●Entry5 時の音〜Rhythm 文字数=994
 Began
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 私はいつの頃からか、ここを廻っている。
 酸素を運び、栄養を運び、異物を排除し……。そして私は、この「世界」を動かす。
 この「世界」は「鳥」という名だ。理由はわからない。ただその事実のみを私は知っている。その「鳥」の外がどうなっているのか、それは知らない。知ることが、見ることができないのだ。
 私はずっとここを廻り続ける。
 最近、ひどく疑問に思う。何のために廻るのか。「世界」を動かして一体何が起こるのか。
 疑問に感じながらも廻る。「世界」の動きを止めてしまうのが恐いから。
 いつまで廻るのか。ずっと孤独なのだろうか。
 私は何も知らずに廻らなければならないのだろうか? ずっと永遠に?

 「翼」という地域がある。この「世界」の中で、私があまり足を踏み入れない場所だ。行って何がどうなる、ということはないが、何となく嫌いな場所だった。
 しかし今私は「翼」に向かっている。そこに行きたくて向かっているのか、自分にもわからない。体が勝手に動いているようにも思えるのだ。今まで私に意志なんてものが許されていたのかどうか、ということさえ不安になってきた。
 私は一体何者なのだ?
 気がつくと、すでに私は「翼」を含めた「全世界」を廻っていた。また、何もわからないままに。
 廻る、廻る、わからない!
 廻る廻る、わからない!!
 廻る廻……何か聞こえる?…私の音ではない……私以外の一体誰が……
     「ほらほら、羽ばたけ、羽ばたけ」
……どこかで聞いた音だ。いつだったか……?
     「羽に力を込めて叩くんだ」
 それともデジャビュ(既視感)なのだろうか? いや違う、もう少しで思い出せそうだ。私の心をここまで揺さぶるのは…
     「やった! どうだい、初飛行は!」
 あ、あっ…これは確か、風のリズム!
     「空へようこそ。私は風だ。よろしく」
 小鳥は風の中に飛び立ったのだ──そして私は全てを思い出した。風のリズムも、私のリズムも!
 私は生き物全ての中を流れる、血だ! (急に視界が開けたような気分だ。)私のリズムは生の証、命の源。とても大事で素敵な仕事なのに、繁殖という枝分かれの中で、いつもそれを忘れてしまう。でもいつも、風や波や大地のリズムが、それを思い出させてくれる。皆、私のリズムが好きなのだ。
 自然と、溢れ弾むようなリズム。それが、私のリズム。
 私はいつまでもここを廻る。
 このリズムで。


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