと 忘れないで如月なつみ
14震える女植木
15流氷のようにちゃら
16雨の日の俳句恒石 鉄兵
17角砂糖茶封筒
18甘い影狭宮良 祇簾
19永遠まさのり
20trauma百合
21月夜尾二源昇
22生命TETO
23ある飛行士の詩斉藤久美子
24旅路てこ
25すごいんだよユノ
26それは浮世雲助
27早すぎる時の流れ夏目流水
28短い髪楽太郎
29月が見ている麻貴香音
30雨を待ってASHIRA
31嫉妬伊藤 彰貞
32スロースターター小松 知世
33「決して枯れない瞳の話」コガ クヌギ
34見えない影七草
35凧の糸ひろせ
36ベニヤナヲヤ
37air&egghopper
38雨のち一人間青時
39こころ有機機械
40日付のない日記こむらさき
41花を沈めにいとう
42恋と臓物真鰯
43私が糸を引く理由痛い太陽
44リュウグウノツカイハナ侯爵
45さくらLapis
46そんな月夜の夜に三冬月 琢斗
47少女へK,@,マーホ
48秋月
49デタラメ氷月そら
50トレインロマネスクすーこ
51休日で空人
52亡郷一卍 隼人
53温度。たかほはるこ
54白い君睦月
55乳母車橋本 聡
56scar on his flower.kurusu
57未来の二人に背いてクルストキヤ
58オフェーリア桜居リョウ
59春の足音HIROMI
60素直にHAJIKO
61愛する人へ○蓮の花
62微か吉田大祐
63幼心深sachi
64自虐音治郎
65言葉の重さ芽萌里
66はんたいがわ仲川苓斗
67認められる矛盾で囲まれている僕深谷 章
68門出の詩葉月みかQ
69赤い糸電話春九千
70四角い月光木葉一刀
71ビューティフルピープルぶるぶる☆どっぐちゃん
72こんな私の心でも紀村藍
73neverthelessMASA

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Entry1

手を伸ばす

そこに何があるかなんてわからない
そこにあなたは居ないかもしれない
世界のはてのように
酷い所かもしれない
わたしはそれでもあなたの元へ
行かないわけにはいかない
どうしても
あなたが欲しいのだと
そう伝えないわけにはいかない
それでも戦わないと
あなたを手に入れるために


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Entry2

ゴシ

自分の目で自分の手を足を
できるなら自分の目まで
見てみたいと思うんだ

大きく見えるあの建物も
凄いと感じるあの偉人も
自分の視界におさめることは出来るんだ
地球を自分の目で見た人だっているんだよ
 
でも自分の目を自分の目で見た人はいないんだ
自分の視界に自分を全部おさめた人はいないんだ

たとえ果てまで行ったって
たとえ傍まで行ったって

外側すら見ることも叶わないんだ

ねえそんなものなのに

なくはないんだって思う感触


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Entry3

君のことかも

知っているけれど知らない
知らないけれど知っている
月曜日から金曜日の人
火木金という人
とりあえず日経新聞という人
とりあえずメールという人

知っているけれど知らない
知らないけれど知っている
いつもの立ち位置で
いつものポーズで
とりあえず横目で出欠確認
とりあえず心の中でご挨拶
今日もいい天気ですね

知っているけれど知らない
知らないけれど知っている
いつもの駅でいつもの電車に乗り換え
いつもの駅でいつもの人が登場
とりあえず勝手に名前を付ける
とりあえず勝手にキャラを設定
ゴリラさんはいつも怒っている
別名はメガネをかけたガッツ石松
個性的な髪型の一九さん
ウサギさんはなぜか気になる存在

知っているけれど知らない
知らないけれど知っている
ちょっとしたきっかけで親しくなれそう
思わずおはようございますと
言いたくなること365回
見当たらないと不安になること78回
寝坊?
病気?
休暇?
転勤?
転職?

知っているけれど知らない
知らないけれど知っている
いつも三両目に乗っている方
いつもの方が大変心配しています
至急三両目にご乗車ください
車掌さんのマイクを奪って
アナウンスしたくなること3回

知りたいようで知りたくない
知りたくないけれど知っている
知っているけれど知らない
知らないけれど知っている


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Entry4

慰めの言葉

涙を流すほど心が美しくなるというのなら
あなたの心が一番美しい
悲しいことがあるたび優しくなれるというのなら
きっとあなたが一番優しい
頭にはいくらでも浮かぶ
慰めの言葉
あなたには届かない
慰めの言葉


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Entry5

読書感想文

人生って、四番目の夜みたい。

手拭いが蛇に変わるのを

向こう岸でずっと待っている

そんなかんじ。


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Entry6

君を探して

君と会えて よかった
たくさん もの もらったから
でも ひょっとして  
多くを もらいすぎたから
こんな風に 全てを悟って 全てを失ったの?
よくあることだと 分ってる
でも 2人だけは 特別なんじゃないかって
思いたかったよ
まだ 分らないよ
それが 愛だったかどうか
答えなど 探したくないけれど
探さずには いられないだろう
もういない 君を ほしがるように


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Entry7

言葉

ひとつの言葉 はじけて 空中で花火のよう
あまりにキレイだったので 指でつまんで コンクリートに投げつけた
ひとつの言葉 はじけて 地球を割る真昼


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Entry8

Art&Heart


 アート それは押し寄せる青白い流星群の海。

 ハート それは真紅の舌なめずりの炎。

 ゲート 希望の右手と不安の左手で開け放たれる現在。

 ロード 曲がることもそれる事もない未来。 

 バード 地面に横たわる死≠ノ目をやらずに羽ばたく強さ。

 ルード 汚れたんじゃない、頑なに無垢な野生の色。

 ガード 無視 無関心 無知 無秩序から身を守るのだ!

