第36回体感バトル詩人部門


エントリ作品作者文字数
01椅子ed208
02凧とわたし、糸のみすぎた圭也559
03I MISS YOU SO MUCH!神上小鳥316
04呪礼77
05周波数662
06いつもの待子あかね146
07静かなる激情月夜
08手のひらから 伝わるものrua106
09口笛妃咲
10夏祭り椿
11幸せとは?長月24
12ひとごろし緋間 薫77
 
 
バトル結果発表
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エントリ01  椅子     ed


暗闇、リノリウム、姿見
そこに君の姿を見た
蛍光灯に照らされている
ここに来たって無駄だって
わかっている
わかっているとも
カビの生えたパンを片付け
窓を開け、窓際の君の椅子
昨日の喧騒と打って変わって
部屋には何も起きない
頬をひんやりとした机に
風が冷え切った風が吹く
向こうのコンクリートに罅
立ち上がって変動の治まった
静かな部屋部屋に何かをと
君の椅子を引いてきた
そこが昔みたいに
カラのままだったら
僕は君と出会うだろう
しかし亡霊として






エントリ02  凧とわたし、糸のみ     すぎた圭也


わたしは凧をあげる
凧はわたしにあげられている
わたしは凧から飛び出した一本の糸を握っている
凧は自分から飛び出した一本の糸をわたしに握られている
わたしは凧を風に乗せてより高い所まで飛べるようにわたしの手に握られている糸を引っ張ったり力を加減したりしながら角度を変えてやる
凧はその身に風を受けながら自らの高度を一本の糸とわたしの手に委ねている
わたしには凧が受けている風の強さは実感できない
凧には自分が飛んでいる姿は実視できない
わたしは凧を引っ張りそして凧に引っ張られる
凧はわたしに引っ張られそしてわたしを引っ張る
わたしと凧をつなぎとめているものは一本の糸だけ
凧は風に乗りそしてわたしの手の力の加減により高くへとあがっていく
糸はどんどん伸びていき凧とわたしとの距離もどんどん長くなっていく
そしてわたしには凧が見えなくなってしまう
けれど糸の引っ張られる力を感じる事で確かにわたしと凧はつながれていることはわかる
さらに風に乗り凧はより高くまであがる
わたしには凧が感じている高さは実感できないが想像をして満足する
凧にはわからなくなる
その高度まであがることができたのは風とわたしのおかげだという事を
さらに風に乗り凧はさらに高くまであがる
ついに私と凧をつなぐ糸はその長さに限界を見せる 
わたしは糸をはなす
そしてわたしと凧は自由を手にした






エントリ03  I MISS YOU SO MUCH!     神上小鳥


最近君と目が合うなぁって

一人ニヤけ顔を

教科書で隠した

妄想系なあたしキモいね

でも君を想うと幸せになるの


空は曇ってばかり

雨は降りません

湿気バリバリ

髪の毛モサモサうざいね

でもあたし今日も元気に青春してるの


恋です

愛です

あたし変です


日焼けにローション

君にはモーション

せっせと働く

あたし冬でも夏娘なの

激しいアタック

覚悟しといて


モヒカンチックな髪形好きよ

ちょび髭生やした顎も好きよ

ユーモア溢れる動きが好きよ

変顔しちゃった君が好きよ


他の子見てる君も好きよ

大丈夫です怒ってないよ

あたし元々暴力的なの


君が好きです

大好きなんです

今日も明日も明後日も


さぁあたしの出番はこれから

絶対君をふりむかせるから

真夏の抱擁

君にタックル

覚悟しといて



『君が好きです!!!』









エントリ04       呪礼


長い時代の約束がありました。
僕はそれを忘れることが出来ません。

きっとあの人たちは
またここに帰ってくるでしょう。

そして僕は
また向こうに行くでしょう。
(7.14)






