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第33回1000字小説バトル Entry11

贈り物

自分の机の上に置いてある、卓上カレンダーを一枚めくるたびに、僕はため息をついていた。
そして、今日で三月が終わる。明日の朝になれば、一枚めくる事になるだろう。

別に、時間の進みを拒んでいるわけではない。
本心を言えば、めくる事は好きなのかもしれない。
めくる事によって、一ヶ月間も見つづけて飽きた写真が変るし、数字の並びも変るからだ。
なぜ、ため息をつくかというと。
必ず一ヶ月の間に、誰かの誕生日があるからだ。
気にしない人にとっては、ただの一年の一日なのかもしれないが、僕にとっては、とても大切な日にしか思えない。
だから、僕は、友達や家族の誕生日を一年の初めにカレンダーに書き入れ、毎月来る誕生日に贈り物を渡している。
僕の中では、誕生日はその人にとって、絶対に大切なものだと思うからだ。

もしかしたら、贈り物を渡す事によって、僕との関係を続けて欲しいという願いもこもっているかもしれない。孤独というものを苦手とする僕にとって、赤い糸を結んでもらうための契約なのかもしれない。
だから、僕は、知っている誕生日の人には、必ず贈り物を渡した。

そんなことを毎月続けていると、一年に一回、僕の誕生日がやってくる。
僕の誕生日は、自分では、気になる事は無い。
逆にいえば、同じ月に生まれた、他の人のことを考える事が多いほうだ。
でも、その日はやってきてしまう。

ここで、いつも疑問になるのが、僕には誰からも贈り物が来ないという事だ。
別に期待していないといってしまえば嘘になるが、やはり、期待しているものだ。
だから、贈り物が来ないと僕は、孤独の文字に押し付けられる。
そして、孤独という文字を背負った僕は、必ず、海へと出かける。
波の崩れる音が好きだからだ。

毎年、こんな風に海に来ていると。

毎年、海から贈り物が来る。

その、贈り物が僕にとって、大切なものなのだ。

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