 シード 可能性を内包する無力。

 ワード 永遠の未完成、感情を模倣する止まない衝動。

 ヒート 醒めるな、この世界を包む微熱よ。
 

 ビート 感動が・・・止まらない。

 
 ハート それは唯一の永久機関。

 アート それは 燃え散る 流星の僕ら。


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Entry9

罪人

何気ない言葉が誰かを傷つける

あなたは罪人
わたしも罪人

忘れないで
言葉は人に歓喜をもたらすとともに絶望を与えるものだということを

わたしは忘れない
一生忘れない


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Entry10

清く正しい週末

明日、マンディ
酷い休日
足の爪も蠢く程の
強い孤独
強い涙
電話は鳴らない
君の為に
空けておく休日は
いつも酷く痛くて
寂しさ紛らわす様に
2人分のビイフシチュウ
1日中煮込んで
独りで食べる
明日、マンディ
少しはマシな
日常
退屈で生きてゆく
君が居ないだけ
ちゃちな平穏
息が詰まる


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Entry11

『大好きな時間』

いつだってそうだった
別れることが下手だった
大好きな時間が大好きなほど
いつか終わることが怖かった

だから、いつも自分から別れを切り出してきた
嘘を吐けば傷つかないと信じて
“終わったんじゃない、始めから無かったんだ”
嘘を吐くほど傷ついてくのに気付かない振りして

でも初めてわかった
強がらなくていい
嘘なんか吐かなくていい
傷ついても平気だって

大好きな時間が終わったことを悲しもう
大好きな時間を大好きと言えた自分を褒めよう

そしたら、きっと笑って言える
“また会おうね”って
大好きな大好きな時間に


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Entry12

詩人の死

そして、詩人が現れた。
詩人は、ただその場に佇んでいた。
何かを語るわけでも、何かを演ずるわけでもなく、
少しだけ俯いて、その場に佇んでいた。
視線に晒され、嘲笑に嬲られ、罵声を浴びながら、
それでも、詩人はその場に佇んでいた。

短く、乾いた銃声。

人々は静まりかえり、倒れた詩人を取り囲んだ。
夥しい量の血が詩人の身体を呑み込んでいく。
緩慢な死に抱かれながら、詩人は何故か幸せそうに見えた。
やがて、人々は死にゆく詩人を眺めることに飽き、
誰もが醒めた顔付きで、その場を立ち去っていった。
それっきり、詩人のことを思い出す者は誰もいなかった。


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Entry13

ずっと 忘れないで

涙は忘れちゃ 

いけないんだよ

この世界の空気を

はじめて吸ったとき

僕は 

泣いたんだ

せつなくて

うれしくて


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Entry14

震える女

古い映画の
 
端役の道化師


声かけたのは

震える女


紫色の

花にも似た


パンタグラフの

小さな火花


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Entry15

流氷のように

硬く凍り付いていても
陽射しの暖かさに身をまかせ
少しずつ融けて
流れにまかせて漂流たい
流れ着く先は決まっていても
いつかは水となり
広い海の仲間
凍り付いていたことは誰も知らない


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Entry16

雨の日の俳句

木棺の

小窓の中の

唇の

雨の降る日の

右手振る人


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Entry17

角砂糖



しあわせってなにかしら?
と聞くはみ出したちょろりとした白いしっぽ


くすくすと戸棚の裏に隠れて笑っている

やれやれと僕はため息をつき、クッキーの袋を開けて
戸棚の裏に少しあげる

しあわせはなにかしら
しあわせはなにかしら
しあわせはなにかしら

くすくすとまだ笑っているそれに僕は答える

「それは愛でできてる」
 と僕は答える。

「愛でできている。しあわせと名の付くものの何もかもが、何かの愛でできてる」 

 くすくすわらうそれがぽりぽりとクッキーを食べながら真顔で聞いた

 ねえ

 何?

「私は何でできているのかしら?」


 言葉にするとそれはふるえた
 ふるえると白いしっぽがちょろりとふるえた

 そうして角砂糖はすべて溶けてしまった
 

 きっと愛でできているから
 きっと愛でできているから


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Entry18

甘い影

手招きすると春が
近付いて来る気がする頃
蘇るのは昔 捕らえたものたち


ばった かまきり 緑の色した
それから柔らかな毛を持った
こうもりや ねずみ

動くものを見ると
潰したくなる頃があった
屈託のない手足を
奪いたくなる頃があった


ばったのね 後脚を こう持って
逃げようとするから

――するから

此処へ この指のあいだへ
足だけ残して ぽとり と落ちる


例えばそんなものが
嬉しく思える頃があった
今恐ろしいくらいに
平然と出来る頃があった

とんぼ くわがた 皆が好きな
それから触れると暖かかった
のらねこや ひよこ


どれだけ痛かっただろう
どれだけ無為なことかと
先の丸い鉛筆でも
刺さればとても 痛いのに

先の丸い鉛筆を見詰めて
今年私は受験生で
薬指の内側に 黒鉛の跡がひとつ


溜め息吐けば春が
掬ってくれる気がする頃
蘇るのは昔の その鮮やかな 痛み

彼等の湧くように生まれる春が 近い


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Entry19

永遠

永遠なんてないのだろう
時間の流れは永遠でも
人は永遠に生きられない
たとえ長生きしても
  姿は変わり
  心も変わる
永遠なんてないのだろう
人には今しかないのだろう
人には永遠がない

人はよく永遠という
永遠に・・・と
人は永遠という言葉で心が動く
時には喜び安らぎを覚える
時には悲しみ絶望を感じる
永遠なんてないのだけれど
永遠を信じてやまない
永遠よ
 なぜ人を魅了する
永遠よ
 なぜ人をだます
人が弱いから
人がすがるから
それでも人が永遠を使う限り
永遠は永遠


