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第30回1000字小説バトル Entry3

ラン

ランに出会ったのは7つの春。

パパに連れられてペットショップへ行った時
最初はだだをこねたんだ。あっちのブチの方がイイってね。
でもパパが茶色のにしときなさいって。
それでもブチブチブチブチ言ってたら
パパに川に落されそうになちゃって
泣きながら茶色にするって言ったんだ。

でもね、帰りの車の中で、パパよりも僕の方が
茶色と仲良くなっちゃって。
その日はね、一緒に寝たんだ、茶色の子犬と。
次の日起きたら茶色の奴、僕の布団にうんちしてた。
でも僕怒らなかったよ。
だってさ、僕達もう親友だったから。
僕が名前をつけたんだよ。ランってね。

ランとはね、いつも一緒だったよ。
学校から帰るとね、いつもランが待っててくれたんだ。
黒い瞳をうるうるさせて、僕が歩く後ろをどこまでもついて来るんだ。
トイレの中までね。
だから寂しくなかったよ。パパとママのお仕事遅くなっても。

お天気の気持ちいい日はね、自転車のカゴに乗っけて出かけたよ。
ランは風が好きなんだ。
だから僕、一生懸命漕いだんだよ。ビュンビューンってね。
そうしてお気に入りの野原でね、一緒に走りまわって遊んだよ。

あれはいつだったかな。干草の季節にね、ランの奴、
もぐらと喧嘩したんだよ。
モグラだよ。信じられるかい?でも本当なんだ。


でもいつからかな、僕野球をはじめてね、ランと遊べなくなっちゃった。


でもいつからかな、他のお友達と遊ぶのが忙しくなちゃって
…ランは何して遊んでたのかな?


ある日ね、ランの奴、急に元気がなくなちゃって…。
温かい毛布でくるんでやった。病院に連れて行った。お薬飲ませた。
少し元気になってね、歩いて僕のところにきたんだ。
ヨタヨタとだけど。
だからね、もう大丈夫だって、そう思ったんだ。

でもね、その日が最後だったんだ。
ランはね、最後のお別れを言いにきたんだ。
ランのさよならに気付いてやれなかった。

柔らかかったランの体がカチンコチンになった。
あんな悲しい日はなかったよ。ママがお花をかってきてね、
皆で泣きながらお庭に埋めたんだ。僕いっぱい後悔したよ。
どうしてもっと遊んでやらなかったかって。
どうして元気ないのにもっと早く気付いてやらなかったかって。

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