Entry1
体中を愛に包まれ
人間は醜いものだ
自分のちっぽけな意思で
平気で笑い
平気で殺し
平気で泣く
人間はなんて美しいんだろう
小さな幸せで
みんなで笑い
自分を殺し
泣いてくれる
※サイトのアドレスが変わってしまったので前回までのアドレスで訪れてリンク切れになってしまった方、この場をお借りしてすいませんでした。
おに
http://www.goodkey.net/~oninouta/
サイト名■STEEL MY HEARTS
文字数(行数)10
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Entry2
蝉
吸い込んだ 朝の空気
瞼の裏に 夢の中の君
手探りで 掴もうとした
君は笑顔で ”バイバイ”
泣いて 泣いて 鳴いて
枯れた喉 乾いた心
ほたるの様に 輝けない
泣いて 泣いて 鳴いて
君に サヨウナラ
Entry3
停滞者のわがまま
ああ 見えないんだ どうしようか 突破したい?
ふさがってる 先も後ろも さあね いいや 実は
行きようが 上も下も? ふさがってる それほど
ないよ どこもだよね やり場もなく そうでもない
停止してる 見つからない 迫り来るカベ 絶対に絶対に
動かない? ようにね 昔見た とどまりたい
動きたくない そばから離れ ゲーム ここにいたい
かもしれない 消えてみたんだ みたいだった 駄目ですか?
流れないで 変化したい? いかないで? さびしいとか
時間なんて わけないよね いや 逆だよ 思うのかな
どうしてそう できるだけ 離れたのは いつか
古びさせるの 同じまま こっちだ 死ぬ頃とかは
もっとずっと 動かないで もうすき間も 抜け道?
続いたなら カベよ とまれ 全部ないな いらないよ
もしかしたら せめてせめて 行きようがない ここにいたい
よかったのに あとひととき 生きようがない つぶされても
大好きなんだ 放してよう 大好きなのに いやだよう
ここにいさせて つぶされてもいい 何で ダメ? 行きたくない
連れてかないで とどまりたいの 好きなことして そっちは
いやだ!! 止まってたい 何が 悪いの でも もう 足が
ああ
もう 向こうには
帰れないのね
変わっちゃったよ
でも
何でかな
不思議なんだ
嫌じゃなかったよ
Entry4
グレ−プフルーツ
あなたの好きなグレープフルーツ
今日も買いにいこうと思います
3時を過ぎてもメールが無いまま
土曜はあなたのことあきらめてたのに
冷蔵庫の隅に転がったグレープフルーツが
妙に不自然で悲しかった
でもあなたは来てくれた
私を埋められない寂しさから救ってくれた
今日もメールがないまま
サンドイッチをかじってる私だけれど
もしかしたら
もしかしたらあなたが来てくれるかもしれないから
今日もグレープフルーツを買いに出かけます
半分に切った瞬間に
白いまな板の上で転がった
薄いオレンジの果肉と
散らばった不ぞろいの種が
私の不安定なあなたへの気持ちのようで
忘れられません
ブラックのコーヒーを飲んでいる私の横で
あなたは砂糖とクリームいっぱいのコーヒーを飲んでた
私はとても幸せだけど
やっぱり やっぱり
あなたが恐い
あなたは人生の楽しみ方を知ってる
あなたは私がいなくてもきっと大丈夫
でもわたしにはあなたしかいないから
あなたに嫌われることが何よりも恐い
失うものが何も無くなれば
きっと不安も悲しみも恐怖も
何もかもが消えるのだろうけれど
でも、それでも
もう少しだけあなたと
私のあなたへの愛を信じて
そして生きてみようと思います
あなたに出会えたこと
世界中の人にありがとうって言えるように
