第29回1000字小説バトル Entry14
ここはアフリカ大陸中東部、ケニアから東七百`ンギルン国立公園の中央に位置している豊潤な土地が僕の棲家だ。
僕の名前はマモル。コンドルだ。一部でハゲ鷹とかハゲ鷲などと不本意な呼ばれ方をしている。別に禿ている訳ではない、よく見てくれ綿毛がびっしり生えているだろ。隣で寝ているのは弟のキヨヒコ、僕が名付けた。同じ日に生まれたのに何故か体が小さい。
もうすぐお父さんがご飯を持って帰る時間だ。
お母さんはいない、僕が卵だった頃知らないコンドルと駆け落ちしたそうだ。これはお父さんから聞いた。
お父さんは狩の名人だ。手ぶらで帰ったことは一度もない。腐った肉をお腹一杯に詰めて巣に戻ってくる。
お父さんだ!フラフラ飛んでいる、お腹が重い証拠だ。巣に着いた途端、物凄い勢いでゲロを吐いた。この世の終りのような匂いがする。思わず貰いゲロしそうになった。ここだけの話このゲロは異常に美味いんだ。
キヨヒコがいつのまにか起き出してゲロに頭を突っ込んでいる。弟はご飯の時だけ力持ちになる。全部食べられる訳じゃないのに何故か必死だ。お父さんはまだ餌づいている。あんまり可笑しくて馬鹿笑いしそうになった。この前、馬鹿笑いした時クチバシで酷く突つかれた痛みを思い出した。
全部吐いちゃったのか、自分のゲロをまた胃に戻そうとしている。この時は要注意だ、邪魔すると目を突かれる。キヨヒコの馬鹿は気付かず、まだ食べるのに必死だ。僕はキヨヒコをゲロから離れさせようと、弟の肩の付け根を噛んで教えた。キヨヒコはビックリしたように振り返り訳の分からない叫び声をあげて怒っている。弟はまだ喋ることが出来ないのだ。
ご飯が終ると睡魔が訪れる。ベトベトするのが嫌なのでキヨヒコを敷布団にする。弟はまだ白い羽毛で包まれていて気持がいい。クチバシで突いて寝たのか確かめてから上に乗っかった。
お父さんはカオルさんに会いに行った。カオルさんはここいらでは超絶の美鳥の誉れ高く、物凄い巣に棲んでいる。そしてお父さんに惚れているらしい。これはお父さんが言っていたので話半分だ。
夢を見た。僕が空を飛んでいる。空気の層が見える。翼を羽ばたかせなくても層に乗ると上昇する。高い!高いぞ!オシッコが漏れそうだ。スゲー!スゲー!滑空しながら世の中の全部を見渡せた気がした。
飛んだ。僕は飛んだんだ。
安定の悪い敷布団が起きてしまった。
キヨヒコは小便にまみれて怨めしそうな目で僕を見ていた。