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Entry20

trauma

彼は私の眼を見て
まっすぐに見て

「僕は彼女が好きなんだ」

と言った。

狡いなぁが半分

やられたなぁが半分

切ないビートが胸を打ち

ターンテーブルは回り続ける


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Entry21

月夜

蝶が空気の水面に
羽ばたきというやわらかな石を投げ入れて
その波紋がここまで伝わってくる
 
木の葉も震え落ち
さらさらと水中に沈んでいった
 
月の光は
この夜をいとおしむ全てのものに
安らぎと神秘を与え
月の音は銀色の粒子となり
木々に花咲かせる
 
すると蝶は一層喜び
空気の水面に絶え間無く
石を投げ入れる
 
長い夜
静かな夜
全てが光を発している


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Entry22

生命


   夢を見ているんだ

   長い 長い夢を

   本当は真実と 愛がひとつづつ

   僕たちはみんな裸足で

   ただただ呼吸をしているよ


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Entry23

ある飛行士の詩

この瞳から
桜が散るのを見届けたい。

遠き過去を想い出せば
空の青さと
むせかえる程の、あの愛情。

夢を見ているようでした。

また春が終わって
また向日葵は凍え死んで
また葉は酷く、愛を落とし
全てを惜しんで 冬が来る。

そしてまた春だ。桜が咲くね。

どんなに人が 朽ち果てようと
花は咲き続けるもので
あぁそれは狂おしいほど
愛しく愛しく、憎しみのこもる

何も変わらない。
変わるはずもない。

僕が散るのに花は咲く。
悲しみも見せず 空は青く

あぁなんて
つらい運命なんだろうか。


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Entry24

旅路

あるいて

あるいて

やっとたどりついた場所なのに

ぼくはまた きびすをかえし

さってしまうのだ



       その場所から

           にげだす    よう        に


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Entry25

すごいんだよ

てゆうか

空がどんなに青くても

光が限りなくまぶしくても

水がどこまでも透き通ってても

緑があざやかに色づいてても

あたしがあなたを思う気持ちは

それ以上にすごい

すごいんだよ


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Entry26

それは

それは季節が移り変わるように
ゆっくりと だが少しずつ
ひっそりと野に咲く花
君のその若々しさとなって

それは鮮やかに描かれるように
ちから強く 繊細に 熱く
痛みを伴う懐かしい想い
君のその優しい瞳は花開く

うちひしがれた私の魂が
目覚めの唄を呼び戻すように
うららかさに包まれるころ

それは陽だまりに踊る
妖精と小鳥の戯れるさま
君へのそのまなざしの中で


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Entry27

早すぎる時の流れ

さっきまでの風は止んでいて
まるで止まってしまったかのような世界

僕もトマル・・・


眠れぬ夜
何をすればいい?

答えは出ないまま

隣で母親の寝息が聞こえる

目を開ければ散らかった机だけが見の前に

じっとするのも
動き回るのも

ツカレル・・・


遠くで誰かが祈りを告げた

「明日が平和であるように・・・」


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Entry28

短い髪

お前が髪を切ったから
もうなんもゆわんでもわかってる
長いんか短いんかわからんかったけど
一つわかってるんは
明日の朝には
お前がここにはおらんゆうこと

俺いまから
パチ打ってくるから
今日はたぶんもどらへんで

いつもの様に
でてきて梅田まで行く
何やってもおもろないから
サウナ行って暇つぶす

おばちゃん垢スリ
ちゃんと力入れてやりいな
人間て2年くらいで
全部いれかわりよんのやてな

俺の体のなかの
垢全部おとしたら
明日の朝には
別の人間なっとるかな

明日の朝に
別の人間なっとったら
ほんでもお前
おらへんのかな

全部ぜんぶ
垢落として
おれもぜんぶ
かわったらええのにな

そしたらお前と
もういっぺん
出会えんのにな

そしたら俺も
もういっぺんくらい
お前の事
好きやゆえるかな


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Entry29

月が見ている

凍えそうな寒さの中、一人で見上げた空
自転車で切る風は冷たい

月の光と星が輝いて私を照らしてくれてる
寂しい気持ちと温かい気持ちの中間で
彷徨って でも歩き出して
私はまた少し強くなる

月の輪に貴方を重ねて夢の続きを見に帰ろう

自分の為に泣けば悲しくなる弱くなる
だから貴方の為に泣こうと決めた

キミノタメニ
キノウガスギテユキ
キミガイルカラ
キットシアワセ
少しだけ優しくなれる気がする

星が月が白黄月が私を見ているから


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Entry30

雨を待って

もともとそれほど深い井戸じゃなかった
今まで大事に使ってきたけど
もうすぐかれてしまいそうだ

新しい井戸を探して、探して
でも見つからない

それでも
井戸を探すことを止めることは出来ない
水は生きるために必要なものだから

見つかるまでいくつでも
水が出そうな場所を

そうしているうちに

もしかしたら
山の頂に
雨が降り
渇れかけた井戸に
再び
水が戻ってくるかもしれない
今このときにも
雨はふっているかもしれない

麓まではもう少し
井戸を満たすのにもう少し

わたしは
新しい井戸を探しながら
雨を待ってる



未来への道標


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Entry31

嫉妬

愛すべき人に
嫉妬を繰り返すことが
彼女にとって
僕への嫌悪につながるかもしれない
もっと束縛していたい
しかし愛させなくなるのが怖い
愛の造形を羞恥のの器で固めても
決して満たさせることはない

今、彼女は僕を愛していてくれる
それだけで良いのではないか
何故不安になるのだろう

愛すれば・・
愛されれば・・・

より深い愛を求めようとする僕は
安定した生活に溺れた人間の様に
哀れで儚い

満たされれば
満たされるほどに


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Entry32

スロースターター

好きだって言えたら
この恋は始まる


だから
それが出来ないんだってば!!!


