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第23回中高生1000字小説バトル Entry6

記憶

あー苦しい、今何時? あーしんどいなあ。嫌だな。

最近朝がつらい。もう2週間くらい前から。起きるまでの間、僕は暑苦しい何かに襲われていて、葛藤と戦い、心臓のバイブが鳴ったかと思うと、幻聴なのか本当に聞こえているのかわからない声や音に僕はつきまとわれている。寝ぼけているから曖昧でわからない。でも、朝鳴っていたと思った電話の音は確かに幻聴だった。
着歴を確かめると、夜中にかかってきたユキが最後の着信だったから。

夢と現実の境目がわからなくなっていく。
ピンクとオレンジのあたたかいものが僕を包む感じ。
ベールが、僕を、さらっていく感じ。

「ちゃんと学校にきてよね」
ユキは受話器の向こうで確かに言った。ユキはかわいくて少し変わった子だった。会う時は暗くなってからじゃないと嫌だと言い張りどうしてかと聞くと、いつも恥かしいからって言った。とにかくユキは人より自意識の強い子だと思っていた。でも僕はそんなユキのことが最近、どうでもいい存在になってきている。愛しているだなんて、僕はまだわからない。でも、前は本当に、ユキを、愛していたと思う。なくてはならない存在だった。

でもユキは朝焼けのきれいな日に消えた。それに僕が気づいたのはそれからすごい後だった。相変らず学校に行かず毎日ゴロゴロしてたら友人からの電話で知った。もうユキの事がどうでもよくなっていった僕は、頭の中からユキという存在を消してしまっていたみたいだった。信じられない。恋人の存在を忘れるなんて。そんな事があるものかと思った。自分が信じられなかった。もう、記憶なんてものが僕にはなかったように思えた。でももう遅かった。僕がぼーっとしている間にユキは遠いところにいってしまった。

僕は眠りについた。ユキは消えた。だけど僕は・・・僕は何の為にここにいるんだろう、何で。プルルル・・あ、電話。僕は起きた。

「はいもしもし」
「あ、ユキだけど」
「あー・・久しぶり」
「ねーいつ会える?」
「いつでも」
「ふうん、じゃあ今からは?」
「え、今? もう遅いよ」
「じゃあいい」
ツーツー・・

あー苦しい、今何時? あーしんどいなあ。嫌だな。

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