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第31回1000字小説バトル Entry5

白い平原

「川の流れが涙を誘うから泣いてるんだ。」
 誰かが泣きながら川岸で確かにそう言った。レイは見知らぬ人の言葉を聞いて何も言わずに立ち去った。(ばかじゃないの?あんなのただのロマンチストぶってるだけじゃん) その時、携帯のベルが鳴った。
「はーい。あ、おじさん・・今から?・・分かった。」
その二時間後、レイはホテルで三万円を手にした。シャワーを浴びて、服を着て、くつを履いて外に出た。家の帰り道、いやな音とともに靴紐が切れた。(人生なんてこんなもの。ほんっとくそだ)それを見ていた犬を、思いっきりにらんでやった。空を見上げると、もう夕日は見えない。だけどそれの光を受けた夕焼けが、やさしくレイを包み込んだ。レイの姿は影になり、細い髪は、きらきらしていた。意識が遠く遠くなる。レイは風にゆれる柳のようにそっと倒れた。
 (こんなにくさった世の中で生きて、自分もこんなに汚れて・・それさえ何も感じなくなったんだ。みんな空しさと生きていて、世の中に生きるのはあきらめた現実的な人、現実を見ようとしない偽善者、そして夢想家・・
 増える争い、環境破壊・・神様が本当にいるとしたら、ちゃんと見てるとしたらこれはナニ?・・この世もあの世も嫌。一人になりたい。・・私はそこで永遠に静かに生きるの・・)

目が覚めたとき、レイは白い草原にいた。見渡す限り白の平原・・・。何にもないし、誰もいない。耳が痛くなるほど張り詰めた静けさ。レイは初めて不安になった。そのとき風に乗って誰かの声が聞こえた。
「おまえは死んだ。」
「そう・・あんた神様?へーいたんだ。」
「私は神でない。でも神はいる。君は君永遠に会えなくなってしまったがね。」
「どうして?」
「あんたがここを選んでしまったからじゃよ。ここは白い無の世界じゃ。天国でも地獄でもない。ここはだれも助けにこない。神さえ知らない場所だ。永遠に逃げられない。思い出や記憶さえも忘れていくだろう。」
「神さえ知らない・・そんな場所があるわけな・・ないじゃん!!あなたは誰?」
もうそのこえは聞こえなかった。
なんだか
吐き気を伴うひどい気分になり、れいは伏せて頭を抱え込んだ。白い平原に叫び声が響く。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ・・!!!やぁぁぁぁぁぁ!!!!」
風にむなしく消される。
忘れていた涙がうそのように次から次にあふれた。それはいつしか青みのある流れになり川になった。レイは時に涙が止まったが、自分が作った川の流れをみてると
誘われるように涙が溢れた。そのときふと懐かしさを感じた。だけどまたそれも川の流れに流されていった。

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