第32回詩人バトル
 投票〆切り10月末日/レッドカードに注意!

  INDEX/作品掲載はご到着順とは異なる場合があります。
 エントリ 作者 作品名 文字数
 1 五月原華弥  消去願望成れの果て  177 
 2 有機機械  経験値  11 
 3 香月朔夜  風  18 
 4 陽  葡萄  309 
 5 夢追い人  瞳に映るあの日の追憶  241 
 6 椿  白昼夢  154 
 7 まっか  街  251 
 8 相川拓也  木の下、落葉  62 
 9 ケンシロ  雨に濡れる君の肩  0 
 10(作者の要望により掲載終了しました)  
 11 鈴矢大門  DEAD END  339 
 12 黒羽葵  夢の葉  267 
 13 山本 翠  縁側にて  13 
 14 ヨケマキル  胎児落下スル時  504 
 15 武流  必要なヒト  96 
 16 さと  君の僕  585 
 17 大覚アキラ  グルグル  570 
 18 佐藤yuupopic  音のない旅  617 
 19 小松知世  今宵の雨と  0 
 20 深神椥  手遅れの恋  8 
 21 ながしろばんり  をどる木偶  127 
 22 空人  マーブル模様に溶けても 〜French Blue Walking  828 
 23 木葉一刀  70km/h超えの黄昏  302 
 24 橘内 潤  『リヴァイアさん』  40 
 25 日向さち  逢いたい  102 
 26 詠理  アンモナイト  254 
 27 8148(略)ソラン  スロウ ランナー  331 
 28 棗樹  月と群雲  380 
 29 ぶるぶる☆どっぐちゃん  冬の日  245 
 30 葉月みか  豊穣  40 
 31 月子  夕焼け小焼け  7 


訂正、修正等の通知は掲示板では見逃す怖れがあります。必ずメールでお知らせください。
「インディ−ズ、行かせてください有頂天」。ボタンを押して投票ページに行こう!! 読者のひと押しで作者は歓喜悶え間違いなし!!
感想はたった一言「えかった!」「いい!」「面白い!」「天才だ!」「悶えた!」など簡単でオーケー。末尾に!をつけるのがコツなのです。
その回の作品参加作者は必ず投票。QBOOKSの〈人〉としての基本です。文句言わない!


バトル結果ここからご覧ください。



Entry1
消去願望成れの果て

要らないと思ってた
知らないと思ってた

存在自体が意味不明で
存在理由が理解不能で

生きることが怖くて
死ぬことが怖くて

「わたし」が
初めからいなければ
全て丸く収まるのにと
闇に混ざろうとして
白く浮かび上がる腕を
明らかにそこにある脚を
消してしまいたかった

それなのに
誰かを好きになり
誰かを嫌いになり
嫌われることを怖がって
好かれることを喜んで

消えないようにと
いつも願っている


五月原華弥
http://www7.ocn.ne.jp/~kakuu/
サイト名■華空羽 -Imagenary Poet-
文字数177
↑TOP

Entry2
経験値

ふう、なんとか昨日は醜態を晒さずに乗り切った

ふう、なんとか昨日は誰も傷つけずに生きのびた

ふう、なんとか昨日は選択を間違えずにやり遂げた

人生はいつもいつも綱渡り

気を抜いたら僕は僕の目指す者になれなくなる


ちょっとまて

こんなことをもうずっと前から繰り返しているじゃないか

僕はちっとも前に進んでいないんじゃないのか


ああ、僕達がロールプレイングゲームの主人公のように

経験を積めば積むだけ着実にレベルアップしていけたなら

僕は今頃、大魔王を倒してお姫様と結ばれていたかなあ



有機機械
http://www,d2,dion.ne.jp/~syuki
サイト名■ORGANIC MACHINE
文字数11
↑TOP

Entry3


風が泣く
すべての悲しみと愛しさと憎しみを抱いて泣く

笑っているけれど
きっと 悲しい

泣いているけれど
きっと 愛しい

風はすさむ
乾いた大地をさっ、と駆け抜けてゆく
後には何も残らない

木はいくつの涙を流しただろう
けれどそれは人に聞かれる事なく消える

もっと大きなものが消える前に気づいてほしくて
風は唸る。吼える。そして泣く。



香月朔夜
文字数18
↑TOP

Entry4
葡萄


『葡萄』
口の中で甘酸っぱい果肉がプチッと弾けた。
今年初めての葡萄は口にいれた瞬間「すっぱい顔」をしてしまうような味で、
葡萄には申し訳ないが全部は食べられなかった。
母が買ってきたものらしく、私が食べた数日後びっくりするくらい甘く変身を遂げたらしい。
私はタイミングが悪い。

