第31回1000字小説バトル Entry10
君があんなに怒るとは思わなかったよ。
僕もあんなに怒るなんて自分でも思わなかった。
「ごめんね」そういおうとしたのに、口から出た言葉は「うるせえな」
そんなに大事だったなんて思わなかったんだよ。
でもね、本当を言うと僕は嫉妬しちゃったんだ。
だって君があんまり可愛がるものだから、君を取られちゃうと思ったんだ。
「あたしの心を返してよ」君はそう言ったね
僕と同じように不器用な君は、僕に直接言う代りにあれを可愛がる事で
僕への気持ちを表していたんだね。
僕はそのことに気づかないまま、解き放ってしまった。
君の僕への思いも飛んでいってしまったんだろうか
君が飛び出していってからもう3時間が経っている。
不器用な僕はすぐに探しにいけないままこうして手紙を書いている
君が読むかわからない手紙を・・・
「ごめんね」という言葉は「うるせえな」に変換される。
「好きだよ」という囁きは「わかってんだろ」と変わってしまう
「嬉しいな」という表現が「余計なことしやがって」と素直さを失う
君の「もう知らない」って言葉は「私を見てよ」って叫びだったんだね
「あなたなんかきらい」って飛び出した君は「あたしを追いかけて」って
言っていたんだね。
君の涙を何度見ただろうか、僕はその度に困ってしまって、
なんといっていいかわからずに、「うるせえな、泣くなよ馬鹿」って
いつも怒ってしまっていた。
ごめんね、そう素直に言えないまま、僕はまだここで君を待ちつづけている。
「何で探してくんないのよ!馬鹿!」って君があらわれるまで・・・
了