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第34回1000字小説バトル Entry3

 隣の家はもう長いこと空家だった―。

 月明かりが明るくて、夜中に急に目が覚めた。
 「何だろう?」
 窓から射しこむ光は、尋常ではないくらいに眩しかった。僕は腕で目を庇うようにして、窓に近づき、光源が月ではないことに気づいた。光を放っていたのは、隣家の庭に突然現れた得体の知れない物体だった。見る間に銀白色の光は薄れていき、闇に沈んだ。僕は息苦しくなり、胸がひどくドキドキしているのを感じた。
 やがて、その物体の下の方が長方形に開き、内部から人が降りてきた。一人、二人。内部の光で二人の様子が見て取れた。一人は体つきがほっそりとして、長い髪が腰にまで届いていた。もう一人はがっちりしていた。二人ともぴったりとしたスーツを着ていた。人間そっくりのエイリアン?エイリアンといえば目が異様に大きく、体は子供のように小さいのだと思っていたけど。UFOらしき乗り物から降りてきた二人は隣家に消えていった。
 翌朝、目を覚ました僕は、すぐに窓から隣家の庭を見下ろした。やはり、夢ではなかった。僕は母のもとにすっとんでいった。
「隣の家の庭に変なものがある。」
「血相を変えて、どうしたの?」
母は僕の剣幕に驚きながらも、庭に出て、何があるのか確かめようとした。低い生垣ごしに隣家の庭を窺っている。
「何も無いじゃないの。変なものって何よ。」
母は窘めるように僕を見た。僕は呆然とした。だって、母の背後に、立ち尽くす僕の前に、それはちゃんとあったから。
僕は悟った。あれは僕にしか見えていないのだと。
 その日、学校から戻ると、僕の家から髪の長い女性が出てきた。僕はドキッとして、用心深く彼女がいなくなるのを待って家に駆け込んだ。玄関先に母がボンヤリしながら立っていた。
「ママ、今の人誰?」
話しかけると、ようやく我に返って、
「今、お隣さんが来てたのよ。」
と言った。
「お隣さんって?」
と僕が聞くと、彼女は、こっちの、と空家の方を指さした。

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