第16回詩人バトル Entry83
厨房の一隅で
反復横跳びを繰り返す俺は
蛇口から垂れる
鶏卵の硬質な独り言に
入門したての砂時計を握られ
思わず頬を赤らめる
柔軟な円筒が
奏でる呼吸音は
足裏の空騒ぎを
ひるみがちな座標軸に直交させる
故郷からの手紙にも似た
赤ん坊の鼓膜の薄片だ
川魚の秒針にさえ呼応する
ささくれ立った俺の触角は
ガラス窓の右隅と同質な
店の一人娘の内腿に解放した
笹舟と言う名の噂話で
もちきりだ
到達を拒む運動が
たった一人の兄を媒介に
朝靄の長蛇の列に沈黙を強制した
ビー玉色の夏
残飯から滲み出す
瀕死の流星群は
北北西の腋の下へ黒猫をすべり込ませ
排水溝経由の糸電話を奪い取り
純情な液体を舌先で絡めとる
反復せよ 横跳びせよ
反復せよ 横跳びせよ
反復せよ 横跳びせよ
サヨウナラ 蝉の抜け殻