二度目の葡萄は甘く、ほろほろと顔がほどけていくような味がした。
お皿に積もっていく紫の花びら。
夜中に一人口にする甘美な瞬間。
満たされていくのは、お腹なのかこころなのか。

弾ける果肉。
降り積もる紫の花びら。
うっとりと眺め、
そして最後には葡萄の骨が残る。
残酷な気がして、ありがとうと思う。
夜風が気持ちいい。
また葡萄がひとつ死んだ。
そして
私が、また少し生きた。




文字数309
↑TOP

Entry5
瞳に映るあの日の追憶

あの夏の日を覚えていますか

眩しすぎた太陽に思わず目を逸らしたことを
波の上を滑るように吹いてきた風と潮の香りを
あなたは覚えていますか

私でない誰かの夢を見ているあなたの寝顔
あの夏の日に見せた笑顔よりも愛らしいから
あなたの唇が誰かの唇を求めていることもわかるから

あなたはきっと偽りではないと言うでしょう
あなたはきっとこの愛は間違いなく確かなものだと言うでしょう
でもね、私にはわかるの
あなたの心の中に私がいないことが
わかってしまったの

だからせめてこの一晩だけでも

あなたの腕に抱かれて眠りたい


夢追い人
文字数241
↑TOP

Entry6
白昼夢

切ない夕暮れの

ビルの狭間で

幼い少女が見た白昼夢は

刹那にも似たその鋭い瞳で

マイルドセブンをくゆらす

あなた

真夏の光の中の

トライポッドの上で

幼い少年が見た白昼夢は

真っ赤な紅を刺して

生温かい手錠に縛られた



幼い少女と幼い少年が

出会った時に見た白昼夢は

吐き気を催す熱気と

マイルドセブンの香りが残る部屋で

戯れる

私とあなた



椿
文字数154
↑TOP

Entry7


せわしなく動く時間
誰も止まってなんかいやしない
季節の変わり目すらあるようでない
こんな世界に憧れはあるのか?

ただむやみに生きているようで
この世界が嫌いなんだ

当たり前のようにみんなは歩き
僕は追いつくことすらできない

「無理することはないんだよ。」
騒々しい非透水性面の隙間から
その声は僕にだけ聞こえたようだった

(そうだ、この現実が僕の理想なんかでは決してない)

