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第14回詩人バトル Entry47

僕の君

凍えた風に向けたしかめ面をビルの窓に映し
唇を引き伸ばして笑い直す
懐かしい街並みに溶け込むべくどんどん歩く君

じんわりと降りてきては圧倒的に世界を染める
僕らの夕暮れ
驚いているのは話すべきことのくだらなさとその多さ
君の語る夢は年々気ぜわしくなっていく
それでもつらい時にいつも呼ぶ名前

この声が届かなくなる前にあと一言だけ言えるとしたら
選ぶ困難に頭を抱えるだろう
ストンと落ちてきてはいつまでも途方にくれる
僕らの夜更け
何も見えない恐怖に足をすくませる時間は必ず訪れ
道標になるのはいつだって君の名前

先のことは何も分からないのだと言い切ったら
可能性の多岐に目眩を覚えるだろう
この日々は遠くまで繋がっていく
歪んだりひずんだり弾けたり輝いたりしながら

白く緩やかに立ち上がり、広がり続ける僕らの夜明け
しかめ面にも心地よい風が吹いてくる瞬間
日々はここに始まり遠くまで繋がっていく
コートの裾をひるがえし全速力で街を駆け抜けた後で
膝を折り赤い頬で笑え、僕の君よ

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