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第195回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1トマトと制服咲本らら259
2この駅を出る電車サヌキマオ157
3享受日向さち225




 


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詩人バトル読書会
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エントリ1  トマトと制服    咲本らら


目の前にあるトマトに触れると
まるで少女の肌のように
私の指を押し返した

まだ熟れきらぬその身に
一体何を隠しているのか
薄皮に歯を立てると
どろどろの汁が溢れた
まるで血潮のように

きっと私にも流れている
どろどろの醜い汁が
真っ白な制服に隠された
十七歳の熟れきらない心
身体と心の不一致に
いつまでも歯噛みしたまま

恋をすれば
知恵をつければ
自立すれば
私は成熟するのだろうか?

青い果肉を噛み潰して
ぐちゃぐちゃに制服を汚しては
ぶつけた疑問を睨みつける

思春期という薄い皮の中で
私たちはきっと腐っていく
そんな予感をそっと
プリーツスカートの裾に隠した







エントリ2  この駅を出る電車    サヌキマオ


この駅を出る電車は
1/20の確率で始発である
電車庫があるからで
朝日を載せた車両と
夕日を載せに行く車両が行き違う

まもなく電車は地下に降り
本郷三丁目
大手町
東京駅
パリ
モスクワ
ダリの小脳
箪笥の樟のう
古本屋の紙魚の通り道
河豚問屋の猫の通り道
ゆるやかに照らし乍ら
地下へ、地下を横切る
やがて凍土に突き刺さり
二億年後の人類に発見される



エントリ3  享受    日向さち


永遠に光を注いでくれればと願う
手を伸ばして背伸びしても
鍛えた足で跳んだって届かない
だから見上げていられるの

貴方が放つ光に憧れて
だけど貴方になろうとするのは
おこがましい
舞台に立つ貴方を見上げて
私は受け止めたい一心で
それ以上 求めるものも無い

他力本願 分かってる
でも自ら輝ける人ばかりじゃない
ちっぽけな衛星だっていいじゃない
貴方の光に照らされて
これ以上 何を求めるの

果てしない時間を巡っても
ずっと
引力を感じているの
だから
私が消滅するまで
そこにいてください