第31回1000字小説バトル Entry32
冬の暗い道。僕は街灯に照らされ一人で歩きながら考えていた。何も無い暗い世界の中に街灯の光だけが綺麗に並んで伸びている。その光をじっと眺めながら僕は歩いていた。
十八年間、周りに合わせてきた、自分を作ってまで……。どこかで持っていた疑問も、心の中の叫びも、無視できた。刺激の多い生活の中で、すぐに消えてくれたから。
でも周りの表面的なイザコザに直面して、心が疲れて、作っている自分が酷く滑稽に、カッコ悪く見え出した。いつの間にか心の中の叫びが無視できなくなっていた。生きている事の意味やリアルな自分について自問自答を繰り返す日々、それを僕はくだらないユメに乗せた。価値観は逆転し、今までの自分は全否定された。
そんな時、一人の大切な人に出会う。彼女には本気で好きな人がいた。でもそいつに遊ばれていた。それが分かって彼女は酷く落ち込み、そして、僕に助けを求めてくる。
あの頃、僕らはお互いにボロボロで、何故か色んな感情が重なって見えた。彼女は彼に対しての、そして僕は自分に対しての。どんなに明らかな現実でも心では認められない感情が……。
僕らはお互いを必要としていた。
でも僕は現実にぶつかる。その中の小さな自分を見る。どんなに心を開放しても、何の意味もないという虚無感や、この現実の中で生きていく恐怖から、僕の心は逃げてしまった。そして作っている自分がまた勢力を強くしていくかのように、本音とは違う言葉を繰り返す様になった。
すべてが、幻だったかのように、脆くも消えていった……。
そして出会った。正反対に、ホントの心を見せない人に。表面だけの付き合いを好む人に。でもそんな感じが今の僕には合っていた。
それはあの子との関係や、探そうとしていた自分自身の夢に対して僕は目を瞑っていて、どこかでこんな無意味な関係を求めていたから。その方がこの現実で生きていきやすいから。そして傷つかないから。でも、途方も無い疑問が消えない。
こんな人生何か意味があるのか? 確かに感情には変化がある。そして自分自身にも。現実には街灯の光しかなくても、心の中には色んな思いや、色んなストーリーが浮かぶ。
でも自分が逃げているのか、向かっているのか、そして自分の感情でさえもホントは分かってない。誰を必要としているのか、そしてされているのか。今の自分は何なのか?
分からない。
でも、僕は歩いていく、今日も意味を探して。