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第23回中高生1000字小説バトル Entry5

灰色の花

 色鮮やかな都会の人通りの多い道に、灰色の小さな花が一輪、咲いていました。
 
 何でこんなにも世の中は不公平なんだろう。ほら見て、私の目の前にある人混みごしの花屋ではスーツ姿の男がやってきて、一輪のユリを買って行くのよ。そんなユリなんて、きっとビニールハウスで人間に過保護に育てられたんだわ。
 それに比べて私。生まれたときから一人で生きてきて、咲かせた花は灰色よ。
ほんとにこの世は不公平よ。
 花が咲く前はまだよかったわ。目の前を通り過ぎていく人間達の誰もが振り返る花をきっと咲かせてみせるという夢があったから。
 
 その夢のために毎日毎日必死になって生きてきたのに。
 
               
 花が咲いてから、私は世を恨んだ。
 
 咲いた花も誰もが振り向くどころか、道ゆく人は誰も見てくれない。
 あんなに頑張ったのに目の前ではぽかぽかのビニールハウスで育てられた花達が次々と買われていく。

「あと2日かしら」
 美しい青空を眺めて私は呟いた。
 今私の花は満開である。(一つしかないけど)でもたぶんあと2日しか持たないだろう。そしてきっと誰からも見られないまま枯れてゆくんだろう。
 私はため息をついた。何のために頑張ったのか、何のために生きたのか。

  知りたいよ……。

悔しさと無念さで私はもっと灰色になった。それはもう黒に近かった。

 私は黒になっていた。あれからもう2日たつ。回りはまだ明るい。
 
 2日前に感じた通り、私の花は今日が最後だった。黒い花びらはしわしわで私の頭にくっついているが、強い風が来たら間違いなく飛ばされるだろう。

 結局、誰も私のことを見てくれなかった。

 次に生まれ変われたら人間になりたいわ……、なんて思いながら、私は静かに余命を過ごしていた。目の前をたくさんの人が通りすぎていく。
 
 ふと誰かが、私の前で立ち止まった。
  誰? 
その人はよろよろと私の方へ歩いてくる。
 その人は汚い格好をした男性だった。私の目の前で足をとめると、泣き声交じりの声でこう言った。
「お前も、独りぼっちなんだなぁ」
 見上げるとその男性は私を見下ろしている。
 そう。私も一人だったわ。
 急に雨が降ってきた。その雨は私の上にだけ降っていて、その滴が当たる度、私の花びらは白くなっていった。

 一年後

 色鮮やかな都会の人通りの多い道に、白い花がたくさん咲いていました。その美しさに人は、誰もが足をとめるのです。

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