「大丈夫。安っぽい言葉に聞こえるかもしれないけど、
君が君自身を見失わなければ大丈夫なんだ。」

力強いその言葉に僕は小さくうなずいて
窮屈そうな空を見上げた


まっか
文字数251
↑TOP

Entry8
木の下、落葉

はらはらと
薄桃色の花びらは
この手を抜けて秋風に
ひゅウと飛びゆく

見上げれば
衣を捨てた木が一つ
灰の曇天寒さ染む
彼方の花の桃色眩し


相川拓也
http://hp.vector.co.jp/authors/VA018368/
サイト名■iKawa's Telescope
文字数62
↑TOP

Entry9
雨に濡れる君の肩



  あの日見た雨は
  君への想いと一緒に
  スベテを洗い流してくれると
  思っていた

  アタシはあの日
  急いで自転車を走らせていた

  手にも肩にも雨が
  手加減なく降ってくる
  制服も髪も既に濡れていた

  雨が強くて強くて
  前がよく見えなかった

  だけど

  それだけは見えた
  君と彼女が仲良く歩いているのを
  君が傘を持ちながら
  彼女を傘の中へちゃんと入れてあげて
  何か楽しそうに話ながら歩いているのを

  アタシはすぐに視線を外した
  見たくなかった

  アタシは君が好きすぎて
  好きすぎて
  君以外なんて見えなかった
  ずっとずっとそうだった
  だからあんなところ見たくなかった

  これを誰かに話したら
  「すぐいい人見つかるよ」
  と言われるだろう
  
  だけどそうじゃない
  今はあいつしか見れなくなっているのだから
  そんなに簡単に
  アタシの気持ちは変われない

  あの日見た雨は
  アタシの脳裏に強く焼き付いて
  離れない

  いつかまた降る雨の日も
  楽しそうに彼女と笑う君の姿を
  アタシは見るのだろうか?







 


ケンシロ
文字数0
↑TOP

Entry11
DEAD END

一人、in部屋
べっつにいつもと一緒だねえ
点いたテレビ さーびしそう
んん? 寂しいのはテレビかな?
どうでもいいんだけど
ブンブンエアーコンディショナー
部屋をキンキンにしようと
頑張って give up
負けて唸ってカビ
撒き散らしちゃったり
きったねーな、そこ
埃ほこる隅 灰色
本重ねて雪崩れる日
sun set
moon
暗くなる くらくなる
雨? 降り始めたのか
cold cold cold
エアコンいんないし
ぷつ、put off だっけ
ゆれるポスター 止まるのに
視界 ゆれて クーラクラ
ぺちゃんこの布団に パタン
バイバイ 今日の日よ
今日も今日とて dead end
つけっぱなしテレビ バラエティ
ああ、そこからはもう
嘲笑しか聞こえない
明かり 消して
テレビ 消して
もぐり もぐる 夢
途切る繋がり 今日と明日は別物
dead end は今日
明日は きっと



鈴矢大門
文字数339
↑TOP

Entry12
夢の葉

この世界で暮らしていれば
おのずと答えは見えてくるものだ
彼女と暮らした日々も
今でも夢ではないかと思うときがある
あの時話した映画の内容や
あの日二人で選んだ青いカーテンも
今でも消えていく
泡のように