Entry5
世界
顕微鏡を通して見る世界と
天体望遠鏡を通して見る世界
確かにそれはそこにあるのに
僕の目だけじゃ何も見えない
頭の中では認識できても
僕の目だけじゃ何も映らない
僕の体に触れているもの
メシエ天体の彼方にあるもの
みんなみんな見えないけどもそこにある
理屈ではわかっているのに
あることすら忘れてしまう
そんな世界を知らなくたって
生きることには何の不自由もない
けれどそこには
例えようのない感動がある
だから僕は右目をつむって覗き込む
Entry6
美しい人よ
雲が流れる 鳥のように
どこか遠くへ 帰りたい
忘れてた 心を求め
幸せを 歌いたい
風 薫る街の 美しい人よ
あなたの瞳に 手をさしのべれば
恋に落ちる
季節を告げる 高い空
生まれた故郷へ 歩きたい
なくしてた 心を求め
幸せを 歌いたい
花咲く小道の 美しい人よ
めぐり会った時 そっと抱きよせて
胸は躍る
Entry7
マーキィ・ルゥの遺言<ボクのアートに永久的な価値などありはしない>
弔いの鐘が打ち鳴らされた
さあ、火葬をはじめよう
☆マーキィ・ルゥの遺言 <ボクのアートに永久的な価値などありはしない>
西暦1984年12月31日
20世紀最高のポップアーティストの回顧展会場にて
「みなさん、<マーキィ・ルゥ最後の回顧展> にようこそいらっしゃいました
各メディアの報道ですでに御存知かと思いますが
マーキィ・ルゥの遺言通り
彼の作品は今夜午前零時 すべて焼却処分いたします」
「西暦1985年1月1日午前零時に
ボクの作品すべてを焼却処分する事」
マーキィ・ルゥの遺言より 一部未公開部分を除く全文
「午後11時になりましたら一旦展覧会を終了し
その後午前零時より屋外特設会場にて作品の焼却処分を行ないます
入場券の半券をお持ちの方は参加出来ますので
お捨てにならぬようお願いします
アート界におけるマーキィ・ルゥのおもな足跡
1983年2月 東京郊外の健康ランドの開館10周年記念イベントに贈った
シルクスクリーンと油彩の合体した巨大作品
「いかさま大時計のある風景」でデビュー
斬新なデザインがアート界の話題となる 若干18才
3月 双子のモンスターを描いた30作からなる水彩画の連作
「連作 水レンズ双生児」を発表
2作目にして時の人となる
7月 「壁画」を発表
彼が卒業した中学校の校舎の壁に描かれた「壁画」という名の
巨大な女性器は賛否両論の中
ひと月後に本人の希望により 塗りつぶされた
8月 シルクスクリーン作品30の連作「スクールバス」
10月 東京にオープンした遊園地「KAZEパーク」に
巨大なオブジェ「プール」を発表
金属的な質感を持つこの水の無いプールは
世界中のアーティストから絶賛された
しかし半年後遊園地の閉館とともに取り壊された
1984年 1月 シルクスクリーン 10の連作「デスリズム」
1983年度のニホン芸術大賞の新人賞にノミネートされるが
辞退
詰め掛けた報道陣に
「賞を与えれば人が喜ぶと思ってるんだナチスのやり方と
一緒じゃないか」と語った
2月 油彩画「反転の町」
3月 油彩画「正論1」
7月 油彩画「トリップトリック」
9月 シルクスクリーン「最も美しく簡素なソーイングマシーン」
11月 自宅バスルームで心臓発作により死去 享年19
数日後別荘の机の引き出しから遺書が見つかった
屋外特設会場にて
「さあみなさん零時です
マーキィ・ルゥのすべての作品とお別れする時が来ました」
世界中から集まったファンや報道陣が見守る中
マーキィ・ルゥのすべての作品の火葬がはじまった
「みなさん 先ほどからナニカ匂いがしませんか?
