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ここはどこでしょう。 綺麗なところです。草木生い茂るテーマパークのような趣もあります。 まず、頭に浮かんだのは高原で、遠くには白い大理石で出来ているかのような尖った山嶺が見えますし、花は礼儀正しく美しく咲き、草は周囲を覆い蝶々は戯れ、岩も適当にあります。 涼しい風がひゅーと吹き抜けて、ああ、夢みたいだ。と思い得ないような心地よさ。 「冥府だよ」 じじい。適当な岩に腰かけ、幸せそうな顔の、やさしげというか投げやりな態度で、煙管をふかしてます。アメリカの西部開拓民(老)といった風貌です。 「冥府? なぜ僕はそんなところに?」 という具合にやや胡散臭く言ったりするのは、この素敵な空間故でしょうか。 「あなたが死にたい死、うるさいので、殺し…もとい死んだのです」 「はて、そんなこと言ったでしょうか?」 「いいましたよ」 老人はさらっと言いました。 「言ったとしても、死にたいぐらい、誰だって言うでしょう」 「あなたは死んだ。いちいち言わない方がいいですよ」 「莞爾」とした顔を崩さず、言いのけた。 じじいに殴りかかろうか、一瞬迷ったけど、絶望することで妥協します。 すると、異常に哀しくなってきて。 「いやだああ! 死にたくないい!」 と、暴れまわります。が、 「とはいっても、もう死んじゃったから」 「…どんな、死にかたでしたか!」 「理想的な死さ。うらやましいぐらい」 「具体的にどんな!?」 煙を、球状にふかし上げました。 「蛙の尻にストローを…」 「…やっぱ、いいです」 「内臓からチュルリ」 「言わないで」 ぐったりと、彼は項垂れました。いやむしろ、ひれ伏しました。このまま倒れて、あの世に行きたいぐらいの心証でしたが。 もう、すでにきている。そう思うと… 老人は相変わらず。 蒼然とした彼に、老人は女を差し出しました。 「これはいい女だ」 「こっちは、なんでも手に入るよ。住んでみれば、いいところさ」 言われてみれば、そうかもしれないと思いなおした彼は、とりあえずホテルカルフォルニアを望んで見ました。 あっというまにできました。演奏はブービーズ。 「こりゃあいいわ」 ほんと、思い切り満足してしまいました。そんなに悪くは無い。 老人を見たら、そこには何もありませんでした。 ただ、天から声が響いてきて、アフォリズムを述べました。 「あんまり、羽目を外すなよ」 |