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Entry33

「決して枯れない瞳の話」

目の前の光景を受け入れられず
その子は倒れたんだと思う
大切な人の目が
事故で飛び出していたんだから

ぼくはよく願う
とてつもなく辛い瞬間
「ああ、このまま気を失いたい」って
でも現実は甘くなかった
もがいて苦しんで じっくり味わって

どこまでが限界なんだろう
ぼくはどこまで正気でいられる??
愛するきみよ
ぼくのすべてをその目に
収めてくれないか


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Entry34

見えない影

気が付けば あなたの影が見えなくなった日から
帰るはずのないあなたの帰りを
永遠に待っている自分がいた。
気が付けば 昔読んでいた絵本も
読めなくなっていて
悲しかったけど
いつも冷たい月が
今日は触れると温かくてうれしかった
あたしは いまもあなたを待っている
目に見えないあなたを
影すら見えないあなたを
鏡にも映らないあなたを

この街の風は
私にだけなぜか冷たくて
私が一声鳴いたって
みんなミルクしかくれなくて
それでも誰にも見えない影
ずっとずっと待ってました


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Entry35

凧の糸

わたしは空を飛んでいる。たかく優雅に飛んでいる。
空を飛ぶって楽しいよ。
遠くの海も見えるから。鳥と友達になれるから。
風と一緒に踊ることができるから。
人が小さく見えるから。

わたしは空を飛んでいる。小さくさびしく飛んでいる。
空を飛ぶって悲しいよ。
雨のシャワーを浴びれないから。太陽と友達になれないから。
夜の星を見れないから。

わたしをつなぐ一本の糸。わたしはこの糸に操られる。
もっとお空にいたいのに。もっと海を見たいのに。
もっと鳥とお話したいのに。

太陽が遠くなっていく。鳥の声が小さくなってゆく。
人が大きく見えてくる。

そしてまた、部屋の片隅でしずかにしずかに眠っている。


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Entry36

少女はぐっすん泣いていた
秋の夜長の次の日に
少女はぐっすん泣いていた
暗い夜道に電燈の灯
少女はぐっすん泣いていた

昨日の夜の僕の刻 
外から聞こえる雨の音
ただし光った暗雲の
                                      まぶしいこと この世の物とも 

ふわりと雨戸に張り付いた
                                      ビニール袋の人の縁とはどのような
 
少女はぐっすん泣いていて
ねずみはそれを見ていたが
いつまでたっても泣き止まず
ねずみはそれをあきらめた
少女はぐっすん泣いていた
頼みは見えない月の光の射すことを


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Entry37

air&egg

生まれたての話をしよう。

僕が空気を咬みながら
横目に消えた鳥の薄羽の話
あるいは君の話
本当は孤独の壁面をたまごの内に例えた
もう生きていない詩人の話

重なる僕の季節は
いつだってチョコレートを食べ過ぎだから
たまごを殻ごと口にほりこむ
歯はチョコと先を争い
タラタラ音を立ててとろける
愛しさを歌いながらこぼれた声も
そのまま地に染み込んで見えなくなる

僕は殻を急いで食べていった
君はその白い足のままで
たまごからはみ出て待っているのに

時に僕がもう生きていない話
本当に知らない僕の
生まれていない子どもの話

僕が誰かを愛した話は静かに水に帰る
空気とたまごの話にすり替わり
僕の子どもの頃の話になり
そのまま母の話になり

いつか
空とたまごだけの
話になる

ああ おはよう

そんなに世界が眩しい日なら


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Entry38

雨のち一人間

雨が
とめどなく降っています
その一粒一粒が
それぞれ意思を持ち
地面へと――

穴だらけの傘を
実に無意味なタメイキで湿らせ
閉じたまま
歩いてゆくのです
上へ上へと――

今こうして降った雨も
いつの日か
地上へと湧き上がってくるでしょう

濡れた髪を
かきあげながら
落ちてゆく日を

私には
見つめるしかできません


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Entry39

こころ

指のあま爪のさかむけ

後悔するのが分かっているのにむしり取らずにいられない

そしていつも僕らは痛い目をみる

それでもむしり取らずにいられない

いつかきれいに切り取れることを夢見て


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Entry40

日付のない日記

1.立春 


寒空を透く雨だれが落ちて

白梅あわく路地に映る

小走りでおうちへ帰ろう



  白梅が咲いたこと
  
  とうさんに話してあげるんだ

  今日気づいたんだよ
  
  一雨ごとに春めいてくるって

  とうさんの嫌いな作り話
  
  なんかじゃない




2.節分



「トオサンハ、オニデアル」

豆を投げる

「もう、家出してやる」

だからストライク!!

腹がへっても

とうさんの車の陰でへこんでいる



  換気扇の窓から

  うさぎのスープを煮込む匂いが

  ただよってくる

  遠い日の

  夕餉近くのガレージ



あの、かくれんぼには

今になって

おもいあたるふしがある

小さなわたしの反抗に

とうさんは笑っていたような気がする




3.少し前のお話



それはひっそりと

道ばたに置かれていたから

それはできれば

したくなかったけれど


  
  拾い上げると

  野鳩は手の中であったかい

  地面の暗やみにおりたから

  けっして飛び立つことはない



やすらかな眠りについたから

もしももっと飛びたいのなら

いつかまた生まれておいで



  こんな出会いもあろうかと

  ひとときかいなで抱きしめて

  集めた枯葉の上にそっと置いた


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Entry41

花を沈めに




花は言わない
どこに行くのですかとは
もう言わない
車に乗った時点で覚悟はできているのだ
その代わり
大丈夫ですよね
借金返したら戻れますよね

肩がまだ震えている
大丈夫だよ
すぐに戻れるから頑張ってね

無責任に答えるが
この花は
「沈める」という意味がまだわかっていない
わかろうとしていない
助手席で握りしめられた拳は
汗で滲んでいるけれど

裏口につけて連絡を取る 「着きました。はい。…はい。」
単なる手続き 滞りなく
助手席のドアは開けるけれど
事務所のドアは開けさせる
開けさせたほうが逃げない
もちろん逃げられないが

