| # | 題名 | 作者 | 文字数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 無 | 秋山龍尚 | 482 |
| 2 | 来訪者 | 瓜生 遼子 | 1000 |
| 3 | Color〜心の華〜 | 堀内 みやび | 982 |
| 4 | 悪夢 | 神風夜月 | 998 |
| 5 | 悠久 | 鄙川 七生 | 998 |
| 6 | これって、私だけ?! | あをね | 889 |
| 7 | 少年A | 彩霞 | 1000 |
| 8 | 笑うのは、ひさしぶりだけど | 佐藤 愁 | 883 |
子供の頃は実はひどく心配性だったりする。つまらないことで悩んだりする。
「この世が全て虚像でみんなは俺を騙すための幻なんだ!」これは幼い頃からの杞憂だが、世の中が大体分かってきた今でもそう思う。あながち間違いではないだろう。もしかしたらこの世は幻かもしれない。俺たちは約80年かけて幻をみるのだ。幻が終われば・・・死。つまりそれは無と同じこと。うざったい世の中から解放される唯一の手段。どんなに頑張ったって、ゴールがみんな同じ。金持ちだって、カッコイイ奴だって、俺と同じ。あなたも・・・。昔、俺は無になろうとしたことがあった。
「お前なんか産むんじゃなかった。」
俺を産んだ奴が最後に言った言葉だ。別にそいつが好きな訳ではないし、好かれたこともなかったけれど、俺は泣いた。泣き崩れた。やっぱり親子ってだけで愛情が存在するんだなって思った。それと同時に、もう俺にはその愛情が届かないんだって思った。もう、存在意義がなかった。だから、死んだんだ。
「?」
「そうだよ、死んだよ。俺は無だよ。そしてここは君の人生のゴールだよ。
待ってるよ・・・。」
僕は僕じゃない何かになって、大空に飛んでいく。果てない宇宙に飛んでいく。僕だけの世界に飛んでいく。
大好きな美咲さん、僕の5番目のお母さん。父さんの6人目の愛人。父さんのせいで泣いてる美咲さんを見るのは苦しいよ。苦しさでトゲが増えていく。
いつしか心のトゲが僕の心を凍らした。僕は誰とも話さなくなった。美咲さんの存在が僕の中で抹消され、そして美咲さんが僕に言った。『ゴメンね。私もう、ここに来ないわ。』僕は何も言わなかった。
ある日、庭の隅に髪の毛と目が銀色の男が立っていた。彼は僕を見ていた。僕は彼に言った。
「やぁ、僕は西木 有。あなたは?」
その男は言った。
「シェン。少年はここの家の子か?」
「そうだよ。」
僕は家にシェンを招いた。何故招いたのか分からない。分かっているのは、彼を招きたいということだけだった。そして彼は来訪者だった。
彼は
「淋しかったのか?」
と聞いた。僕は首を振った。僕に淋しくないよ。僕は何も思わない。
「少年。」
しばらくして彼が口を開いた。
「私は人間じゃない。人間になりそこねた魔物。悲しみを食べて生きるんだ」
僕は頷いた。でも僕は悲しくない。両親は居ないけど、僕の世界があるんだから。
僕は彼に言った。
「僕は悲しみなんて抱いてないけど、お腹がすいてるんなら僕を食べなよ。僕はシェンに食べられて、僕じゃない何かになる。やっと、僕の世界に行ける。僕はこれまでずっと虚無を見てきた。母さんが泣くのを見てきた。僕は無力さ。だけど、大空に飛んでいくんだ。果てしない大空に・・・。」
言ってたら涙が出てきた。なんでだろ?涙が出てくるのが不思議だった。彼はそっと僕に近づいて、僕の肩にシェンの口があてた。僕は目を閉じて、僕じゃなくなる瞬間を夢見た。
