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第32回1000字小説バトル Entry16

君の中の僕は

まだ、黒いランドセルを背中に預けていた頃。
僕達は、毎日、あの場所に居たね。
何もしないで、ただ、地面に座り込んでいたね。
晴れた日なんかは、二人で寝っ転がって小鳥の囀りを聞いたり。
空の青さに疑問をもったり。雲を見て、真剣に語った事もあったね。
学校が終わると、僕は、毎日君の居る場所に行ってたね。
僕が、悲しい顔をしているときも笑っている顔のときも。
いつも君は、笑った顔で僕を迎えてくれていたね。
だから、僕は、毎日のいじめにも耐えることが出来たんだ。
そんな日常が、僕にとって幸せの日課だったよ。

あの日も、いつものように、テストの結果を見せようと僕は、学校帰りに君に会いに寄ったんだよ。
でも、君は、いつもの場所に居なかった。
いつも、いじめられて破かれるテスト用紙も、その日ばかりは、自分で破いたよ。
そうしなければ、僕は、現実に立ち向かう事が出来なかったからだ。

あれから、どれくらいの時が流れてしまったんだろうね。
お互い、老けてしまったかもね。
君が去った後の僕は、一人で、行動する事が出来なくなっていた。
すべて、君に頼っていたせいかもね。
だから、僕のことを考えて、君は、去ったんだね。
そのおかげで、僕はいじめにも勝つことが出来たよ。

それから、僕は、君と同じような見守る仕事につきたかった。
だから、僕は、今、警察官になったよ。
君に、この制服姿を見せたい。でも、君に会う事が出来ない。
もしかしたら、毎日、僕は、君のことを考えてるかもね。
でも、僕には、妻が出来たんだ。
掃除や洗濯は下手だけど、料理だけは上手いんだ。
君を招待して、食べさせてあげたいな。
毎日が雲のように流れていくよ。
 
そういえば、この前、君の家族に会ったよ。
君のことを尋ねたら、家族は多いから分らないって。
そうだよね。
だって、君は・・・

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