第17回詩人バトル Entry19
岬が近づいてくる。
いや、私の方が近づいてるのだろう。
「あなたは彼女のクローンなのよ」
母が云った。
「あなたは、彼女が病気になったとき取り替えるために作られたの」
「腎臓を一つ貰ったわ」
母−いや、もう母じゃない−が云った。
「右腕が欲しいの、いいわね?」
なにか 得体の知れないモノが云った。
「彼女は優しいわねクローンなんかに自由を与えるんだから」
何処か遠くから聞こえてくるような声で目の前のモノが囁いた。
何故、自由なんて与えたの?
自由なんてない方が良かった。
初めから無ければ、失う辛さを味わうこともなかったのに。
岬の先端についていた。
小雨が私の髪を濡らしていた。
まだ残ってる左腕で勢いをつけた。
海面が近づいてきた。
『繋がれた風さえ動き始める
岬にやさしい雨の跡
強い光は 影を焦げ付かせて冷えた
愛から 覚めるように』
『』の部分は、「ポロメリア」作詞作曲こっこからの引用です。