美咲さん、あなたの本物の笑顔が見たかった。父さん、僕はあなたの息子だと思ったこと、なかった。あぁやっと、僕という呪縛から逃れれる。大空を飛ぶことができる。シェン・・・ありがとう。さようら・・・。
いつしか、西木家のニュースは人々の噂からなくなっていった。西木家の一人息子が殺された。いや、死んでいた。でも、その顔は幸せそうだったという。
少年。誰がお前を裁けただろう。愛を知らずに育った、自分であることをやめた子供。いつかお前も分かるだろう。愛される嬉しさ、愛せる幸せを。シェンはそっと呟いた。いつかお前も分かる時がくるだろう、と。
緋色の月が輝く。
僕らの生きている世界を照らす。
地面に広がる白は、瞳から流れ出る紅と土の茶が入り混じって、決して綺麗と言える色ではない。口先だけの綺麗事を並べている大人達の汚い部分を映しているようだ。
「ねぇ、母さん。僕は愛されていたのかな?」
答えは返ってこないと分かってる。
目の前は一面の銀世界。
僕の周りだけ黒くてたった一人世界から取り残されたみたい。
「ねぇ、僕は可愛がられていたのかな?」
そんな事自分が一番分かってる。
頬には生温かい液体の流れる感覚。
「母さんといて楽しかったよ」
流れ出る紅を拭うこともせず、ただ焦点の合わない瞳を開いて誰に言うでもなく呟く。
「どんなに邪険にされても、楽しかったんだよ。愛されなくても可愛がられなくてもよかった。ただ、傍に居られるのが嬉しかったんだ」
空からはたくさんの粉雪が降ってくる。
その冷たさももう感じない。
意識が朦朧としてくる。
でも、これだけは言いたい。
「僕は母さんを愛していたよ。だか・・・」
―だから、僕を産んでくれてありがとう―
最後の言葉を続けることなく、僕は瞳を閉じた。口許に小さな笑みをうかべて。
粉雪が掻き消していく。
緋色の月は相変わらず僕らの生きていた世界を照らしている。
ただ違うのは僕の瞳の開かれない事だろうか。
それともこの口から言葉が零されない事だろうか。
僕は真っ紅な花を咲かせた。
「ねぇ、母さん!あそこに赤い花があるよ!」
眩しいくらいの朝日の中、雪を踏みしめる音とともに明るい声が響く。
「どれ?」
女は自分の少し前を歩いている男の子の指差す方向に目をやる。
目に入ったのは血のように紅い狂い咲きの彼岸花。
「ダメ!見ちゃダメ!!」
女は目の前に立っている男の子の腕を掴んで半ば強引に抱きしめる。
男の子は意味が分からず首を傾ける。
「あの花は死神草と言って魂を持ってっちゃうんだよ」
女は抱きしめる腕に力を込める。
「どうして?あんなに綺麗なのに」
女は少し驚いた顔をして、それから寂しげな顔をする。
「そうだね。でも、あんなに綺麗なのは命をかけて咲かすからなんだよ」
「母さんは、誰か連れてかれちゃったの?」
男の子は澄んだ瞳で女を見上げる。
「うん。とっても大切で大事だった子をね」
女は瞳を閉じると、男の子を包んでいた腕を解く。
2人は並んで歩いていく。
2〜3m歩いた所で女が振り返る。
「ありがとう」
――ありがとう。たくさんのモノをくれて、たくさんの事を教えてくれて。
ごめんなさい。大切に出来なくて。
それでもあなたを愛してる。ずっとずっと愛してる。――
その思いは誰に届く事もなく木枯らしに掻き消される。
紅い彼岸花が小さく揺れる。
まるで、笑っているかのように。
―ねぇ、あなたは何色の花を咲かせますか?―
「心」は、あなたにはありますか?
私はありません。
なぜって?