よろしくお願いしますと
早々に立ち去る
助けを求めるように視線を向けられるが
もちろん無視して
その瞬間
値踏みをする別の視線に
花は気づいていない


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Entry42

恋と臓物

とがった酸味と
生臭い銀の記憶を
私はもはやこらえきれない。

それは下へ下へと流れ落ち、

足の指先はたぷたぷと重たい。

─すぐに全身がむくんで
 お前
 黒ずんだアンコウさ。

そうして泣いた瞬間
私の蒸れたタマシイは
音もなく穴から抜け出た。


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Entry43

私が糸を引く理由

せつなくて
くるしくて
いとしくて
はげしくてくやしくてかなしいとき
私は糸を出す
けしてちぎれない糸を
そして契ることのない未来を
私は自分と結ぼうとする
そしてそれは報われない
当然のように叶わない
手をつなぎたいのに
あなたの肌の色が見えないから
私は必死で糸を出す
求めて求めて 求めても
当たり前みたい 届かないのは
そのうち私は糸だらけになる
だからよ
知らない人が私に触れたとき
私が糸を引く理由


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Entry44

リュウグウノツカイ

僕の体は水槽
ゆらゆら長い尾びれを持った
リュウグウノツカイが怠惰に泳いでいます
奴の目は魚眼レンズのように虚ろで
なんでもかんでも巨視してしまう

水深2000mの水圧が
僕の心臓を押し潰すとき
海豚が水面で飛び跳ねる

僕の体を切り刻んでみると
なんと赤い血ではなく
大量の潮が溢れてくる

一滴の涙は人間が創るもっとも小さい海です
とはいいますが
僕はその涙を集めて
水族館を造ってしまいました

そしてそこにいるのは
ただ一匹のリュウグウノツカイ
長い尾びれをゆらゆらさせて
二酸化炭素を吐き出しながら
虚偽に、無気力に、怠惰に泳いでいる

僕は一体、こいつをどうすればいいのでしょうか


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Entry45

さくら

 サクラ咲く

 桜散りゆく
 
 咲き誇れば

 去れば寂しく

 去れば悲しく


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Entry46

そんな月夜の夜に

今宵、月は煌々と輝き 夜の町を照らしている

そんな月夜の夜に響く 音がふたつ 

月に吠える犬の鳴き声 と 夜空に吼える私の泣き声

犬は仲間へ 私はあなたへ

届くことのない想いを

月夜にほえている音が 響き渡っているのです


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Entry47

少女へ

ひとめぼれを しんじない少女と
であいました
ひとのココロは 急に 変わらないと
いいます

少女と ひとには
温度差があります
少女は おなじ体温の ヒトを
さがしています

目と目が あいました
何も できないけど
咲きそうもない花を あげました
つぼみすらない花を あげました
でも 葉っぱの
いっぱい ついている花を えらびました

たくさんの葉っぱに出会えますように
君が 花に なれますように
けっして からさないでね
少女へ


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Entry48

自分を信じろと言う奴ほど  信用できない人間はいない
信用できない奴ほど  すべてを完璧にこなす人間はいない
すべてを完璧にこなす奴ほど  淋しい人間はいない
淋しい奴ほど  純粋な人間はいない
純粋な奴ほど  愚かな人間はいない
愚かな奴ほど  壁にぶちあたっている人間はいない
壁にぶちあたっている奴ほど  楽しい人間はいない
楽しい奴ほど  傷を抱えている人間はいない
傷を抱えている奴ほど  優しい人間はいない
優しい奴ほど  人の気持ちを理解できる人間はいない
人の気持ちを理解できる奴ほど  悲しい人間はいない
悲しい奴ほど  汚れを知っている人間はいない
汚れを知っている奴ほど  いい人と言われる人間はいない
いい人と言われる奴ほど  綺麗事だらけの人間はいない
綺麗事だらけの奴ほど  自分を信じろをと言う人間はいない

生きている奴ほど素晴らしいものはない


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Entry49

デタラメ

指先で机をひとつたたいてみる
とん。
それをつなげてたたいたら
そこに生まれるデタラメリズム
とん。とんとん。とんとんとん。

適当な高さで声をだしてみる
あー。
それをつなげて高さをかえたら
そこに生まれるデタラメメロディー
あー。あーあー。あーあーあー。

デタラメリズム
デタラメメロディー
ふたつを合わせてやってみて
そこに生まれるデタラメ音楽
これってすごくデタラメだけど
これもひとつの音楽だから
お堅いことは言わない、言わない

ねぇ そこで泣いてる君
何があったか 知らないけどさ
悲しいこととか苦しいこと
たくさんあるかもしれないけどさ
そういうの全部とりあえず
投げだして横においといてさ
こっちに来て 一緒にうたおう?
こっちに来て 一緒におどろう?

なになに、「私 音がとれない」?
なになに、「私 リズムがとれない」?
まぁまぁそんな小さなことは
どーだっていいよ、気にしない!
いいからいいから、こっちへおいで
所詮はこれ デタラメ音楽
楽しく楽しくいきましょう

デタラメリズム
デタラメメロディー
つまりはこれ デタラメ音楽
これが聞こえるそのときだけは
ぜーんぶ忘れていいんです
ぜーんぶ忘れてうたっておどって
楽しく楽しくいきましょう

自然に広がる笑い声
ほらほら楽しくなってきた!


