第29回1000字小説バトル Entry33
原稿締め切りの20分前に作品を書き始めている次第で、はっきり言って受理されるかどうかもわからず、推敲などできようがないのでたいへんな駄作を世にさらすことになる危険性を抱えながらも、それはそれで面白いし、ここで思い切って実験的なことをやってみるのも良いと思ったので、慌てて書いている次第である。
まず、話の展開をざっとご説明したい。まず主人公は大変楽天的な奴で、何があってもめげない男である。この男に試練が降りかかるのだが、その試練にも平然として、のびのびと生きようとしている。そういう人物像を描き出す作品である。
さて、その試練の中身や、その文体がこの作品を大きく影響することは間違いないだろうが、果たしてどのようなものにしようか、皆目見当がつかない。そこで、構成を練り、読者に意外性という名のインパクトを与えて、次の回の感想票でがっぽり星を稼ごうという寸法だ。
そうだ。読者の中には、こうやって書き手の側が、作り話を作っていることを堂々と露呈することにいぶかりを感じる人もいるかもしれない。しかし、私が今描こうとしている人物は実在の人物であり、その健気な生きっぷりという真実を伝えるためには私は嘘をつくことすらいとわないのであるから、是非了承されたい。
さて、問題をもとに戻そう。なんと、まだ話が始まっていないのに、指定文字数を半分こえてしまっている。しかも時間は残り5分しかないので、書き直しているひまなどあるはずがない。
おっと、話が戻って無いぞ。そうそう、主人公の受けるべき試練の内容である。文章にとって効果のある劇的な場面がほしいのである。そのようなものを瞬時に思いつくほどの才能には絶対に恵まれていない気もするが、私はまだ諦めない。
そう、実のことをいうと、この小説のモデルとなる人物というのは、実は私のことで、私はいま原稿時間内に文章を仕上げなければならないという試練に直面していて、このような下手な文章では、酷評も必死だというのに、健気にがんばっているし、こういう趣向ももしかしたら、その場受けして今回は感想票の上位に食い込めるかもしれないという淡い期待を持っている。
ああ、もう時間がない。