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第35回1000字小説バトル Entry7

「わたし」と「あなた」

「わたし」は「あなた」と幼馴染。
 あなたが笑えば、わたしは嬉しい。
 あなたが泣けば、わたしは悲しい。
 どんな時も、共に泣き、共に笑って。そうして、どんな時も、一緒にいた。
 あなたといれば、わたしは楽しい。
 あなたがいれば、わたしは笑える。
 どんな時も、共にいて、共に分かち合って。そうして、これからも、ずっと一緒に。
「わたし」は「あなた」が大好き。

 能力が「わたし」と「あなた」を隔てた。

「わたし」は「あなた」とは違う。
 あなたは、わたしと違って活発的。
 あなたは、わたしと違って頭がいい。
 あなたは、わたしと違ってかわいい。
 わたしに笑顔は似合わない。
 あなたは、きっとわたしを笑ってる。
 あなたは、きっとわたしを見下してる。
 あなたといれば、わたしは惨めだ。
 あなたがいれば、わたしは無用だ。
「わたし」は「あなた」が羨ましい。

 他人が「わたし」と「あなた」を隔てた。

「わたし」は「あなた」と距離を置いた。
 みんなが、わたしを嫌ってる。
 みんなが、わたしを無視してる。
 みんなが、あなたを好きになる。
 みんなが、あなたに笑いかける。
 あなたが笑えば、わたしは悲しい。
 あなたといれば、わたしは苦しい。
 あなたがいれば、わたしは笑えない。
 それでもあなたは、わたしに笑いかける。
「わたし」は「あなた」が大嫌い。

 時間が「わたし」と「あなた」を隔てた。

「わたし」は「あなた」と二人だけで歩いた。
 わたしたち友達だよねと、あなたが言った。
 わたしは、何も答えなかった。
 あなたには、みんながいる。
 わたしは、ひとり。
 あなたが泣けば、わたしは笑える。

 わたしの心が「わたし」と「あなた」を隔てていた。

 あなたは、泣いていた。
 あなたが泣けば……わたしは悲しい。
 あなたに泣顔は似合わない。
 なぜ、あなたは泣いているの?
 あなたには、みんながいるのに。
 あなたも、寂しかったの?
 あなたも、わたしと同じ、涙を流すの?
 能力を越えて、他人を越えて、時間を越えて、心を越えて。
 もう、隔たりなんてない。
「わたし」は「あなた」と同じだった。

「わたし」は「あなた」と友達でいたい。
 わたしは、勇気を出して言った。
 あなたは、大声で泣いていた。
 わたしも、大声で泣いた。
 もう、泣かないで。
 わたしも、泣かないから。
 ちっぽけなわたし、情けないわたし、涙を流せば、素直になれた。
「わたし」は「あなた」と一緒に笑った。

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