第14回体感詩人バトル

エントリ
作品作者文字数
repeat菅原由香405
鳥籠の束縛氷夜208
豊年祭あや01227
蘇赫コバトタカシ182
またねむん110
狂刃梅埜羊炳0
空っぽmint123
きさ、めじ八白320
ソンナ色青猫152
10ザリガニとわたし三浦243
11地図Y-mode179
12ヘブンリードライブ。りら196
13忘却深瀬 順239
14君は言いました 色の世界をねnatsuco438
15sararin43
16蝶々結び桜樹鉄太287
1752の白と36の黒と朧月ノ朔403
18息子へ斉藤明穂302



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エントリ1 repeat 菅原由香


「殺したい?」
「出来ればそうしたい」

いつもどうりの日常、会話
でも機械的な返事を繰り返すのは、今日で終わり
勢い余って、なんてベタな展開は性に合わないから
貴方の望んでるシナリオで

あぁ もうほとほと 嫌になる
抑え切れない (抑えられるさ、本当はね)
歯止めなんてききやしない (一瞬躊躇したじゃない)
被害者面したペルソナも、バイバイ さよなら

「最後に聞いていい?」
「遺言でも残すつもりかよ」

仕方がないから聞いてあげる
もう一秒だって意識したくない、でも
楽になれる これでいいんだ
笑っちゃうくらい貴方のこと・・

「俺を殺る理由」
「そんなの


 愛してるからに決まってるじゃない」

言うと同時に刃を立てた
食い込んでく感覚が妙にリアル

「・・っく、よ・・かったぁ
 俺も、お前の・・事っ


 あ・・いして・・るよ?」

甘美な響き 狂気の中に見つけた、やっと
優しく微笑んで貴方を抱き寄せる
予想外な感情 五月蝿く鳴るサイレン


冷たい貴方の唇に口付けを



エントリ2 鳥籠の束縛 氷夜


色のない 渇いた地面を得る 残された一羽の鳥
削られた羽の痕は もう 見えないけれど
その瞳は ただ一つ
彼方に霞むエメラルドグリーンの光景に焦がれている
荒涼として深遠な この広大な鳥籠には番人なんていない
そう気付くのは いつだろう
いつまでも羽ばたけない鳥
今も 囚われているの…? 

鍵など どこにも無いのに 制約など はじめから無いのに
過去に捕らわれて動けない
それは半ば自由意志
愚かという籠に 首輪に 足枷に
縛られて いる



エントリ3 豊年祭 あや01


 十五夜になると
 エイサーを踊り
 今年の豊穣をいわう
 豊年祭があるが
 この腐敗した世界に
 何をいわうことがあろうか
 地球のどこかに
 幼くして死ぬ子供たちに
 どのつらさげて
 いわうことができる?
 この行事に
 少年たちは
 何を祈り
 パーランク−を轟かせるのか
 大人は何を考えて
 大酒を飲んでいられる?
 目をみひらけ
 両手をひろげろ
 この世ははてしなくひろい
 そのことを心にとめて
 パーランク−を手にとり
 踊り狂え
 このひろい世界の
 ささやかな幸せに
 感謝して