それは私が、造られた機械だからです。機械なんかに、心はないんですよ。
ところで話は変わりますが、私の御主人様はロスといいます。御主人様はとても女癖の悪い方で、度々女性の方が奇襲しに来るんですよ。武装して。
先程、奇襲に来られた女性はたしか、モデルをなさっている綺麗な方でした。でも、鬼のような形相で私を睨み付けてきたんですよ。
「ロスはどこ?!」
と。
私は動じずに、言ったんです。
「御主人様は生憎席を外してますので、後程またアポイントをお取りの上、再度来訪していただけませんでしょうか?」
と。
そしたら、暴れ始めたのです。手に持っていたライフルを数発撃って、シャンデリアを一つ壊されました。
「殺してやる! 殺してやる!!」
本当にその女性は、怒りに狂っていらしたみたいです。私はこの方を危険人物と判断し、人体の急所を強打しました。
女性は倒れ込み、長い髪の毛は、九尾という妖怪の尾のように広がっていました。
私は警備ロボットを呼び、女性を病院へお連れするよう、指事を出し、御主人様の元へ急ぎました。報告のためにです。
そして只今、御主人様の部屋の前にいます。大きく深呼吸し、ドアをノックしました。
「どうぞ」
艶のある、太く綺麗な美声が、私を部屋へと促しました。
この中に御主人様がいるかと思うと、自然に胸の鼓動が速くなってきます。
緊張しているのでしょうか? 昔、ご老人にこの気持ちは”恋”だと、言われたことがありました。
「どうだった?」
「早急に処置いたしました。後程、旧型の警備ロボットは、”処刑”致します」
私は”処刑”という言葉を、口にするのに、全くためらいはありませんでした。御主人様がそれを見るのが好きだと、知っていたからです。
「すまなね。君にはいつも迷惑をかけてばっかりだ」
御主人様は笑いました。とげのある薔薇のように、華麗に微笑むのです。
ずるいと、私は心底思いました。どんな残酷なことでさえ、私は御主人様のためにできるのです。
「でも、もうそろそろ買え時かな?」
「え?」
「僕の言ってることがわからないの? 君も、”処刑”してあげるって言ってるんだよ。僕のこの手でね。君なら、僕の頼みをきいてくれるよね?」
夕方。
私は、処刑台の上にいます。
これが、悪夢だったらどんなにいいかと。
流れることのない涙を、流しながら。
柏の木に跨って、路傍を眺める。
時間は只過ぎて行き、密やかな不安さえ覚える。
指に絡み付く蜘蛛の糸を、玩びながら幹に擦り付ける。そして玩んだ自らの手を、自らによって誡める。
其の侭時間は止まり、何も動かなくなった。空気すら、地上を漂う事を止め、消えた。
皆無の、地上。
一時此処は、全てを失った。
何を連想するでもない、下らないだけの脳細胞。
既に其処は腐り切っていた。考える事しか出来ない脳細胞は、単調な動きの為平伏し、其れ以外の機能が錆びた。
此処で漸く僕は口を開く。
「完膚なきまでに打ちのめされましたね。」
「ああ。一波わずかに…何て言ったかな。」
「<一波わずかに動いて万波随う>、ですか?」
「そうだな。」
再び動き始めた空気を吸いながら、僕等は息を吹き返す。密封状態に近かった地上が、慌ただしく呼吸をする。
「名前も知らない、性別も分からない。何にも知らない。其れが、幸せだってのかい?」
「少なくとも、僕はそう思っているんですけどね。」
噛み合わない会話は、何時までも続く。何時までも続くから、尽きる事は無い。
「如何してこうなったかは、お前だけが知っているんだろう。」
「さぁ。」
こうしている時間が、心地良くなる時は来るのだろうか。
「俺等は、何時まで生きているんだ。」
「そんな事僕には分かりませんよ。分かるのは、自分の体が段々腐って行く事だけです。」
何時かは、終わりが来る。終わりが在って欲しい。終わりが無ければ、この体は腐り切っても尚生き続ける事になる。
「結局、俺等は如何なるんだろうな。」
「其れは僕達を造った人に委ねてみないと分かりませんよ。此の侭生き続けるかもしれないし、殺されるかもしれない。でも、僕は何でもいいと思う。どうせ人間にコントロールされるなら。」
人間が嫌い等、言った覚えは無い。然し幾度も聞かされていたような記憶は在る。
記憶。僕等の全てが思考と記憶によって成り立っている事を、彼は知らない。僕は彼より少しだけ頭が良いように造られた。所詮僕は造り物の、人間の言葉を持っただけの器にしか過ぎない。