エントリ05  周波数     涼


深い 深い 不快 真っ白な ココは
何処ですか


何処までも 深く 深く 不覚 続く この白は
何処で終わるのですか


白い 白い 白い 白い 白い
僕の目は壊れてしまったんですか


人が 人が 人が 人が 人が
たくさん 目の前を 過ぎるのに


僕はどうやら見えないようです
それとも 僕が見えていないの かしら


通り抜けてゆくのです
どんどん どんどん どんどん


吸い込まれてゆくのです
すぅー すぅー すぅー


きっとそこは素敵なのでしょう
僕も行きたいけれど 行きたいけれど 行きたいけれど


道を忘れました
切符をなくしてしまいました


スクランブル交差点の真ん中
真っ白な闇に包まれて


えぇ、そうなんです
音も聞こえて いないです いないです いないですよ


何も 聞こえない 聞こえない 聴こえない ココには
誰の声も 届かない 届かない 届かない 届かない


誰かが 送ってくれてるのか 知らないですけど
だけど 送って下さい 圏外ですか だけど 送って下さい

僕のこと 知っている人なんか いないと思うですよ いないですよ
あぁ あなたは 知っていましたか


知っている人がいるって いい ですね
僕の声が聞こえるって いい ですね


あなたの声は 残念 聞こえないですよ 残念
でも 伝わるですよ 伝わるですよ 伝わるですよ


白い 白い 白い 白い 白い
何もない ココ 僕もいないの かも


あなたの声 微かに 揺れて さらさら流れてくるですよ
聞き取れない けれど


周波数に乗って やってくるですよ
この真っ白な ココ 僕へ 僕の中へ


通り抜けて消えてゆくですよ
そのとき あったかい感じがするですよ 






エントリ06  いつもの     待子あかね


半年振りに会う
「最近どう?」と
とりあえずたずねてみる
でも そんなこと聞かなくても
顔みるだけですぐわかる

いつものことばを交わし
いつものように手をつなぎ
いつもの場所で愛紡ぎ
いつものお店で乾杯ね

あんたのすきなものを忘れてはいない
それは あんたも同じ
ずっと この瞬間を
ずっと ずっと

いつもの ください






エントリ07  静かなる激情     月夜


嫉妬はまるで 逆巻く 焔
想いは時に 狂気と 凶器
ほむらに呑まれ灼かれゆく
いずれは溶けて消えるのか

熱に溶けて 消えるのか






エントリ08  手のひらから 伝わるもの     rua



握り締めた その手を
もう少しだけ このままで

もしかしたら
この手から
何か 伝わるかもしれない

握り返してくれなくてもいい
振りほどかずにいてくれるなら

言葉にするには
重過ぎて
態度にするには
複雑で

だから

この想い
どうか
感じて






エントリ09  口笛     妃咲


綺麗な音を鳴らすことが出来なくて

器用な貴女に笑われたけれど

頼りないこの音が、いつも私を支えてくれた

いつのまにか身に付いた うまく生きる術よりも


畦道に立つと思い出す

夏空の下で私の頭をなでた、つよくて温かい手


いまも貴女のように強くなれずにいて

泣くことも叫ぶこともできないけれど

少しだけ、大切な人の存在に気づくことができました。


だから、


貴女が一番望んだことを、明日から、少しずつしようと思います。

貴女が出会えなかった私に、少しずつ近づいていこうと思います。


貴女がいる空の下で、私は今を生きていく。






エントリ10  夏祭り     椿


赤く燃える林檎飴
 片手に持って

優しく笑うママの腕
 片手に持って

燈籠の並び賑わって
 小さな笑顔が踊る

ねぇママはどこ? 迷えるこの子が鳴いている
ねぇママはどこ? 鳴いて流す涙が祇園に消え
ねぇママはどこにいるの? 見目形は浮かぶのに
空へ高く消える 花火と紙風船

手を伸ばし そよぐ風の向こうで見つめてる
忘れたあの日の絶望を この子に見せたくはない

綺麗な扇子をじっと見て
 片手に持って

よかったねと呟くママへ笑顔
 片手に持った手 暖かく

祇園坂をこの子と歩く今宵
寒々とした夜の風が包む

手を伸ばし 三日月をママに見せたかったのに
鈍く光るあの日の凄惨を この子に見せたくはない

祇園が賑わう 浴衣の群れ 赤や白や黄色や緑
この子と繋ぐ手は暖かくても
そよぐ風もない
無口な彼女は石畳の下…


※作者付記: テーマは、祇園、京都、祭り。
イメージは、暗く、どす黒い赤。
主人公は、親子でもいいですし、母親でもいいですし、子供でもいいです。
僕のイメージを言ってしまえばそうとしかとられなくなりがちだと思うので、言いませんけれど、読んでくださった方々は好きなようにイメージしてくれれば幸いです。
拙い文章力ですが、多方面から読めるよう尽くしました。







エントリ11  幸せとは?     長月



 答えは至極簡単で

 君と同じ世界にいる


 それだけ






エントリ12  ひとごろし     緋間 薫


お願いやめて・・・

哀願する私

ガマン我慢!

ヤツはそう言って

無理矢理押し込んだ。

激痛が体を貫く。

私の上で激しく腰を振る・・・・



アレ以来私は子供がデきなイ。

産むべきはずの命は

ヤツに

コロされた


※作者付記: 悲しイですね・・・