エントリ4 蘇赫 コバトタカシ


さりげない別離は朱雀の空だよ

君のかたちに切り取られた心は蘇らない ずっと

だけど 傷口をなぞればまだ赫に滲むよ

今日もまだ憶えていた感情

「……忘れてない。」 安堵して目を閉じた


触れる事さえ出来なかった

猛毒な想いだけ 走り 満ちて

残ったのは 赫い空

消えても消せないその色が いつか

僕を滅してしまうだろう そしたら

誰が僕を忘れてしまうかな


フ ァ ン ト ム ・ ペ イ ン



エントリ5 またね むん


明日の空も変わらず晴れているといいね

変化を嫌う自分はとっても弱いです
どうかどうか
このまま雨もあがって
変わらぬ空を下さい

高く高く飛んで
日の光をいっぱい浴びて
もう輝きを失わないように

揺れる夕日に

明日も会おうねと

指きりげんまん



エントリ6 狂刃 梅埜羊炳


二十三年間
少年は程良く狂った

欲が出てしまった
大人に成ってしまった
大切な事を
危なっかしい手付きで
扱う大人に



エントリ7 空っぽ mint


何が欲しいってわけじゃないけど
失うのは不安、何でだろう

手のひら返すのは嫌い
いいときもわるいときも

裏切られるのは怖くない
ありがちすぎてうんざりなだけ

期待なんかするからだよ
最初からなけりゃ傷つかない

さぁ、空虚感に溺れそうなら
そこから飛び出すだけでいい



エントリ8 きさ、めじ 八白


きさ、めじ ゆるゆると
ゆるゆるとすぎる 意味
前線をみあげた あのひ
おもったよりもとおくに
とべたじゃないか きさ、めじ

かげとの交換
空は太陽の一滴で白くなる
きさ、めじ しってるか
空は太陽の一滴で白くなる
白くなって だからどうする
きさ、めじ きさ、めじ
ゆるゆるとすぎる 意味

うまれたときから うまれるときまで
すべてを すべてを知っている
きさ、めじ
きさ、めじ
前線をみあげた あのひ
だからおまえは うまれていない

いろをしらない
きさ、めじ しらない
かげとの交換
くろとの交換
もう何色なのか
わからなくなってしまった

きさ、めじ しってるか
きさ、めじ しってるか
今日は天気が悪いんだ

でも
あめか
くもりか
ゆきか
はれか
かげか
そらか
前線なのか

わからないんだ きさ、めじ



エントリ9 ソンナ色 青猫


夏はみどりかな 新緑


ちがうでしょ コンクリートから立ち上る陽炎の色だよ


秋はあかかな 紅葉の


ちがうでしょ じいちゃんの逝った日に降った雨の色だよ


冬はしろかな 雪


ちがうでしょ 青く寒い夜空からのオリオンの視線の色だよ


春は 春は ピンクでしょ 


ちがうね 春は君の色 


雛鳥の羽毛みたいなあったかい色だよ




  なによ



エントリ10 ザリガニとわたし 三浦


 あなたは、自分の手がザリガニのハサミだということを酷く気に病んでいますね。
 携帯電話に出るのにも、パソコンでメールを書くのにも、とにかく融通が利かなくてまいっていますよね。
 わたしの手を引く時にも、ごく慎重に、恐々握りますよね。
 あなたは、そのことを酷く気に病んでいますよね。
 だけど、わたしは知ってますよ。
 あなたの手に、どんなに強く握ったって、どうしようもなく隙間ができてしまうことを。
 その隙間があなたの優しさだから、そうだと思ったから、わたしは今あなたと一緒にいるんですから。



エントリ11 地図 Y-mode


最近いろんな人の家の場所を覚えた。

その中には大学に入って初めてできた彼女の家もあった。

家に初めて行った時、帰り際に地図を描いてもらった。

「ほら俺って地理音痴だからさ、次迷わないように」

って言ったけど、

もう二度とこの家には来れないことは分かっていた。

ほんとは君に関するものが欲しかったんだ。

必要のない地図、それはいつかの思い出。

恋愛ベタだった僕の大事な思い出。



エントリ12 ヘブンリードライブ。 りら


砂漠に寝転ぶ、私とギター。
熱に魘された砂の上は、どんな味。
揺らめく蜃気楼に見えるモノは何なのか。
例えば、ドライアイスの様に昇華してゆく私たちとか。
そんなのはどんな楽園よりも近い天国。
ギターの弦に埋もれた私の指には紅い華の指輪がついている。
限りなく甘くて、染みるほどスパイシー。
さぁ、もう少し行こうか、そのおんぼろの蒼い車で。
行ける処まで、天国に限りなく近く。
ヘブンリードライブ。
ぎりぎりまで。



エントリ13 忘却 深瀬 順


 忘れてゆく。それが幸せなのかそうでないのかは判らないまま。
 忘れられる。それが不幸なのかそうでないのかは判らないまま。

 信じられなくなったのなら、忘れてしまうのが良い。
 まるで最初から何も無かったかのように。
 そうすれば傷つくことは無い。
 傷ついたことすら無かったことに出来る。
 信じていたことすら無かったことに出来る。