突然 訪れる静寂
耳の奥ではまだ音がうなってるけど
そろそろもう、帰らなきゃ
悲しみとか苦しみとかそういうことが
あたしの帰りを待ちわびている
でも
でも…まぁ…なんとかなるよね、きっと。

歩き出したあたしのうしろで
ふっ と誰かが笑った気がした


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Entry50

トレインロマネスク

「3番線に電車が参ります」

あらこんにちは。いや、お疲れ様でした、かしら?
貴方も快速に乗るのね。私が言うのもなんだけど、勿体ないわ。
最後なんだから、各駅停車にすればよかったのに。
え?私がどうしてコレに乗っているか?
そりゃあ簡単よ。過去は興味なんてないもの。
それだけつまらなかったって事よ、私の人生。
あなたはどうなのよ。私と同じ?

へぇ、成る程ね。でも折角なのに…。本当勿体ないわね。
まぁ個人の自由だし、これ以上は口を挟まない事にするわ。

ガタタンガタタン

あ、ホラ。駅を一つ通過するところよ。
各停なら降りる人も沢山いるんじゃないかしら。途中下車ってヤツね。
貴方みたく有意義に過ごせた人なら、惜しくもなるんじゃないの?
あぁごめんなさい。口は挟まないとさっき言ったばかりよね。
それにしても、この先どうなるのかしら。
私も貴方も今までこの電車に乗ったことがないし、この先乗ることもない。
判らないのよ。でも不思議と不安にはならないものね。
アラ、貴方は不安?まだ未練があるせいよ。羨ましいわ。

ガタタンガタタン

何だか、少し若返ったんじゃない?目尻の皺が消えたわよ。
そうね、また駅を通過したんだわ。
貴方、若い頃は結構いい男だったのねぇ。
怒った?ふふ、許してちょうだい。口が悪いのよ、私。
私はずっと変わらないわ。ずっと醜かったんだから。
空がセピア色だわ。これも夕焼けのせいじゃあないのね。
でも、とてもきれい。

なぁに?さっきの話?貴方、私を慰めてくれているの?
そんなこと、しなくったっていいのに。
また若くなってるわ。昔から、真面目だったのね。

ガタタンガタタン

またさっきの話なの?もういいわよ、しつこいんだから。
私はそんな事、少しも気にしちゃいないのよ。
でも、いくらこの目に涙が浮かんでいたって、悲しいからとは限らないのよね。

ガタタンガタタン

ねぇ、黙ってないで何か言ってよ。どうして難しい顔をしているの?
……判ったわよ。観念するわ。
私、貴方の言った通りよ。さっきの言葉、本当に嬉しかったの。
外に出たことがなくて、人を知らないで。
心からそれを言ってくれる人が誰もいなかったのよ、きっと。

ガタタンガタタン

外が、暗くなってきたわ。もう終点に近いのね。
着いてしまったら、離れてしまうのよ。
でもありがとう。本当に嬉しかったの。
短かったけど、楽しかったわ。さようなら。

「ご乗車、お疲れ様でした」


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Entry51

休日で

休日でごった返すスーパー
主婦、老人、子供

これだけたくさんの人間がいるのに
僕は誰ひとりとして知らないことに気づく
主婦、老人、子供

ざっと数えてもここには30人程度
日本には約1億人
世界には60億もの人間がいる
そして僕は
小さな町の小さなスーパーで
小銭をつまみながら細い息を吐き出している

知らない人にかこまれて
それでも僕は思う
僕が知らないだけで
じつはどこかでつながっているんだろうな、と
100年前、1000年前、10000年前

最初の人間は
だだっ広い草原の大きな丘の上で
木の実をつまみながら
遠い将来のことを
考えていたのかな


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Entry52

亡郷

小熊座の男が陰気なテレパシイで
羽毛に包るものたちを
インチキ啓蒙したせいで
鳩は鷹になり
鶏は梟になった。
やがてその子供等が大きくなり
紛らわしい鳥が大空を飛んでいることを
皮肉めいて「これがバーチャルな現実さ」と嘯いた。

誰もがこんな筈ではなかったと言う。
なるべくしてなったときの言い訳を
たった今目覚めたふりをして
我を失いかけていたかのように。

或日
小熊座の男が無能な占い師だったことを
金星人が暴露した。
羽毛に包るものたちはもう一度
寝直そうとしたが
自分たちは
朝に寝るのか夜に寝るのか
もう分からなくなっていた。
帰る方角にも混乱し始めたので
卑怯な子供等は幽体になって
いかさま空を舞うのだった。

 平成十四年二月二十四日


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Entry53

温度。

電車。

今日もカタン、コトン
   走ってる。
   リズムを刻んで。

それはとても不思議な感覚。
私の弱さを打ち消すように、温めるようにそれは続く。

電車。

今日もカタン、コトン
   走ってる。
 
   あったかいね。


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Entry54

白い君


雪はキライだ。
静かに降り注いで静かに消えてゆく結晶たち
何事もなかったように白々しい朝に数え切れないため息。
それでもなごる雪は醜い
人とちょっとにてるね。

雪はイヤだ。
手にとってよく見てみようと思ったらさらさらと消えていく
積もった雪を泥んこの靴で踏みしめた。
なんかきたなくて
人とちょっとにてる。

君がキライだ。
あんなに愛し合ったのに こんなに近くにいたのに
一人で遠くへ行ってしまった君が嫌いだ。 
ここにいるのは息をするだけの陶磁器人形。
閉じたきりの白い瞼 溶けて消える淡雪に例えたり出来ない。

僕は知ってる。
君は一つも抗わないということ
その細く白い項に手を掛けようとしている影を
僕は知っている
直ぐに消えてしまうその命のモロさは
雪とちょっとにてること。

強く手を握ったらぽたぽたと冷たいしずくがたれてきた


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Entry55

乳母車

冷たい外気 ひんやりの夜
カタカタ コトト カタ コトト
進んで行きます 乳母車

一本路地に ひんやり響く
ギシギシ ギイイ ギシ ギイイ
女が押して 乳母車

月の灯かりの 真っ青照らす
コウロ コロコロ コロ コロロ
人形眠る 乳母車

光芒の空 見上げる顔は 虚ろな瞳 真っ白な肌

どうもここらはこの世じゃないな
ギシギシ ギイイ ギシ ギイイ
道はどこまでも ギシ ギイイ


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Entry56

scar on his flower.