この世界で過ぎ行く人々も
いずれは最期が来るものだ
このアンティークの時計も
いずれは動きを止める

あの時歩いた小さな石橋も
あの日二人で遊んだ遊園地も
今でも思い返すことは出来ない
流れの速い河の水に乗って

夢を見るのは自由だ
だが現実を見なければならない

この青い空に浮かぶ雲も
この小さく路上に咲く花も
いずれは動きを止める
このセカイの中で
終わる
そして 生まれる


黒羽葵
文字数267
↑TOP

Entry13
縁側にて

途切れ途切れに浮かんでくる
風景の欠片

あのとき
空は何色だったでしょうか


積み重なる思い出たちを
掘り返してみたら

貴方の姿が浮かんできました

でも
どうしても思い出せないのです

貴方はあのとき
どんな表情をしていらっしゃいましたか

笑顔であったら良いな

断片的な世界の内で
心からそう思います


山本 翠
文字数13
↑TOP

Entry14
胎児落下スル時

かくてわれ
白昼の女性器に
神無き論者の手、入り
不能の胎児掻き出すの見たり


<胎児落下する時>



淫雨すめり
また淫雨しとりしとり
降る降る

犬岡 七無(いぬおかななむ)は右手の指無し
幼少期さらわれ犯され
その日より指退化し
消えた

それから七無は口もきけぬ

あの世界中の雑多の光集めました白昼の暴力ハレイシオンの中に
声 落としましたのです

七無チゴクの中にいて
ホントのチゴクチゴクの中にいて


陰風ざらざら
また陰風ざわりざわり
吹く吹く

沙羅双樹のビル 林と林と(りんとりんと)
そしてこの町の風向き変えてしまい
七無に乾いた風届けぬ

アタラシイ百貨店
殺生石に見立て
玄翁で叩き壊そうと

しかし利き腕の指無いので
よく動かぬ左腕で
ティキンティキン
力弱く壁叩く

あっという間に人々駈け付け
七無走り逃げ逃げて

涙しろり
また涙そわりそわり
流る流る

殺生石の頂きに立ち
ついに胎児 飛び下りる

割れ割れたスピーカーから出る
やはり安らぎの無い叫喚の風の音

最後ニ聞イタ



落下し壊れたそれを
覗き込む人達の顔顔

七無と同じように光無く
同じように貧しく
同じように憔悴し
同じように哀れで
同じように同じように
涙しろり そわそわり


壊れたそれに誰かが
いや、神が

輪廻のリンネル そっとかけました



ヨケマキル
http://www5.ocn.ne.jp/~yoke/
サイト名■hAsAmi
文字数504
↑TOP

Entry15
必要なヒト


 あなたがいいとおもうモノコトをぜんぶ
 わたしもいいとおもうことができたら
 どんなにすばらしくてつまらないだろう。



 必要な女(ヒト)になりたいの。
 必要な男(ヒト)になってほしいの。



武流
文字数96
↑TOP

Entry16
君の僕

君が生まれた時に 僕も生まれた
君のために 僕は生まれた

ママにいっぱい 愛情をもらって 君は育った
僕もそうやって 君と一緒に育った
君がいじめられる時に 僕は傍にいた
君が泣いている時にも 僕はいた

君が大きくなって 僕も大きくなる
海が荒れ狂う時も 月が沈む夜も
僕はずっと君の傍にいた

 ガラス窓を砕き 心の叫びをあげる
 赤く人を傷つけ 黒く自分を殺し
 あてどもなく歩き続けた
 信じることを拒み 空っぽが一番いいって
 人を欺き 太陽に背を向ける
 どんなに君が 涙を拒んでも
 どんなに君の手の震えが 真実を拒んでも
 拒む心が無くなっても 僕はずっと君の傍にいる

 君が悪に染められて 僕も悪に染められる
 だけど 悪の色に染められても 決して僕は変らない
 君が望んだ道であろうとも 僕は変らず
 ずっと君の傍にいる

 君が淋しくて 死んでしまいたいなんて思っても
 君が年老いて 死んでしまいたいなんて思っても
 僕がいるよ ほら 僕が連れていってあげる
 人を信じて裏切られても 僕は君を救ってあげられる

君が生まれた時に 僕も生まれた
君のために 僕は生まれた

ママにいっぱい 愛情をもらって 君は育った
僕もそうやって 君と一緒に育った
君が空を仰ぐ時に 僕は傍にいる
君が雨に濡れる時にも 僕はいる

君が大きくなって 僕も大きくなる
海が荒れ狂う時も 月が沈む夜も
僕はずっと君の傍にいる

 そうさ僕は君の愛


さと
http://members.goo.ne.jp/home/kei5yns
サイト名■光のトンネル
文字数585
↑TOP

Entry17
グルグル

グルグル回って
いつの間にやら元通り
ピンクと緑のストライプ
グルグル回って
薄気味悪い茶色になって
食べてみたら
結構イケるぞオイ
と思ったら腹がグルグル
地獄の一週間が始まるのである

 月曜日は耳鳴り地獄
 火曜日は歯磨き地獄
 水曜日はヘソから蟲がわいてきて
 木曜日に人面瘡ができて
 金曜日はチェーンソーを買いに
 土曜日はハルシオンを買いに
 日曜日は●●●を買いに

愛とか恋とか
そんな定食メニューみたいな言葉
豚の餌にもならない
そんな言葉で詩を書くヤツには
おれが呪いをかけてやる

そしてまたグルグル回って
贖罪の一週間が訪れるのである

 おそらく
 雨は夜通し降り続いたのだろう
 砂浜は湿って重く
 遠い記憶の中の接吻を思わせる
 季節外れの海辺には
 あたりまえのように誰も居る筈もなく
 打ち寄せては消え
 消えてはまた打ち寄せる波だけを
 ただ眺めていた月曜日
 魔除けのお札をプリンターで出力し続けた火曜日
 それをフリマに売りに行った水曜日
 それを海辺で泣きながら燃やした木曜日
 それで大火傷した金曜日
 それぞれの土曜日
 ソ連邦に行ってみたくなった日曜日

