第33回1000字小説バトル Entry8
下らない、話をしよゥ。
あれは僕が未だ小学生の頃だ。
その頃の僕は図書室に入り浸っては怪奇小説を読み耽る薄気味悪い子供で、でも首相の名前を云えない位にはあどけなさが残っていた。
その頃の、話を、しよウ。
確か5年だか6年だかの体格に差がつき始める忌々しい時期、僕はクラス内で変なものを発見した。
後々考えれば、良く在る話だ。
気が毅いわけでも腕潰しが強いわけでもなく只他の級友達よりも少し大柄で頑丈そうだったからそいつは其れを勝ち誇って生きて逝くしか無かった。
出来もしないのに。
四角い顔の癖に色白で細い目をしていて兎に角神経質そうだった。
母親か父親もそうだったのだろう。
体つきに似合わず甲高い声を良く発していたのだから。
けれど僕はそんな鬱陶しい小僧に何の用も無い。
向こうだってそうならば良かったんだ。
身の程知らずに。
寄りにもよって此の僕を御しやすいと視るなんて。
此の僕を。
ほんの少しの差で勝ち誇るには僕はあまりにも化け物なんだ。
腕っ節なんか関係なく奴は図書室の床に伸びた。
僕は手も足も進んでは使っては居ないよ。
只、来たのを避けて、掛けただけさ。
それなのに
あいつ其れで剥き出しになってしまった。
本当は只の臼のろだと云うのがばれて
後はもォ、推して知るべしさ
けれど図書室で争おうと云ったのも僕じゃ無い
僕は寧ろ給食室の前を薦めたんだ
けれどアイツは潔癖性だから土足を嫌がった
本当に馬鹿で、可哀想な奴。
それでアイツ、締めたんだ。
自分を笑った女の首を
チカ、とか云ったかな
小柄で茶色の髪を上で二つに分けて敏捷そうな彼女は口を動かすのも得意で
けれどけしてそんな非道いことを云うような子じゃ無いんだ
それなのに。
アイツ、力だけは在るのに思いっ切り締めたんだ
女の子の首なんてどれほど脆くて儚いか
そんな事ぐらい、解る齢だろゥ
蝶や蜻蛉の羽の、比なンかじゃァ、無い
後は推して知るべしさ
けれど彼女は死ななかった、それだけが救いかな
暫く白い部屋の住人は双つに増えたけれども。
そして僕らの教室は僅かな隙間が出来た。
杭止められなかった先生は、どうやら忌々しいらしい
一人には手紙を書いて、一人には忘れろと云った
けれど僕はアンタよりは聡くてその分不器用だからそんな下らない保身には付き合えない
だから僕は卒業の日に図書室の床で憐れみを乞うた
後はもォ、推して知るべしさ
リリィ、君も、知って居る事だろゥ?
僕は真っ逆様に 墜ちた。