君は僕に痛みをくれたけど
僕は君に優しさをあげられない
綺麗事で生きていけなくて御免ね
君はそう謝るけれど
汚れたと言い張るならその口を奪うよ
どこが罪に塗れたと云うの
揺れない花のように変わらずに咲いているのに
僕は喋る鳥のように賛美し続けるのに
君が必要なのに

今度又汚れたと言い張ったら
君の胸の真ん中に咲いている花
此の僕の手で散らしてしまうからね
覚悟して居て。


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Entry57

未来の二人に背いて

蝶が死んでた
冬のオワリ
未だ生きてたんだ馬鹿な感想を洩らす
アスファルトの地面に汚すみたいに落ちて
誰が擦り潰したのかオレンジに同化していた
埃と黒と飛ぶためのハネ
きっと綺麗だったろうにね
粉々になりかけて
燐粉が、ヒカって
もう少し待っていれば春が来たのに
そんな残酷なことを云って
君は蝶を埋めたんだ

花が咲くからそれも置こう
2丁目の角の湿った土が新しい僕たちのイタミ。


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Entry58

オフェーリア

もうすぐ枯れてしまうから
最後の一滴を頂戴
紡いで温めた言葉を此の喉に刺して
声が出ない方が行為には都合がいい
悲しみを繰り返す前に痛みで終わらせてしまうから
もっと穿って
合意など待たずに好きだと云って
それから死んで
残された白は花になるでしょう
そしたら摘んで、彩ってあげる
その瞼に粉を散らして飾ってあげるからね

満足げに目を閉じて流れ逝く少女のように。


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Entry59

春の足音

春が来る。町をピンク色に染めるあの春が。あまいにおいの風を吹かせ、幸せを運ぶあの季節が。新しいことや、新しい人に出会えるかわりに、何かを失ってしまう。不安と希望がこうさする今、「それでも進め」と、春は足音をひびかせながら、ゆっくりゆっくりとちかづいてくる。


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Entry60

素直に

思い浮かべる顔 笑う 笑う わらう
聴こえる声 高く 大きく 騒がしく
ふれ合うからだ 柔らかく 温かく 敏感に

惜しみなく 惜しみなく 
目の前を早々と流れる川の水を 両手ですくう

言葉は過去になるけれど
指先で 数えてて
呼吸して 感じてて

「ありがとね」

鼻水混じりになったら
ちょっとだけ だきしめて


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Entry61

愛する人へ

どうしてあなたはこんなにも私をつつんでくださる?
どうしてあなたはこんな私をみていてくださるの?

もしも たった一つだけ願いが叶うのなら
私はあなたの幸せを 願うだろう


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Entry62

微か

歪んだ世界の中で、
僕等が求めたものは、
水溜りに映る小さな空だったり、
晴れた日曜日だったり、
夕暮れのどう仕様も無い淋しさだったり、
見えない痛みだったり、
いつかの温もりだったり、
終わりの無い闇だった。
ふと一人に成りたいと思っても、
何かと、
誰かと繋がっているのが常で、
其れがとても遣る瀬無くて、
そっと灯りを点したんだ。


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Entry63

幼心

外を走る車の明かり
突然唸る冷蔵庫
窓にぶつかる風の音
発情した猫の鳴き声

怖くて
心細くて
大きな声を上げて
親の布団にもぐりこんだ

あれから幾年月
私はずっと
変わっていないと信じていた

でも 気が付いたんだ
家族が寝静まった後
真っ暗な家の中を
私は平気で歩いていた
何にも怖くなかった
ちっとも怖くなかった

こちらを照らす満月に
まともに顔を向けられず
光の外で少しだけ泣いた


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Entry64

自虐

ここまで生きてきて
これほどに自分を
自分自身を浅ましいと思った事はない
あまりにも
自分のした事してる事を
自分の理想や生き方に沿っていなくて
レールを外れてしまった気がして
他人の敷いたレールならば
笑い飛ばしてしまう事もできる
自ら敷いたレールだから
こんなにも失意にくれる事はない

どんな言葉も
どんな優しさも
どんな想いもいらない
自分の中の自分が居場所をなくして
いつしか目先の簡単な道に逃げ込んだ
そうして辿りつき
ぶつかった先で
また苦しむのだ
苦しめばいい
悲しめばいい
すべてを見失って
どこにも生き場を無くして
そうして自分から壊れていけばいい
絶望にくれて泣き叫べばいい
それが自らの戒めとなるのだから

それでもまだ光を見るのだから
未だ自分を戒めれていないのであろう
光を見る目を潰してしまえ
暖を求めて歩く足を折ってしまえ
支えをさがす手を切りとってしまえ
おまえという人間は
そうでもしなければ救えない
そうでもしなければ
おまえという人間は納得しないだろう
ここでも己を尊重してしまうのだから
おまえはほんとうに救えない人間なのだろう
考える頭を切り落としてしまえ
自ら身を焼き焦がし灰になってしまえ
そして
無に返ってしまえばいいのだ
そう
無に返ってしまえばいいのだ…


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Entry65

言葉の重さ

「好き。」
言われるととても嬉しいけど
自分からは言えない。
あなたが言ってくれるのをいつも待ってる。
たった2文字の「好き。」より
「私も…。」の方が言いやすいのは
言葉が重過ぎるから?