気が触れたフリなんか止めるよ
ゴメン
おれが悪かった
昨日の夜中
酔っ払った勢いで
ライフ・イズ・ビューティフル観ちまった
泣いちまった
大泣きしちまった
泣いた後で気付いたんだけど
グルグル回ってたのは
おれじゃなくって
オマエだったんだな


大覚アキラ
文字数570
↑TOP

Entry18
音のない旅

病院ゆこう、なんて
ゆわないで
わたし、病気じゃない
なンも見えなくなるつまんないだるい薬、
もう、
飲みたくない

見せたいとは思わない
あなたに
この景色、
たぶん、きっと、分け合えないと、
思う、から

気が散るのと、違うの
視点、
乗り移って、瞬間、
無音、
それから
何処までも、旅
また、ゆくの
あなたの顔ばっか、見てらんなくなる
ごめんね

急上昇
すっごい高いとこまで、
鳥と違うトび方
ビュん、と
越えて、
タワーの天辺まで、

高層作業員青年のアタマん中、銀色、ベビーピンク、かなりロマンチック、
高架くぐって
一番ホーム、電車、パンタグラフ、ダイヤ型、ごと通過
喫茶店、
紅茶にほどける角砂糖の、泡、
は、金色
目抜き通り
誰の、か、わかんない
肩越し
褪せたグリン
バス、のタイヤ、
水たまり、踏み越えて、跳ねる、飛沫
路地、
誰かの庭、
蓮の葉にでっかいしずく、
きらきらり、
再上昇、

俯瞰
開発跡地
ビルの欠片
更地に落ちる、影
乾いた風、
砂埃
わたし、ずっと昔の
今日
生まれたの、て
不意に、
思い出す
途端、

急降下、

二階の窓、
五センチの
隙間
から、滑り込む
柔軟剤、かおる、シーツの皺に、
光みたく
ふんわり
着地
ああ、
意識
やっと、
あなたの指先に、
ゆうべのチョコミントアイス
味の、くちびるに、
ただいま
も、いちど
声に出さず、ちっちゃく、
ただいま

わたしの、こ、ゆうとこ、きらい、だったら、
全部、きらい、なのと
いっしょ

そんなかなしい顔
よけい
かなしくなるから
しないで、
なおんないし
なおす気ないの
どうしていいか、わかんない、
ごめんね


佐藤yuupopic
文字数617
↑TOP

Entry19
今宵の雨と

落ちてくる雨に
心通わせ
ぽつりと濡れる
元気がない時は
無理に笑う事はない

降り始める雨に
耳を澄まして
ひっそりと呼吸する
泣けない夜は
無理に笑う事はない

泣くのも笑うのも怒るのも
心の準備が万端じゃないと出来ない
だから今宵はただゆっくりと
この雨と共にあればいい


小松知世
文字数0
↑TOP

Entry20
手遅れの恋

ある日 あなたを街で見かけました

あなたは幸せそうに男の人と歩いていました

ある日 あなたを街で見かけました

あなたは花嫁姿で街の中を走っていました

僕はあなたを追いかけました

近くの教会へあなたは向かっているようでした

教会へ着くと手遅れでした

これが僕の恋というものでした


深神椥
文字数8
↑TOP

Entry21
をどる木偶

満身の愛をも
受けとってくれぬをまへ
プラステックの部品が
抜けているのと思ウ。
迷いナイ目付きで
鬨(とき)のナイ満ち潮
ありふれた感触、だなんて
心にもナイコト、を。

千年で一人
(接点は一つ)
塩田でひらり
(喧伝のワゴン)
接辺はABD
(決戦は他人事)
をどる木偶だ君は。


ながしろばんり
http://www5a.biglobe.ne.jp/~banric/equinox/
サイト名■Equinox.
文字数127
↑TOP

Entry22
マーブル模様に溶けても 〜French Blue Walking

昼近くまで寝てしまって
さして慌てるでもなく
会社に電話をかけた
寝起きの声は調子が悪そうで
課長は「大事にしろよ」とぶっきらぼう

まぶたが腫れて くまもある
ひどい顔
仮病なんかじゃない
ほんとうに頭が痛くて 少し 気持ち悪くて
何より 傷ついた
ひどい言われようだ

化粧もせずに プーマのジャージを着て
アラン・ミクリの メガネをかけて
インディゴブルーの 帽子をかぶって
お気に入りの パトリックのスニーカーをはいて
何も持たずに 散歩
ドアを開けると
ビュッ と乾いた風が吹いて
世界は キラキラと輝いていた

