第16回詩人バトル Entry2
春風の強い夜でした
桜が散り去ってしまうかのような
あたしはただうずくまって
夜に響く、風の鳴く音を聞いていました
貴方は知らないでしょうけど
あたしの心をさらったのは
他の誰でもなく
桜の木の下でいつも見かけた貴方でした
貴方の何も知らなかった
柔らかな陽の下の笑顔しか知らなかった
まだ耳に覚えている深い、優しい声しか知らなかった
別れはあっけなく
春風に乗って思いは吹き飛ばされる
春風に乗って遠い彼方へ
貴方はきっとあたしさえ知らないでしょうけど
あたしの心をさらったのは
他の誰でもなく
桜は散りゆく
あたしは貴方にもう、会えない