煙りの匂いです
とても甘美な良い香りだと私は感じるのですがみなさんはどうでしょうか
それではここで彼の遺書の未公開部分を公開しましょう
「お集りのみなさん
これがボク マーキィ・ルゥの最後の作品 <厳かなる死臭>です」
この作品を 親愛なる友人マーキィ・ルゥに捧げる
ヨケ:マキル
http://www5.ocn.ne.jp/~yoke/
サイト名■hAsAmi
文字数(行数)70
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Entry8
ラシクナイ行ヒ
瞼の裏は見えないの。
めくる人はいるけど。
嗚呼、白々しい。
睫は涙を溜めないの。
所詮ゴミ避けだってさ。
自分の顔は見えないってさ。
見えてもせいぜい鼻だって。
そう呟いて、鏡の前の私の顔を見て
少しにやける。
嗚呼、気持ちの悪い。
Entry9
日かげの壁よりバニラアイスよりひんやり冷たい
梅雨が明けたと云うのはどうやら本当のことらしく、
建物のかげに逃げ込んで並んで壁にもたれてアイス齧りながら。
隣にいながら距離をはかり損ねている、
もう何ひとつ話したいことなんてないとその目が云っている、
の、わたし、知ってる、のは、わたしもおんなじ気持ち、
だから
こんなにも
アスファルト陽炎ごと燃える午後、
なのに
佐藤yuupopic
文字数(行数)152
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Entry10
油絵
キャンパスに一度乗せてしまった色はもうまっさらな状態に戻す事はできない
無理に削り取ろうとしても逆にキャンパスを傷つけてしまうだけ
どんなに塗りつぶしてもその色合いは滲み出る
なら下地として生かせばいい
白いキャンパスの上にただ青を載せるより
緑や赤の上に塗り重ねた方がきれいな色が生まれるかもしれないでしょう?
さあ 自分だけの色でオリジナルのものを描こう
Entry11
こひぢ
たなごゝろにのりたるつゆを
ひしといだきてまもらふやうな
ちひさくはかなきしあはせを
こひしとおもふひとぞかなしき
相川拓也
http://hp.vector.co.jp/authors/VA018368/
サイト名■iKawa's Telescope
文字数(行数)4
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Entry12
想い
やっと笑えた やっと叶った
ずっとずっと心に秘めた願い
もっと近くで もっと感じて
きっときっと素直に言えるはず
戻れない あなたに愛された日々
変われない あなたを愛してる 今
もしも 想いがあの頃と同じように
恋を 私に譲れないとしても
もしも 未来があの頃と同じように
空を 私に見上げぬようにしても
それでも 想い出にはできない…
やっと出逢えた やっと繋げた
ずっとずっと求めた人と この手
もっと強く もっと熱く
きっときっと離れることなく
気がつけば あなたはいなくなっていて
振り向けば あなたの影さえもない
時が過ぎれば あの頃と同じように
夢を支える 何かになるとしたら
たとえ このまま あのころと同じように
傷を 私に残して消えたとしても
それでも 想い出には出来ない…
Entry14
傾く王国
夜の公園を覗き込め
夜の水槽に手を浸すように
眠る魚をつかむほど近く
その水のなかへ眼玉を落とせ
砂場に犬の糞
花壇に空き缶
ベンチに広告
そして朽ちかかる全ての遊具
一度どこかで見たものたちが
人の憶えを抱いている
錆びた夕闇を包み込み
錆びた雲が向こうへ沈むと
彼等の影は月まで延びる
ゆらゆら水掻き眼玉を目指す
遠吠えの空に記憶を吐いて
月に触れては夢だけみせる
夢をみたなら忘れてしまう
それらの遊具は災いなのだ
夜の公園を掻き回せ
夜の水槽に手を浸すように
魚を眠らせてはいけない
その眼玉が閉じることはない
一度どこかで見たものたちが
人の憶えを抱いている
眠りを見分ける手よりも先に
彼等の憶えは泳ぎだす
懐かしみ覗き込むそのとき
つかみ取られる己のために
黙しつづける公園が
夜の公園がたしかに
眼玉の裏側に
ある
Entry15