彼は考えて、学習した。
そして答えを見つけた。
「今、殺してくれねェかなぁ。」
僕等造り物にとって、「死」なんてものは存在しない。存在するのは形だけ。
この場所では、消毒液の臭いが常に漂っている。
僕等は新しく地球に降り立った、人間のクローン。
「はぁ〜〜ぁ。」
何を書こう。さっきからこればかり考えている。
数分前のこと。
私はペンとノートを用意して、机に向かった。
一つ、小説を書いてみようと思ったのだ。
”あっ、あれ書いてみようかな” ”でも、この展開もいいな”
頭の中を様々な空想が飛び交う。
もうすでに胸は、新しい世界に冒険に行くようでワクワクしている。
空想を膨らませば膨らませるほど、鼓動は高鳴って行く。
そうしてサンザン考えた後、とにかく書いてみようとペンを握った。
すると……どうだろう。
今まであんなに浮かんでいた小説の断片たちが、一気にどこかへ消え去ってしまったのだ。
書く材料が無くなってしまった私は、ただただ呆然とし、今度は消えてしまった材料たちを必死に探し始めた。
”あれ?さっきいいと思ったのって、どんな話だったっけ?” ”うーーん……、先が思い浮かばない……”
と、いうことで、今の状態に至る。
どうしてこう、世の中上手くいかないのだろう。
私は不思議で仕方が無い。
きっと、神様とやらが仕組んでいるのだろう。
なんて、意地悪な神様だ。
そんなんでよく『神』なんて、やってられるよな。
……ん?意地悪な神様?……神様……天界……天使!!!
「よし、これだ!」
これなら、書ける。よし、書いてやる!書いてやるぞー!
そして私は、再びペンを握り返した。
ノートにプロローグを書き込み、消えかけていた冒険心に再び火がついた。
5分後。
ペンは再び本来の役割を放棄していた。
ノートにはほんの入りだししか書かれていない。
そう。また、だ。
またあの忌々しい時間がやってきた。
アイデアも情景も、少しも浮かんでこない。
「はぁ〜〜ぁ。」
そうして私は、永遠に続く追いかけっこをまたスタートさせてしまった。
あらすじを組み立ててからの文章作成を、私は決してやろうとはしなかったからだ。
なぜかって?そんなの、面倒だったからに決まってるじゃない?
それが原因になっていることを知っているのか知らないのか、私は変に開き直りながら、もう抜け出せなくなってしまったサイクルを繰り返している。
これはある愚か者の話。
*オワリ*(チャンチャン)笑
久しぶりに学校に来たら、学校の雰囲気は変わってた。クラスの空気が気持ち悪い。『ジュケンセイ』になるかららしい。結構どうでもいい。適当にやってればどうにかなる。
国語のテストがわかんなくて「天の神様の言うとおり」で決めてイって書いたら、隣の女の子が笑ってた。
「そこ、アが正解だよ」
囁くとその子はくすっと笑った。僕も笑った。次の日に僕はもっと笑った。
だってテストが終った次の日の葬式で、その子の名前を知ったんだ。
「奈々がお世話になりました…」
真っ赤な目をしてその子の母親は手を握った。手は冷たくて、あんたの方が死人だろって言いかけた。あの子は白い菊に埋もれながら、写真でもくすっと笑いを浮かべてた。僕も笑った。二点上げてくれた感謝はしたかった。
「おい」
担任が陰の方で手招きをしている。テストの点でも悪かったんだろうかと思いながら僕が近づくと、いきなり横っ面を殴られた。
「こんな時に、何をヘラヘラと笑っているんだ!」
体育教師の担任は激しやすい。僕は口の中に変な味が混ざったのに気付いて、思わず唾を吐いた。赤い血が唾に混じってた。
「この野郎!」
それを見た担任は何故かもっと怒って、首を締めあげんばかりに僕に近づいた。僕は逃げた。僕が逃げる様子を、あの子はくすっと笑って見つめていた。
その視線に気を取られて、僕は前なんか見ていなかった。
――ドンッ。
肋骨二本・右膝骨折。
まだ軽い方だ…と医者が誰かに説明していた。そうだ、母親だ。週一回しか帰って来ない、あの。
「まったく、こんな事ばかりして」
この人のきつい香水と厚化粧は昔から苦手だ。
「保険がなかったら、どうなっていたか分からないわよ」
僕は寝たふりをする。
「明日、学校から何人かでお見舞いに来るって」
彼女は乱暴にドアを閉めた。
それで僕はいいことを思いついた。
ぱん、ぱん、ぱん!