マンションの駐車場には
あたしのキャトルしか停まってない
堤防には 犬を3匹つれたおじいさんが歩く
しばらく 光に慣れるまで じっとする
今日 やらなきゃいけない報告書
誰がやるんだろ いっぱいあるのに

あたしは
堤防を
歩く
歩く
少し
早足で
歩く
歩く
課長の
あたしだけに
見せる
笑顔

指輪

振り切って
歩く
歩く
オッと
石につまづく
でも
おじさんみたいに
文句なんて言わない
つまづいたきっかけで
あたしは
走る 走る
意味もなく走る 走る
営業二課の 佐々木くんを浮かべて 走る
佐々木くんが好きな 入社1年目の宮沢さんの
初々しい はにかみ という演技 を浮かべて 走る
宮沢さんの後ろにいる 皮の表紙でできた 重いバインダーを9冊分
両手いっぱい抱えて あたふたしている 入社10年目の あたしを
思い浮かべて
走る走る走る

踏切が鳴らす警告音
キツキツキツ と跳ぶバッタ
赤より紅い彼岸花
クモに抱きしめられたアゲハチョウ
その向こうの 青い空

はあはあ と息を切らす あたし

あんまり全力で走ったものだから
眼が乾いてしまって その乾きを潤すために 仕方なく
奥のほうから 涙が出てしまったわ

いつからそんなに理屈っぽくなった って?
佐々木くん もういいよ
あたしは初めから
初々しく はにかめないもの

ああ 目の前がマーブル模様に溶けていく
くやしさとあせりと劣等感といっしょに
ああ 目の前がマーブル模様に溶けても
あたしは しつこく生きてやるんだ


空人
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/6650/top.html
サイト名■白夜のカフェ。
文字数828
↑TOP

Entry23
70km/h超えの黄昏


赤信号が遠ざかる


落ちて来そうな積乱雲
黄昏の色が侵食し始めた逢魔が刻

間隙から覗く
飛行機雲だけがやけに白い

横目に過ぎる
遊園地の観覧車に灯が燈る

遠くだけは良く見える

何故か涙が滲む
私の世界だけの大洪水
愛車は箱舟にもならず
水没してゆく

前を往く
横を過ぎる
後に去る他の車たちは
風景でしかない


赤信号が遠ざかる


車内に
車外に警報が鳴り響く

滲んだ世界の中で
唯一覚醒した事は
何から逃げているのか分からない
それだけだった

でもスピードで逃げられたら
何にも縛られず
一瞬で年を取り
そのまま眠りに付けるかもしれない

アクセルはもう踏み込めない

赤信号が遠ざかる
周りが赤く点滅する
車外に警報が鳴り響く

ああ
私は束縛されてしまうのか

ならばいっそ……


木葉一刀
文字数302
↑TOP

Entry24
『リヴァイアさん』

万人の万人のための闘争はよくないので
国家の国家のための戦争をしよう

テロを許すなw



橘内 潤
文字数40
↑TOP

Entry25
逢いたい

久しぶりに顔を見たら
心臓が心臓じゃなくなっちゃいそうなくらいに
一気に湧いてくる
感情

今度逢えば
全てが始まってしまいそうだから
尻込みしてしまう
けれど

寝ても覚めても
脳みそを占領されたままで
引き返すことは
できない


日向さち
文字数102
↑TOP

Entry26
アンモナイト

雨戸の外で
月は燃え尽きてしまった
私は棚からアンモナイトをとって
小さな金槌と釘とをもって
一つ叩く
削れた欠片の断面から
やわらかい雨音がきこえる
乳白色の感触と
暗雲のこもった匂いとが
産毛の裏に入りこんでくる
それがあんまり甘い
黄色い蝶々のように
草と空をまぜながら飛んで
私はガラス玉のうちにいることに気付く
また一つ叩く
黄色いアンモナイトから
つめたい悲鳴が流れて
太古の海女の
羊水が流れだして
私の腹を濡らしていく
きっと
雨戸の外に
夜明けが忍び寄っている
私は涙をこぼして
全身に育てるのだ
ひしゃげた花の
身震いが
鼓膜の寸前できこえる