酒と女と男のロマン
酒に酔って困ることは数多いけれども
その中で最もやっかいなのは
女の子が欲しくなって醜態をさらすこと
二日酔いの唯一と言ってもいい良いところは
しんどくてそれどころじゃなくて
女の子のことで心を悩ませなくても済むこと
そして僕らは
高嶺の花とけがれなき夢を遠くに見据えながら
今日も千鳥足で進んでゆく
有機機械
http://www.d2.dion.ne.jp
サイト名■ORGANIC MACHINE
文字数(行数)9
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Entry16
きっとずっと
晴れ渡る空
吸い込まれそうになる
心が
君を思い出してる
叶うはずのない想い
だから呼ばなかった
恋とは
到底言えなかった
何も言わないまま
遠く離れた
この声は
もう二度と届かない
今でも心に浮かぶ
君の姿その笑顔
ただ一度だけ
繋いだ右手の感触
今でも胸を締め付ける
苦しい気持ちと切なさ
心が
君を求めてる
晴れ渡る空
まるで君の爽やかさ
罪だね
忘れる事が出来ない
きっとずっと
Entry17
新しい朝
いつもの景色が違って見えた
街路樹の緑 渡る風の色までも
逆光で 目の奥が少し いたむ
いつもの通い慣れたこの道で
道ばたの石や 歩く音
何もかも 違っていて
後ろを振り返ると 腰のあたりから欲情
ぶらさがって 引きずっていた
その塊を 思い切り飲みこんだら
おびえた色 目の奥に引っかかっているのが見える
見逃せない嘘
本当は見ないふり したかったのに
もう一度 きみに逢ったら 僕はどんな顔するだろう
よく分からないけど もう一度 きみに逢ったら
僕はどんなコトバを届けるのだろう もしかしたら
俯いてしまうかもしれない
憎しみなんて できれば知りたくなかった
僕ははじめて そんな感情を 抱こうとしている
君に ではなく ダメになってしまった醜い理由に
もう一度 きみに逢いたい 僕がどんな顔するのか見てほしい
嫌われるだろうけど もう一度 きみに逢いたい
僕がどんなコトバを届けるのか
きみにだけ 聞いてほしい
空人
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/6650/top.html
文字数(行数)390
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Entry18
強い風
強い風は
心の憂さをさらっていくようで
いつまでもこの身をさらしていたい
雨がまざればなおのこと
老後は寂しくなるからと結婚を勧める友達に
老後になる前に全てを失わない保証をつけてくれるならと
駄々をこねる
老後の為だけに結婚するのだろうか
この町は風が強いところだと
教えてくれたのは転校生だった
この街しか知らない私は
言われてみればそうなのかもしれないと思った
失ったものは
他のものでは埋められないことに気がついたけれど後の祭り
私の代わりはいくらでもいるのに
貴方の代わりはいないなんて不公平
強い風は
貴方への思いを残していく
私の存在も残していく
逃げ出したい現実も
Entry19
最期の吐息
少し前までは青空に照らされていた
部屋の白い壁も
次に目を開けたときには
網戸になった南西の窓から射す
赤黒い夕日に染められていた
寝ぼけ眼の私には
そんな赤い部屋ですら
白くぼんやりと
霞がかっているように感じる
違う
網戸の窓から微かな風が銀皿に刺さった
蚊取り線香の煙を僅かに対流させるのだ
赤黒く
白い霞に満たされた部屋
皿の上には崩れた
灰の渦が散る
しかし線香も風前の灯か
二叉に刺さる根元の赤から
盛大な灰白い吐息を昇らせる
立ち上る煙は
微かな風に煽られ
散りながら天井を目指す
広がる粒子の蚊帳
あと僅か
じっと見入る
瞬間
灯火が夕日にとける
黒く収束する灰
巻き上がる最期の吐息
飲み込む溜息
最後の灰は二叉に留まる
部屋が濃紺に染まる頃
窓を閉め
部屋を行く
か細い羽音が消えた
木葉一刀(コバカズト)
文字数(行数)44
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Entry20