やっぱり驚いてる。僕は嬉しくなった。隠し持ってたクラッカーは効果満点。なのに花束を抱えた女の子は、頭にリボンが落ちると泣き出した。
看護婦が来る、医者が来る。
僕は病室から逃げ出した。右足は床に付く度に痛むし、息をするのも苦しい。逃げろ。僕はそのことだけを考えて走った。僕は走る。逃げる。逃げろ。僕は逃げるのは嫌いじゃない。前は見えない。見ない。走る。窓だ。転がり出る。逃げろ。僕は白い建物から放り出されて笑った。
そう、それから僕は何も覚えてないんだ。
僕は自分の席が好きだ。そこに座っていれば不自然じゃない。当然の権利なんだ。誰も僕を否定したりはしないし、疎んだりもしない。
そうだよ。誰も話しかけてくる友達がいなくても。
でも、とある昼下がり。
そいつは、突然僕に話しかけてきた。
「やっほー。相変わらず暗いね〜。小林君、だっけか?」
「…?」
僕は言葉を出さなかったけど、その少女は光風霽月な笑顔のまま言葉を重ねる。
「あ、私わからない? 沢村りえっていうの」
「そのくらい、知ってる」
当たり前だ。これでも二年間同じクラスなのだから。
髪を茶色に染めていて、見ているだけでもわかるポジティブな性格で、クラスのムードメイカー。
僕とは、比較のしようもない溌剌な少女だ。
何故その沢村りえが僕に話しかけてくるのか、理解できない。
どう考えても説明ができず、僕は困惑に似た憂いた顔をしていたが、沢村は何の分け隔てもなく続ける。
「あのさ、私、乙女座なんだけどね」
「は?」
「今日のラッキーパーソンがね、『普段話さない人』だったの。でも私、かなり顔広いし? 話さない人って言ったら友達全然いなさそうなあなたしかいなくてさ」
「………」
僕は何も言わなかった。
「あ、もしかして傷ついた? 意外にデリケート?」
「別に」
ぼそり。僕は目線を逸らす。
「そうやって会話終わらせないでさ、もっと語尾に?とか使いなよ」
意図された嫌味なのか? いや、そんなことをする性格には思えないけど…。
沢村はその表情を見て少し目許を動かしたが、すぐに微笑を零した。
「ま。あなたのおかげで私は今日ハッピーだよっ。ありがとね」
最後まで笑顔を浮かべたままで、沢村はその場を去っていった。
星占いは、毎日見ている。
今日の乙女座にそんなラッキーパーソンはなかった。
今日の乙女座のラッキーパーソンは、『笑顔で話しかけてくる人』。
そう、僕は、乙女座。
彼女は本当に乙女座なんだろうか。
だとしたら、今、僕が笑顔で話しかけてこそ、彼女は幸せになる。
うまく笑えるだろうか。いや、笑うのは方法じゃないんだ。
思うままに、彼女に話しかければいいんだ。
僕は席を立った。