第33回1000字小説バトル Entry13
「ねえ、第二中隊の蒲生曹長戦死したってね」
「・・・」
「おれ、あいつに金かしたままなんだよね」
「・・・」
「なあ、どうにかならんかね」
「・・・すこし、黙っとけ」
「でも二万だよ」
「二万も五万もねえ。っていうか任務中にゴチャゴチャうるせえんだよ」
「何でおれらだけこんなとこ残されてんだろ」
「しらねえよ。小隊長の虫の居所だろうよ」
「なんでおれまで」
「仕方ねえだろ、狙撃手と観測手でワンセットなんだから」
「おれすることあるの?」
「貴様が俺の背中を守るんだよ」
「あんたは仕事だからいいけどさ、観測手なんて資格いらないじゃん。なんでおれなん?」
「っていうかもう黙れよ。貴様の息でスコープ曇ってきたんだよ」
「ガモウの野郎、死ぬって分かってて金借りたんだぜ、きっと」
「おまえなあ」
「あっ!今動いた!」
「何!何処!」
「ほら!あのクスノキ、右下!」
「何処だ!何処!?」
「ほら!」
「畜生、見えねえ!」
「ああ、もう動いてない」
「見間違えじゃねえだろな」
「・・・わかんないけど」
「おい、タバコなんて吸うんじゃねえ」
「いや、なんか緊張して・・・」
「何で貴様が切羽詰ってんだよ、俺の方が緊張してんに決まってんじゃねえか!」
「ああそうか」
「そうかじゃねえよ。敵に居場所教えてどうすんだよ」
「ねえ、おしっこしたくなってきた」
「我慢だ」
「だって、限界近いよ」
「いいか、一寸でも動くんじゃねえぞ」
「な、すぐ戻るから」
「貴様、このカモフラ何分かかったと思ってんだよ!」
「戻ったらちゃんと直すから。ね」
「ね、じゃねえよ。おまえな、もう少し緊張感っていうか・・・」
「いや、緊張してるからこそおしっこも・・・」
「ああもう!いいか、どうしてもしたかったらそこでしろ!」
「あんま大声出さないほうが・・・」
「うるせえ!畜生、クソッタレ!なんでこんな奴に・・・」
「いやだなあ、大きいほうはまだ・・・」
「ほんと、殺すぞ、マジで」
「あ、今動いた」
「またか、何処だ?」
「さっきんとこ」
「木の下か?あ、動いたな」
「ほら、いるじゃん」
「よし、敵だ。まず2人」
「おれらホント、貧乏くじ」
「やかましい!いいか、本管に打電。敵勢力確認」
「了解。えー練馬5より練馬2・・・」
「もういい。いくぞ・・・命中」
「確認」
「次・・・命中」
「確認」
「よし、成功」
「うわ、当たったね」
「ああ」
「・・・ねえ、死んだら、どこいくのかな」
「知るか」
「おれ、漏らしちゃったよ」
「ああ・・・俺もだよ」