第17回詩人バトル Entry25
胸に 穴が あいていた
深くて 均等で
宮大工の仕事みたいに 美しく
でも
私は その美しさよりも
そこを 吹き抜けていく風が
痛いことに 耐えられずに
だから
その穴を ハチミツでふさいだ
体の後ろ側から 溜まっていって
温かくて くすぐったくて
でも
穴は確実に 埋まっていった
やがて ハチミツは
私の穴をふさぎ
体を流れ始め
後から後から
かれることはなく
私は それが こぼれないように 横になった
体中 ハチミツだらけで
甘い匂いに 気分が悪くなって
重たくて
やがて体のほとんどが ハチミツの中に沈んだ
とうとう口の中にも 流れ込んだハチミツに
窒息しそうになりながら
私は考えた
もうすぐ
口の中がハチミツでうまって
私は その圧さに
気が狂う もしくは
それならば
あの時 ハチミツで穴をうめようなんて
思わなければ よかったのか、と。
けれど
私の胸にあいていた穴が
ちょうど ハチミツでいっぱいになった
あの瞬間は
私は これまでにないくらいに幸せで
あの瞬間を想うと
立ち上がることなど
したいとも 思わなかったのです。