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第36回1000字小説バトル Entry36

兄ちゃん

「兄が出来た。」
きっかけは、とても単純な事だった。
最初は、チャットからの出会いだった。
暇つぶしのつもりで悪ふざけをしたのがきっかけだった。
それがいつの間にかメールの交換を重ねるうちに、メルトモへと
変化していった。約一ヶ月で51通のメールを頂いた。
そして私の中では、そのたくやと名乗るメールの相手が何時しか
「どうでもいい奴」から「兄のような存在」に変わっていた。
でも恋人にはならないだろう。
たった一月、されど一月!
私は、個人的な事もよく書き、そのメールに対し兄は、私に真正面
から向き合ってくれた。
心配してくれたり、応援してくれたり・・・・。
感謝という言葉もうまく出ないというところである。

最大のエピソードは、私が「死にたいと思った」と書いた事だろう。
それを読んだ兄は、そのメールの下に「きっと死なないでしょう」
と私が注釈を書いてあった事にも目がいかず、マジで感情的になり、
「死ぬな」と泣いて(??)メールを返して来た。
「何時もどこかクールっぽくてなかなか本音を見せない兄が・・・・。」
とにもかくにもビックリで、その次に考えた事が
「下に注意書きを書いたのに!やはりこの人は文系じゃなくて理工系だな!」
と思ってしまう。
が、「涙が出て来た」という一言。
それを見た時、さすがの私も後悔した。
「どうでも良いような奴の事で、あんなに必至になってくれたばかりではな
く、相手を泣かせてしまった」
まっすぐ私を見ていてくれた兄へ、申しわけなさと、感謝の気持ちを込めてメ
ールを返した。
この事は、私の中で何時までも「忘れられない出来事」になるだろう。
しかし、この兄のおっちょこちょい度はたいしたものである。
勘違いは、よくある事だし、ときどきこちらの質問には
「忘れているのかい」
と思うぐらい答えないときもしばしば!
そして、夢をおいかけ何かを求め続け、ときどき立ち止まって
「この男寝てるんじゃないのかな」
と思うと、また急に走り出したり・・・・。

寂しがりやで、そのくせ自分では
「しゃべるのは好き」とか言っているけど、本当の意味での人間の
「心からのつき合い方」は超苦手なように見える。
そんな所が、一見器用そうに見えて、超不器用なのである。
ちなみに、私が意図的に敬語で書いたメールの意味にもきっと気付いて
いないだろう!

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