朝
顔を洗って
着替えをし
髪を結って
化粧をし
貴方居ないから
また眠る
Entry21
新世界
夕焼けの色してる 透明な空なんだ
やさしい雨が降るんだ
この空の向こうから
汚れてしまった。 水も緑も。
気が狂いそうになってくる こんな閉塞感を
僕はこの世界に解き放とう
やさしい雨が降るから
今、この世界の僕らに
君みたいな色してる 透明な空なんだ
やさしい風が吹くんだ
この空の向こうから
汚れてしまった。 人も空気も。
終わりを選びたくなってくる こんな停滞感を
僕はその笑顔に解き放とう
やさしい風が吹くから
今、同じ想いの僕らに
星みたいなまたたきで
僕らは燃やしていくんだ
ささやかでやわらかなきらめきと
確かな強さがあるんだ
汚れてしまった。 過去も未来も。
忘れてしまいそうになる 大切なものならぜんぶ
僕はこの憂いに溶かしていこう
やさしい気持ちになるから
今、この世界で僕らは
今、同じ想いの僕らは
凛
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/4054/
サイト名■as a crystal
文字数(行数)31
↑TOP
Entry23
風
あの人が嫌いだ、と
彼女は指差してそう呟いた
僕は慌ててその人を目で追ったが
誰もいなかった
そうだね、と
僕は心を落ち着かせて呟いた
彼女は悲しげな零れそうな笑顔を見せた
僕は彼女は
本当はその人のことが嫌いなんじゃないんだ、と
思った
僕ら二人の間を吹き抜ける風のように
綺麗なままであったら
それはそれでいいと思う
それでも
僕らはその風のように
うねって姿を変えて行くのだと思う
それはそれでいいと思う
彼女は悲しそうに笑うけれど
僕は彼女の意見を正そうともしなかった
誰が誰を嫌おうとも
僕が罵ることは出来ない
ただ彼女が悲しそうに笑うから
僕は黙って静かに彼女の髪を撫でるだけ
Entry24
明後日は、海
遠来のよに
疾く 低く
航空基地の
花火の音が
君の心音に似ていて
君の
薄い胸骨に耳を
当てたときの
鼓動に似ていて
ひゅうひゅういう
僕の喘息の呼吸と併せて
汐を思い出す
波打ち際に
足をひたすように
アパートの部屋で
屋根の下で
丸まって眠りこけて
明後日は、海。
ながしろばんり
http://www5a.biglobe.ne.jp/~banric/equinox
サイト名■Equinox.
文字数(行数)0
↑TOP
Entry25
アレルギックライフ
おそろいのピアスをつけようか、
回転寿司で大食い競争しようか、
拾った子猫を一緒に育てようか、
夏の日差しの下を走り回ろうか、
誕生日にバラの花束を贈ろうか、
風船配ってるよ貰ってこようか?
花びらシャワーのようなあなたの言葉に、
芝生スプリンクラーのように首を振る私。
クシャミ、ハナミズ、ジンマシン。
駄目ナノ、無理ナノ、要ラナイノ。
ニコリ笑ってやり過ごすけど、
ヒトリの夜は落ち込みもする。
世の不条理にコブシを握り、
月に向かって遠吠えしたり。
こんな人生やり直したいと、
星に願って寝につくことも。
だけどね。
だけどさ。
ほんとのほんとは、判ってる。
言われなくても、知ってるの。
ピアスも魚もチビ猫も、
日差しもバラも風船も、
触れないのは辛いけど。
愛せないのは辛いけど――
――あなたがいれば、それだけで、
世界はじゅうぶん素晴らしいって。
泣きたいくらい、素晴らしいって。
だからね。
仕方なく。
溜息吐いてフンと笑って、
今日も起き出す、私です。
Entry26
八月の窓
長く、緩やかな、放物線。
フラッシュバックしたのは、
きっと、
高い空のせい。
なぁ、
詩なんか書いてないで、
バスケしに行こうぜ。
8148(略)ソラン
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/8364/toppage.html
四畳半シネマ
文字数(行数)60
↑TOP
Entry27
静寂
嵐よりも激しく乱れる君の心
これから何処に走ってゆくのか
拙い指先は月明かりに照らされて
頬をなぞりそっと口づける
「これから何処に往けば良い?」
問い掛けには答えられない