「愛してる。」
言われるとこの上なく幸せだけど
あなたに言った事はない。
言ったらあなたがいなくなってしまいそうだから。
いつも肝心な言葉が言えないのは
言おうとすると唇が震えるのは
言葉の重さを量ってしまうから?


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Entry66

はんたいがわ

あなたの嫌いなものは
好きになろうと思うのです。

心が窮屈になる日には
はんたいの窓から訪ねましょう。


どうしても残ってしまう魚とか
どうにも避けてしまう小道とか

何ひとつ認めない戦いだって

否定したまま置いていかないで。


はんたいがわに触れたわたしの
手引きで何歩もめぐりましょう。

あなたの宿してゆく愛には
限りなく広がってほしいのです。


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Entry67

認められる矛盾で囲まれている僕

 
 
運命は
見えないからキレイ
あの人がそこにいて
僕がここにいて
君は案外近くにいるような気がして
知らない人が君の隣にいて
そんな 認めたくなかったり
知らなかったり
真実の裏に隠された事だったりすることが
今の僕の位置で
運命でもあり偶然でもあり必然なんだと思う
だから
僕はそれを背負って
毎日神様に祈りをして
怖くなったら南無阿弥陀仏を唱えるような
そんな毎日を送っていけばいいんだよね


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Entry68

門出の詩

ブルーハーツがいたあの頃
僕らは何者にでもなれて
何者にもなりたくなかった

ケンカなんて日常茶飯事で
帰り道は変幻自在だった
カッコつけたり
はにかんだり
ふざけ合ったり
熱くなったり
胸には
小さいけど
真鋳みたいなプライドがあった

懐かしいことは増えていく一方なのに
懐かしむ余裕はどんどん減っていく
それでも
あの頃を共に過ごせたから
遠く離れても僕らは大丈夫だ

なあ
あの頃は
ブルーハーツを聴いて
泣いたりなんてしなかったよな


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Entry69

赤い糸電話

私の持ってる携帯電話
彼と私の赤い糸

たとえ遠くに離れていても
いつもあなたと話せるの
私の声は光速で
あなたの元へ届くのよ

私はいつでもi-モード
彼とつながってH-モード
ピポパポピポパポピポパポピ
ピピポピホパポピポパポピ


私の持ってる携帯電話
バイブレータ付きなのよ

たとえ数年会えなくたって
傍にあなたを感じるの
あなたのハートのインパルス
携帯通じて伝わるわ

私はいつでもi-モード
彼とつながってH-モード
ピポパポピポパポピポパポピ
ピピポピホパポピポパポピ


私の持ってる携帯電話
彼と私の大事な絆

たとえすれ違い多くたって
一緒にいるのと同じなの
携帯通じて心が通う
私はあなたと結ばれる

私はいつでもi-モード
彼とつながってH-モード
ピポパポピポパポピポパポピ
ピピポピホパポピポパポピ


私の持ってる携帯電話♪
彼to私の―――――
―――――――赤い糸


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Entry70

四角い月光

夜、射し込む光は
青白く
窓を、通して射し込む光は
四辺形で
丸い月の形もあったもんじゃない

白い壁を照らし出す光は
青白く、黄色く、そして紅く
それでも窓を通す光だけは
四辺形で
彩りも鮮やかな光は
心変わりの激しい私の心のようだ
丸く、なれない、四角く
頑固な

窓を通す月明かりは


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Entry71

ビューティフルピープル

例えばどうにもならない時
私たちは海を見に行きました

例えばとても悲しい時
私たちは口笛を吹きました

例えばひどく寒い夜
私たちは少しだけ抱き合いました

例えば私の子供が産まれた時
あなたは飢えを無くす為に麦を蒔き始めました

例えば太陽が陰る時
私たちは飼っていた豚を食べました

例えば戦争が終わった時
私たちは肩を抱き合って泣きました

(誰かが銃を取れと叫んでいる
戦争はもう良いと泣いている、あの老婆の脇で叫んでいる)
(人民の人民による人民の為の)
(ヒロシマが被爆しました。戦争は終わりました)
(「想像してごらん?戦争の無い世の中を」)

そんなふうな
そんなふうな色々の
愛とか憎しみとか
希望とか絶望とか
ベートーベンとかマリリン・マンソンとか
アイネクライネナハトムジークとか
勝手にしやがれとか
そんなものを積み上げて
私たちはバベルの塔を昇って行きます
全て等しく積み上げて
私たちはバベルの塔を昇って行きます
子供の身体の上にお父さんの身体を
孤独の上に優しさを
生の上に死を
夜の上に朝を
今日はひまわりの上にマリーゴールドを
積み上げて積み上げて
バベルの塔を空に向かって昇って行きます
一つ一つ罪を重ねて
真実に近づいていきます

神様
私たちは間違っているのでしょうか?
だけど他にどうする術も無く
バベルの塔は崩れ始めているけれど
だけど他にどうする術も無く

だから私たちは今日も
あなたを愛し
あなたを憎み
一歩一歩 一つ一つ
昇って行きます

頂上がちらりと光った気がしました
あれが真実なのでしょうか
それともソドムとゴモラの街なのでしょうか


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Entry72

こんな私の心でも


 
  いつもあなたしか映らなかった


          このふたつもついている目からなのか


  いつもあなたしかいなかった


            このひとつしかない心からなのか、



      こんな私の心でも 
  
 
      心は痛むことを知っていたのです


    
      だってほら、こんなにも


     
      涙が

    
      こぼれて います


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Entry73

nevertheless

気付いている
自分は弱い人間だって
でも 認めない
認めたら自分が自分でなくなる


甘えたやつにはならない


解っている
くだらない意地張ってない方がいい
でも やめない
プライドを捨てた俺がどんなか想像つかない


こんな自分がきらいだ
それでも俺は進んでいく

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