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第239回詩人バトル


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エントリ作品作者文字数
11999年、夏日向さち564




 


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エントリ1  1999年、夏    日向さち


一人暮らしをしていた街で
やりたくない仕事に就いていた
1999年、18歳だった私は
嵐になる前の大野くんがテレビで
SMAPの「朝日を見に行こうよ」を歌っているのを観て
それだけをきっかけに、翌朝、自転車で出掛けた

一人で橋の上を通りながら日の出を眺めて
そのまま勢いで峠を越えて
辿り着いた湖畔には、ジョギングや散歩で行き交う人たちがいた
でも、そこへ混ざったり、のんびり眺めたりはせず
トイレにだけ寄って、折り返して
昼食時には帰宅していた

それで気持ちが楽になったわけではなく
変化といえば、日焼けで腕の皮が剥けたくらいで
そもそも大野くんのこともよく知らなかった
サイクリングが趣味だったわけでもなく
それでも楽しかった気がするのは
日常が行き詰まっていた証なのだと
最近になって思う

嵐がデビューして
私は彼らのシングル曲「HORIZON」を好きになった
でも、未来って スゴイって 決めつけることができず
あやふやな希望を抱きながら生きていた
あれから幾つかの職場を転々としたものの
いまだに適職だと思えるものには巡り合えていない
でも今は、スゴイ未来なんて
私には無くてもいいものだと理解している

1999年、梅雨の晴れ間だった
あの日、自動販売機のところで遭遇した見ず知らずの小学生が
おはようございます、って挨拶してくれた
そういう類の記憶の数々を
心に残したまま、これからも生きていきたい

作者付記:嵐「HORIZON」の歌詞の一部を引用しています。