 自分を守る為に忘れてゆく。
 心を引き裂かれる痛みから、逃げるために。


 そして。
 忘れてしまった自分の愚かさを笑う。
 そのまま狂えてしまえたら良かったのに。



エントリ14 君は言いました 色の世界をね natsuco


君は言いました。
おれんじの爪をしてるあのこが好きなんじゃなくって。
オレンジの髪をしているあのこが好きなんじゃなくって。
おれんじの頬をしてるあのこが好きなんじゃなくって。
オレンジを齧る姿が好きなんだ、と。

あのこは言いました。
あおい空の色を掴みたいんじゃなくって。
青いシャツの袖を掴みたいんじゃなくって。
あおのガラスを掴みたいんじゃなくって。
青い君の心を掴みたいんだ、と。

彼はその時言った!
紫の蝶々をつかまえな!!
ひらひらひららら。

彼女は叫んだ!!
紺の闇へ逃げろ!!!
ひららひら。

まっピンクの世界へようこそ。
わたしは白ウサギの瀧川ハロウィンです。
ひーららら。

君は誰?

僕は誰?

ひらひらひらひら。。。

僕は君なのか 君はあのこなのか
彼は彼女なのか 彼女は僕なのか

「みんなあなたですっ」

ひひららら。

そんな事もあるのですね。

ひら ららら

緑の泪が黒い世界にポタンと一粒。
流れ落ちた  滑り落ちたよ。

ひらひらひら

金色の孔雀さん、ピンクのライオンくん、赤の梟
黄緑の君。

ばいばいばい  ひらひらら〜



エントリ15  sararin


あの人みたいに
なれたらと
何度も思った。
でも
今の自分を
好きになる程
素敵なことはなかった。



エントリ16 蝶々結び 桜樹鉄太


馬鹿だと思ったら馬鹿になりました。

優しくないと思ったら優しくなくなりました。

嫌いだと思ったら嫌いになりました。

努力ができないと思ったら努力できなくなりました。

負けだと思ったら負けました。

泣けないと思ったら泣けなくなりました。

思考に縛られるのだと思ったら思考に縛られてしまいました……

しかし

馬鹿じゃないと思っても馬鹿のままでした。

優しいと思っても優しくないままでした。

嫌いじゃないと思っても嫌いなままでした。

努力できると思っても努力できないままでした。

負けないと思っても負けたままでした。

泣けると思っても泣けないままでした。

思考に縛られると思ったら思考に縛られませんでした……



エントリ17 52の白と36の黒と 朧月ノ朔


見下ろした私の世界は 彩りの無い白黒の世界

幾重にも色を塗り重ねて描いてゆく。
そのはずだった、白黒のキャンバス。

指先から広がる無彩色
頭に響くダークグレイッシュトーン

床に散らばる今平糖
砕け散ったビードロ


「…綺麗だ。」


私の放った不協和音でさえ、うんざりする様な濁和音でさえ
受け止め 抱きしめ まるで浄化してゆくように。


土に吸いこまれた色は、やわらかな緑となり
闇にすいこまれた色は、大きくて小さな蛍垂るになる。
そして光となって何億光年を旅するんだよ。

僕等はね、光を生み出す事も、自ら輝く事もできるのさ。
でも 殺す事だけは出来ないんだ。
その命を消す事だけは出来ないんだ。



雫では奏でられない

拳では奏でられない



私の中に燃える光よ
君を失う事だけは赦されない。

今も燃え続ける光よ
君だけは未だ 私の中に放ち続けて。
鮮やかな色彩を 光源色を 絶えず放ち続けて。


私ノ指ガ 光ヲ生ミ出ス事ハモウ 無イノダカラ。



エントリ18 息子へ 斉藤明穂


 人に 優しい人間になりなさい そして
 人に 優しくされる人間になりなさい

 人を いたわれる人間になりなさい そして
 人に いたわられる人間になりなさい

 人に 厳しくなれる人間になりなさい そして
 人に 厳しくされたら 感謝のできる人間になりなさい

 人を 愛せる人間になりなさい そして
 人に 愛される人間になりなさい

 淋しい人間には なっちゃダメだよ
 つまらない人間にも なっちゃダメだよ

 一生 忘れられないくらいの人間になりなさい
 泣くことよりも 笑うことの多い人生を おくりなさい

 不幸になっちゃダメだよ
 幸せになりなさい

 私の 幸せは あなたが産まれてきてくれたことです
 本当に ありがとう




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