さらりと髪を梳いた指先は
また頬をなぞりそっと口づける
このまま抱きすくめてしまえばいい
きっと楽になれる
だけどできない
四肢は凍りつく
何故か嵐よりも激しく心乱される
僕は知らない君の行く先を
知っていることは一つだけ
君の心はずっと冷たく蒼く
燃えている
五月原華弥
http://www7.ocn.ne.jp/~kakuu/
華空羽 -Imagenary Poet-
文字数(行数)17
↑TOP
Entry28
サブマリン
しばらく沈むでしょう
そのうち浮かぶでしょう
涙の海は塩辛いから
Entry29
裸
窓ガラスに張り付いた蛙の腹は
あまりにも白すぎて
絶え間ない動きは
普段は直視されることのない姿に
気付かないふりをしている
力を入れないようにと両手で包んだ
ペトリとした触感が
記憶の隅に残されていたことを知った
背後から指で押し付ければ
一定のリズムは途絶え
わずかの間だけ痙攣する肉片となり
やがて水気を失う
ランドセルを背負って学校へ向かう途中
田んぼ沿いのアスファルトで
ひとつ ふたつと数えた
あの姿になるのだ
Entry30
はたち
あれは 小学校の、入学式
知らない人に囲まれて こわくて
ママの手をさがして泣いてたこと 覚えてる
泣き虫で、さみしがりだった、ちいさかったあたし
あのころ よく遊んでもらってた近所のおねえちゃん
やさしかったし 「おとな」だった
泣いてるあたしをなでてくれた、あったかい手 やわらかな目
大好きだった、あこがれてた、ちいさかったあたし
ある日
いつも一緒に遊んでたとなりのみっちゃんが
こっそりおしえてくれた
まるで 重大な秘密、うちあけるみたいに
「あのおねえちゃん、はたちなんだって」
どきどきした
「はたち」という言葉の、魅惑的な響き
いつかあたしも「はたち」になるんだって
「はたち」になれるんだって、思ってた、ちいさかったあたし
でも
「はたち」なんてずっとずっとこないような
そんな気がしてた、ちいさかったあたし
あたしは明日、はたちになる
正確にはあと、5時間と、24分で
だけどあたしは「ちいさかった」あたしのまま
泣き虫だし さみしがりだし
やさしくもないし 「おとな」でもない
あのころ思ってた「はたち」はうそだったと思う
からだだけはおおきくなった
だけど
それだけのこと
あたしは明日、はたちになる
正確にはあと、5時間と、20分で
氷月そら
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/3145/top.html
サイト名■空模様。
文字数(行数)498
↑TOP
Entry31
あの、感じ、
転がっていくとか
走り出すとか
そういう感じじゃなくて、
フッ飛んでくとか
消え去っちまうとか
そういう感じが欲しいんだ。
重くて速い風が耳元をドヒュン、
カラダごと持っていかれそうになるほどの、
そう、たとえば、今ここにいたのが、
一瞬で、
もう
ほら、
あそこの
あの、
点
になってるだろ?
見えるかい?
あ、
消えた。
そういう感じ、わかるかい?
Entry32
花束
二時間粘っても眠れなかったので仕方が無く
今日は寝ないと覚悟をして夜の街へ散歩へ出ると
「止まれ」の標識を引き抜こうとしている男が居たので
手伝った
「ありがとう」
男はそう言って標識を抜いた跡に何かを植えた
「君にもこれをあげよう」
男はあたしに種を手渡した
「好きなところに植えると良い」
そういうわけで
あの交差点には未だに「止まれ」標識の変わりに
花が咲いている
事故は減りはしなかったが
不思議と増えてもいない
ぶるぶる☆どっぐちゃん
文字数(行数)193
↑TOP
Entry33
中洲流れ
祭りの匂いは 男の 汗の匂い
祭りの香りは 女の 艶の香り
堪えきれず 唇噛み締め 握りこぶし
女は冷めた右手 憂いは 流るる
祭りの光は 女の まやかし
祭りの影は 男の 色気、そして心泪
さと
http://members.goo.ne.jp/home/kei5yns
サイト名■光のトンネル
文字数(行数)96
↑TOP
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