詠理
文字数254
↑TOP

Entry27
スロウ ランナー

また、走ろうかと思うんだ。

今度は競技じゃなくて、
かと言って健康のためでもなくて。

本当に大した事じゃないんだ。
近所を少し回って帰って来るだけだよ。
すぐそこの並木道とか、
向こうの川沿いとか。

秋の気配を感じたら、
急にそんな気分になったのさ。
何て言うか、
ふと思い出したような、
そんな感じ。

風がもうこんなに冷たくなっていたなんて、
全然気が付かなかったよ。
雲だって、もう夏とは違う。
そう、さっき、虫の声を聞いたよ。
こんな都会にもちゃんと居るんだね。
驚いた。

そんな訳で、
夕暮れ時を目掛けてのんびり走ろうかと思うんだ。
それからね、変なんだけどさ、
走る事にちょっとワクワクしてるんだ。
ホント、どうしたんだろうな、俺。

押入れを開けてみてよ。
昔のマラソンシューズ、
まだ取ってあるかい?


8148(略)ソラン
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/8364/toppage.html
サイト名■四畳半シネマ
文字数331
↑TOP

Entry28
月と群雲

爪のように薄く透ける月が、若い犬の死体を照らす。犬の名を群雲。群雲と呼ばれた
ACD (オーストラリアン・キャトル・ドッグ)。オーストラリアの牛追い犬、の意。
ちぎれ飛ぶ夜の雲に似た青灰色の毛並みを持ち、気が向くと、主人のふくらはぎに
冷たく湿った鼻をぬうっと押しつけて喜んだ。
乳光色の牙。斑な舌。広すぎる額。美しくはなく。醜くもなく。
馬鹿で頑固で頑丈で、疲れと恐れを知らず、しばしばドブに落ち、女児をつけ回した。
ゴミ箱を蹴飛ばし、屋根の上へ駆け上がっては、月に唸り、月に祈った。
ちっとも甘くない甘噛み。泥だらけにされたスカート。穴の空いたパンプス。
デートの日は財布を隠された。
追ってきて体当たりされた軽自動車のドアは、まだへこんでいる。
壁の穴のひとつやふたつ修理していっても、罰はあたらないと思うぞ。

さらば、オーストラリアの牛追い犬。群雲と呼ばれた犬。天国では牛を追え。




棗樹
文字数380
↑TOP

Entry29
冬の日

トランプのカードを一枚買ってくる
ピアノの譜面台に載せ
それを見ながら
一曲作る
とても悲しい曲が出来てしまう
とてもお客の前には立てそうもない

「どうしよう」
「仕方が無いね。ほら、あたしの横にきて泣きなさい」
「ごめんね。ありがとうね。ああ、またクラブのボスに、怒られっちまうね」
「仕方が無いね」

散々泣き腫らした後の真夜中、あたし達は出掛ける
大きなビルの壁には吹き飛ばされてきたゴミ袋が沢山並んでいて
まるで白い仏像のようだ
それをあたし達はコーラを飲みながら
全てを虚構化してしまうようなキラキラとした冬の光が照らし出すまで
見上げる


ぶるぶる☆どっぐちゃん
文字数245
↑TOP

Entry30
豊穣

肩越しに眺めていたのは

一面の秋桜
蜻蛉の交わり
たなびく箒雲


嘘。

貴方なんて居なかった


葉月みか
文字数40
↑TOP

Entry31
夕焼け小焼け

緑葉落つる紅の 川面眺めて 波描く
 
 生命の息吹 紅に
 
 染まる世界は 鎖のやう

 僕 空 大地 鳥 川 虫

 全ては紅 命は紅 世界は紅 

 

 僕も紅とともに 生きている







   

月子
文字数7
↑TOP